case1:ピコレーザー治療

治療内容 | ピコレーザーによるシミ治療 |
---|---|
費用 | ピコスポット 11,000~55,000円 |
副作用&リスク | 1~2週間程度のかさぶた 色素沈着、色素脱失 |
case2:ピコレーザー治療

治療内容 | ピコレーザーによるシミ治療 |
---|---|
費用 | ピコスポット 11,000~55,000円 |
副作用&リスク | 1~2週間程度のかさぶた 色素沈着、色素脱失 |
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス) とは

ADMを理解するための最も重要な鍵は、それが一般的な「シミ(shimi)」ではなく、医学的には「あざ(aza)」の一種として分類される点にあります 。この違いが、治療法の選択から保険適用の可否まで、あらゆる側面に影響を与えます。
皮膚の深い層に存在する「あざ」
私たちの皮膚は、外側から「表皮(ひょうひ)」と、その下にある「真皮(しんぴ)」という層で構成されています 。一般的なシミ、例えば日光による老人性色素斑などは、皮膚の浅い部分である「表皮」にメラニン色素が蓄積してできます 。
一方、ADMは、色素を作り出す細胞である「メラノサイト」が、皮膚のより深い層である「真皮」で増殖し、そこでメラニン色素を生成する状態です 。通常、真皮にはメラノサイトは存在しないと考えられていましたが、何らかの刺激によって真皮内の未熟な色素細胞が活性化し、メラニンを生成し始めることで発症すると推測されています 。
このように、原因となる色素が皮膚の深層に存在するため、表皮をターゲットとする美白外用薬や光治療(IPL)では効果が得られにくいのです 。ADMの治療には、この真皮層まで届く特殊なレーザーが必要不可欠となります。この「あざ」という分類が、多くの医療機関でADM治療が健康保険の適用対象となる理由でもあります 。
なぜ灰色や青みがかって見えるのか
ADMの色調が、一般的なシミの茶色とは異なり、灰色がかった褐色(灰褐色)や青みがかった色に見えるのには科学的な理由があります 。これは「チンダル現象」と呼ばれる物理現象に関連しています。色素が皮膚の深い真皮層にあると、光が皮膚を通過する際に散乱し、波長の短い青い光が私たちの目に反射されやすくなります。その結果、色素自体は黒や茶色でも、見た目には青みがかったり、くすんだ灰色に見えるのです 。ファンデーションを塗ると、かえって色が灰色や紫色に浮き出て見えることがあり、これもADMを疑う一つのサインとなり得ます 。
ADMの症例写真
当院の患者様の治療経過です。
ピコレーザーによるADM治療
症例1 濃いADM
治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着
症例2 ADM

治療前

1回目2週間後
照射後少しずつ薄くなります。

1回目4カ月後
1回の治療で薄くなりました。

3回後
ほとんどわからなくなりました。
治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着
症例3 ADM

治療前

1回目2週間後
照射後少しずつ薄くなります。

1回目3カ月後
1回の治療で薄くなりました。

3回後
ほとんどわからなくなりました。
治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着
症例4 ADM+肝斑

治療前
薄い広範囲のタイプ

2回後1カ月
ADMは改善傾向、色素沈着の増悪に対して塗り薬開始。

2回後3カ月後。
色素沈着が改善。

3回後
さらに綺麗になりました
治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着
症例5 薄い広範囲のADM

治療前
薄い広範囲のタイプ

1回後
照射後薄くなりました

2回後
ほとんどわからなくなりました
治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着
症例6 ADM

治療前
典型的なADM

1回後
薄くなりました

2回後
ほとんどわからなくなりました
治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着
症例7 前額部のADM

治療前

1回治療後
照射後少しずつ薄くなります。

3回治療後
さらに薄くなりました。

4回治療後
さらに薄くなりました。
治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の症状
ADMは、他の色素性疾患と見た目が似ているため、正確な診断が非常に重要です。ここでは、ADMに特徴的な症状を詳しく解説します。
見た目の特徴:色・形・分布
形状と大きさ | 直径1~3mm程度の小さな点状の斑点が、集まって現れるのが典型的です 。そばかすよりもやや大きく、一つひとつの斑点の大きさが比較的均一であることが特徴です 。 |
---|---|
色調 | メラニン色素が存在する深さによって、茶褐色から灰色、青みがかった褐色まで、色調は様々です 。多くの場合、通常のシミよりもくすんだ色合いに見えます 。 |
分布 | 最も顕著な特徴は、顔の両側に左右対称に出現することです 。まれに片側性の場合もありますが、ほとんどのケースで両側性です 。 |
好発部位 | 最も多く見られるのは両側の頬骨部です 。その他、額の両端、こめかみ、下まぶた、鼻の付け根(鼻根)、小鼻などにも現れます 。頬やこめかみでは点状の斑点として、額や目の下では地図のように広がる面状の色素斑として見られることもあります 。 |
発症年齢 | 一般的な老人性色素斑が40代以降に現れるのに対し、ADMは10代後半から30代、特に20歳前後に発症することが多いのが大きな特徴です 。シミが出るにはまだ早いと感じる年齢で現れるため、診断の手がかりとなります。 |
自覚症状 | ADM自体に、痛みやかゆみ、皮膚が盛り上がるなどの症状は伴いません 。 |
診断の難しさ:他のシミとの見分け方
ADMは、その見た目から肝斑(かんぱん)、老人性色素斑、そばかす(雀卵斑)などと誤診されやすい疾患です 。特に、両頬に左右対称に広がるという特徴が肝斑と酷似しているため、鑑別が非常に重要になります 。治療法が全く異なるため、誤った治療(例えば、肝斑にADM用の強力なレーザーを照射する)を行うと、症状を悪化させてしまう危険性があります 。
さらに、ADMと肝斑、老人性色素斑などが一つの顔に混在しているケースも少なくありません 。そのため、自己判断はせず、皮膚科専門医による正確な診断を受けることが不可欠です。医師は、視診に加え、ダーモスコピーという特殊な拡大鏡で皮膚の深い部分の色素の状態を観察し、UV撮影が可能な肌診断機を参考にしながら診断を確定します 。
以下の表は、ADMと他の代表的な色素性疾患との違いをまとめたものです。診断の際の参考情報としてご活用ください。
後天性真皮メラノサイトーシス (ADM) | 肝斑 | 老人性色素斑 | そばかす | ||
好発年齢 | 10代後半~30代 | 30代~50代 | 代 | 幼少期 | |
色調 | 灰褐色~青みがかった褐色 | 明るい茶色~茶褐色 | 茶色 | 明るい茶色 | |
形状 | 1-3mmの点状が集合 | 境界が不明瞭で面状 | 境界が明瞭な円形~不定形 | 小さな点状 | |
分布 | 両頬、額などに左右対称 | 頬骨に沿って左右対称 | 日光が当たる部位 | 鼻~両頬に散在 | |
季節変動 | なし | 夏に濃くなる傾向 | 夏に濃くなる傾向がある | 夏に濃くなる傾向 |
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の原因
ADMがなぜ発症するのか、その正確なメカニズムはまだ完全には解明されていません 。しかし、単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症に至ると考えられています。
現在考えられている複数の要因
現在の医学では、遺伝的な素因を背景に、いくつかの後天的な要因が引き金となって発症すると考えられています。
遺伝的要因 | ADMの発症には遺伝的な素因が関与している可能性が指摘されています 。家族内に同様の症状を持つ人がいる場合、発症リスクが高まる可能性があります。特に、日本人や中国人など東アジア系の人々に多く見られることも、遺伝的背景の関与を示唆しています 。 |
---|---|
ホルモンバランスの影響 | 女性ホルモン(エストロゲン)の変動が、ADMの発症や悪化に強く関わっていると考えられています 。妊娠、出産、経口避妊薬(ピル)の服用、更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期にADMが現れたり、濃くなったりすることがあります 。エストロゲンがメラノサイトの活動を活性化させることが一因とされています。 |
紫外線 | ADMは肝斑のように夏に色が濃くなるという季節変動は通常ありませんが、長年にわたる紫外線の慢性的な暴露が発症や悪化の一因となる可能性が指摘されています 。紫外線はメラノサイトを刺激し、メラニンの過剰産生を促すだけでなく、メラノサイトの異常な増殖や真皮への移動を誘発する可能性も考えられています 。 |
物理的な刺激(炎症や摩擦) | 洗顔時のこすりすぎ、メイク時の摩擦、長時間のマスク着用による刺激など、皮膚への慢性的な物理的刺激や炎症が、ADMの発症のきっかけになったり、症状を悪化させたりすることがあります 。炎症によって放出される様々な物質が、メラノサイトの活性化を促すと考えられています。 |
これらの原因を理解することは、単に発症の背景を知るだけでなく、日常生活において症状の悪化を防ぐための具体的な対策を立てる上で非常に重要です。遺伝的要因やホルモン変動など、自身でコントロールできない要素もありますが、紫外線の防御や肌への摩擦を避けるといった行動は、治療効果を高め、良好な状態を維持するために実践できる重要なセルフケアとなります。
ADMの治療
ADMの治療は、その原因が皮膚の深い「真皮層」にあるという特性上、非常に専門的なアプローチが求められます。
唯一の有効な治療法:レーザー治療
ADMに対して有効性が確立されている治療法は、現在のところ「Qスイッチレーザー」または「ピコレーザー」を用いたレーザー治療のみです 。これらのレーザーは、ナノ秒(10億分の1秒)やピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い時間で高いエネルギーを照射することができます 。この強力なエネルギーが皮膚の深層にあるメラニン色素のみを選択的に破壊し、周囲の正常な組織へのダメージを最小限に抑えます。
一方で、以下のような一般的なシミ治療はADMには効果が期待できません。
- 外用薬(塗り薬)・内服薬
- 美白成分を含む外用薬やトラネキサム酸などの内服薬は、主に表皮のメラニンに作用するため、真皮にあるADMの色素には届きません 。
- 光治療(IPL)やレーザートーニング
- これらの治療はエネルギーがマイルドであったり、作用する深さが浅かったりするため、真皮のメラニンを破壊するには不十分です 。むしろ、不適切な治療は症状を悪化させるリスクさえあります。
【関連記事】
新しいシミ治療≪ピコレーザー≫
しっかり取りきる ≪Qスイッチレーザー≫
ノーダウンタイム治療 ≪ルメッカ≫
治療の道のり:現実的なタイムラインの理解
ADMの治療は、一度で完了するものではなく、根気強い通院が必要な長期的なプロセスです。治療を始める前に、現実的なスケジュールを理解しておくことが、安心して治療を続ける上で非常に重要です。
- 治療回数
- 著明な改善を得るためには、通常3回から5回の照射が必要となります 。1回の治療で完治することは稀です。
- 治療間隔
- 治療と治療の間隔は3ヶ月程度あけます。
- レーザー照射後の「炎症後色素沈着」が生じている場合は、その治療が終わってから次回のレーザー照射となります。焦って短い間隔で治療を重ねると、かえって副作用のリスクを高める可能性があります 。
- 総治療期間
- 上記の回数と間隔から、治療が完了するまでには約6ヶ月から1年半程度かかることになります 。
レーザー照射後の経過:知っておくべき治癒プロセス
レーザー治療後の皮膚の変化を知っておくことは、不安を軽減し、適切なアフターケアを行うために不可欠です。特に、一時的に色が濃くなる「炎症後色素沈着」は、多くの方が経験する正常な反応であり、治療の失敗ではありません。
照射直後~数日 | 照射部位は赤みを帯び、ヒリヒリとした日焼けのような感覚があります 。その後、照射されたADMの部分が濃い茶色や黒色に変化し、薄いかさぶたが形成されます 。 |
---|---|
約1~2週間後 | かさぶたが自然に剥がれ落ちます。このとき、絶対に無理に剥がさないでください 。無理に剥がすと、傷跡や色素沈着の原因となります。かさぶたが取れた後の皮膚は、ピンク色で非常にデリケートな状態です 。 |
約1ヶ月後(炎症後色素沈着のピーク) | ここが最も重要な時期です。かさぶたが取れた後、治療部位が一時的に治療前よりも濃い茶色になることがあります。これは「炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)」、通称「戻りジミ」と呼ばれる現象です 。これはレーザーによる刺激で皮膚が炎症を起こし、メラニンが一時的に過剰に作られるために起こる正常な治癒過程の一部です。多くの患者様が「悪化したのでは」と不安になりますが、これは皮膚の深部で治療が効果を発揮している証拠でもあります 。 |
約3ヶ月~半年後 | 炎症後色素沈着は、時間の経過とともに徐々に薄れていきます 。この色素沈着が落ち着いた頃に、ADM自体の色が薄くなっているという本来の治療効果がはっきりと見え始めます。このプロセスがあるため、次のレーザー照射までには長い期間が必要なのです。 |
特記事項:肝斑が混在している場合
ADMは肝斑と合併していることが非常に多い疾患です 。この場合、治療の順番が極めて重要になります。ADM治療に用いる強力なレーザーは肝斑を悪化させるリスクがあるため、原則としてまず肝斑の治療を優先します 。トラネキサム酸などの内服薬や美白外用薬、マイルドなレーザートーニングなどで肝斑の状態を落ち着かせてから、ADMに対するレーザー治療に移行するのが標準的な治療計画です 。
ある程度肝斑が薄い場合、多少肝斑が残っていてもレーザー治療を優先させることもあります。ケースバイケースになるため、患者さん毎に治療計画を立てます。
日常生活で気をつけるポイント
ADMのレーザー治療を成功に導くためには、クリニックでの治療と同じくらい、日々のセルフケアが重要になります。治療後のデリケートな肌を守り、治療効果を最大限に引き出すために、以下のポイントを心がけましょう。
1. 徹底した紫外線対策
レーザー治療後の肌は、バリア機能が一時的に低下しており、紫外線に対して非常に敏感になっています 。この時期に紫外線を浴びると、炎症後色素沈着が濃くなったり、長引いたりする原因となります 。
日焼け止めの選択 | 紫外線A波(UVA)とB波(UVB)の両方を防ぐ「広域スペクトル」タイプで、SPF30~50、PA+++以上の製品を選びましょう 。治療後の敏感な肌には、刺激の少ない「ノンケミカル処方(紫外線吸収剤不使用)」のものが推奨されます 。クリニックによっては、レーザー治療後専用の日焼け止めを扱っている場合もあります 。 |
---|---|
正しい使用法 | 天候や屋内にいるかどうかにかかわらず、毎日必ず使用してください。外出時は2~3時間おきにこまめに塗り直すことが理想的です 。 |
物理的な防御 | 日傘、つばの広い帽子、サングラスなどを併用し、物理的に紫外線を遮断することも非常に効果的です 。 |
2. 「摩擦」を避ける優しいスキンケア
物理的な刺激は、あらゆる色素沈着の引き金となり得ます 。特に治療後の肌は、徹底して優しく扱う必要があります。
洗顔 | 洗顔料をしっかりと泡立て、指が直接肌に触れないよう、泡のクッションで優しく洗いましょう 。ぬるま湯で十分にすすぎ、清潔で柔らかいタオルで水分をそっと押さえるように拭き取ります。ゴシゴシこするのは厳禁です 。 |
---|---|
スキンケア | 化粧水や乳液などをつける際は、肌をこすらず、手のひらで優しく包み込むようにハンドプレスでなじませます 。 |
刺激の強い製品の回避 | スクラブ入りの洗顔料や、AHA/BHA(フルーツ酸)、高濃度のレチノールなどが配合された角質ケア製品の使用は、肌が完全に落ち着くまで避けましょう 。 |
生活習慣 | 無意識に顔を触る癖や、マスクが強くこすれる状態、頬杖をつくなどの習慣にも注意が必要です 。 |
3. 保湿によるバリア機能のサポート
レーザー照射は、肌の水分を保持するバリア機能を一時的に低下させ、乾燥しやすくさせます 。肌の回復を助けるために、保湿は欠かせません。
保湿成分 | セラミドやヒアルロン酸など、肌のバリア機能をサポートし、水分を補給する成分が配合された低刺激の保湿剤を選びましょう 。 |
---|---|
保護軟膏 | 治療直後は、医師から処方された軟膏(ワセリンなど)を指示通りに塗布し、乾燥や外部刺激から肌を保護します 。 |
4. 体の内側からのケア
健やかな肌の回復には、生活習慣も影響します。バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理を心がけることは、肌のターンオーバーを正常に保ち、治癒プロセスをサポートします 。
ご予約方法
予約方法
Web順番予約または予約サイトよりご予約をお取りください。
Web順番予約での一般外来でも、シミ・イボ・ホクロなどについてのご相談が可能です。
1カ月前より、シミ外来専用の予約サイトからの時間予約が可能です。
シミ外来ではスタッフによるカウンセリング後に、医師の診察を行っています。
診療の状況により、カウンセリング後の診察をお待ちいただくお時間が必要となりますことをご了承ください。
当日施術のご希望は、空き状況によってご案内出来ないことがございます(別日の予約施術になります)
土曜日の当日施術は、特に予約施術が多いため待ち時間が長くなります。
最後の枠でのシミ外来のご予約は、麻酔ありでの施術が行えません。
詳しくは、こちらをご覧ください。→初診の方へ(Q&A)
問診票
事前に問診票のご記入をしていただくと、その後の診察をスムーズに進めることが出来ます。問診票ダウンロード