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酒さ・赤ら顔

ROSASEA
最終更新日:2025-10-01

慢性的な顔の赤みや、ニキビに似たブツブツ、そして灼熱感やヒリヒリといった敏感肌の症状に悩む場合、それは「酒さ(しゅさ/Rosacea)」と呼ばれる慢性炎症性疾患である可能性があります。
酒さは単なる「赤ら顔」の症状ではなく、専門的な診断と長期的な管理を必要とする皮膚科疾患です。
このページでは、酒さの患者様がこの疾患を深く理解して、適切な治療と日常生活でのセルフケアを継続するための専門的な情報を提供します。

症例写真
酒さとは
酒さの症状
酒さの治療

酒さの症例写真

当院の患者様の治療経過です。

case1

酒さの症例写真1
治療内容

飲み薬、塗り薬などによる複合治療

費用

4,000~40,000円

副作用&リスク

1~7日程度の赤み、腫れ

皮下出血、色素沈着

case2

酒さの症例写真2
治療内容

飲み薬、塗り薬などによる複合治療

費用

4,000~40,000円

副作用&リスク

1~7日程度の赤み、腫れ

皮下出血、色素沈着

case3

Vビームの酒さ治療1
治療内容

飲み薬、塗り薬などによる複合治療

費用

4,000~40,000円

副作用

1~7日程度の赤み、腫れ

皮下出血、色素沈着

case4

治療内容

飲み薬、塗り薬などによる複合治療

費用

4,000~40,000円

副作用

1~7日程度の赤み、腫れ

皮下出血、色素沈着

酒さとは

酒さとは

酒さ(しゅさ:Rosacea)は、主に顔面の中央部、すなわち鼻、頬、額などに持続的な赤みや、ニキビに似た赤いブツブツ症状が現れる皮膚疾患です。
特に30歳代から50歳代の成人に発症しやすく、統計的には男性よりも女性に多く見られる傾向があります 。
はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝的要因の関連もあると考えられています。

酒さの症状による分類

酒さは進行度や、最も目立つ症状に応じて、主に四つの病型(タイプ)に分類されます。
これらの病型は明確に分かれているわけではなく、一人の患者様において複数混在して現れることもあります 。

紅斑毛細血管拡張型酒さ(第1度酒さ)

酒さの初期段階で最もよく見られるタイプです。

顔面の中央部に持続的な赤みが見られ、細い毛細血管が拡張して浮き出て見えるようになります。

このタイプでは、ほてりや、ヒリヒリなどの灼熱感といった過敏性の亢進が最も強く現れます 。

血管の異常な拡張と収縮が繰り返されることで赤みが定着し、頬・鼻に全体的な赤み、毛細血管の拡張を認めます(赤ら顔)。

丘疹膿疱型酒さ(第2度酒さ)

第1度の赤ら顔症状に加え、赤ニキビのような赤いブツブツが生じます。

赤ニキビの様なブツブツがあるにもかかわらず、白ニキビが見られないのがニキビとの違いです。

このタイプでは、強いほてりやヒリヒリ感に加え、かゆみを伴うこともあります 。

治療は、炎症とニキビダニの増殖抑制など、ニキビとは異なる炎症経路に合わせたものとなります。

鼻瘤型(第3度酒さ)

鼻の赤ニキビ様のブツブツが集合して、凹凸不整に盛り上がった外観になる(鼻瘤)。

鼻瘤の表面は、毛穴が広がり凹んだニキビ跡の状態になります(ミカンの皮様)。

このタイプは特に男性に多く見られるという特徴があります 。

眼型

目の周囲が腫れる。

結膜炎や角膜炎を合併する。

皮膚症状に先行して生じることがある。

酒さの原因

酒さの正確な発症メカニズムは未だ完全に解明されていません。
病変部の皮膚では自然免疫が亢進している状態になっています。
遺伝的要因、免疫系の異常、血管の異常、ニキビダニ(デモデックス)の関与などが複合的に絡み合って発症すると推定されています。

酒さの増悪因子

酒さが慢性化する背景には、患者様個々の生活環境に潜む悪化要因(トリガー)の存在があります。治療薬の効果を最大限に引き出すためには、患者様自身が悪化要因を特定し、日常生活で回避することが最も重要となります 。

温度と気候の変化:

高気温の気候や、熱い風呂、サウナ、そして室内外の急激な温度変化は、血管を拡張させ、ほてりを誘発します 。また、日光(紫外線)も悪化要因の一つです。意外なことに、低気温の気候もトリガーになり得ます 。

食事と嗜好品:

アルコール摂取は血管を拡張させるため、酒さを悪化させる典型的なトリガーです 。さらに、香辛料を多く使った熱い食べ物や飲み物も、内側から熱を発生させ、症状を悪化させる可能性があります 。

身体的・心理的要因:

心理的ストレスや緊張は、自律神経を介して皮膚の炎症や血管の過敏性を高めるため、重要なトリガーとなります 。激しい運動も体温を上昇させ、ほてりを誘発します 。また、女性においては月経周期(ホルモン変動)も症状を左右する要因となり得ます 。

環境要因と薬剤:

花粉や特定の化粧品、または皮膚に触れる刺激物も症状を悪化させる可能性があります 。

酒さの症状

酒さの症状は、診断の基準となる主要な特徴と、患者様の生活の質(QOL)を大きく低下させる敏感肌症状に分けられます。

酒さの主な症状

持続性紅斑(赤み):

顔の中央部、特に頬や鼻に長期間続く赤み。

潮紅・ほてり:

突然顔が熱を持つような感覚(フラッシング)が生じ、これは特定のトリガーによって頻繁に誘発されます 。

丘疹・膿疱:

ニキビに似た赤いブツブツや膿がみられる状態 。

敏感肌としての症状

酒さでは皮膚のバリア機能が低下していることが多く、知覚神経が過敏になっているため、以下のような不快な症状を伴います。
灼熱感(カーッと熱くなる)、ヒリヒリ感、チクチクとした刺激感などです 。
丘疹膿疱型では、これらの症状に加え、かゆみが併発することもあります 。

酒さと他の皮膚疾患との区別

酒さの治療を始めるにあたって、他の皮膚疾患との鑑別が極めて重要になります。
例えば、顔以外にも症状が広がっている場合や、特定の薬や化粧品が触れた場所にのみ症状が出ている場合は、接触皮膚炎(かぶれ症状)などの可能性も考慮されます 。
また、酒さと他の皮膚疾患との合併にも注意が必要です
酒さの患者様は、皮脂分泌が多い部位に炎症を起こす脂漏性皮膚炎や、皮膚バリア機能低下を伴うアトピー性皮膚炎を合併している場合があります 。
これらの合併は酒さの症状をさらに悪化させる原因となるだけでなく、治療方法が異なるため、合併症の有無を正確に確認します。

酒さの治療

酒さの治療は、病型、重症度、および合併症の有無に応じて患者様毎に治療をご提案しています。
内服薬、外用薬、そしてレーザー治療を組み合わせた複合的な治療アプローチを行います。
酒さは慢性疾患であるため、治療は長期戦となることを念頭に置く必要があります。
日本での酒さの保険治療は少し遅れており、欧米での承認薬の多くが承認されていません。
当院では、基本的に保険診療での治療を行っています。
他院での保険診療治療が無効で受診をされる患者様には、海外で実績のある治療を自費診療でご提案することもございます。

酒さの生活指導

増悪因子を避けます

コーヒー、アルコールなどの血管拡張を招く刺激物の摂取
精神的ストレス

スキンケア

紫外線や、寒暖差、乾燥も増悪因子なので避けます。
適切な紫外線防御、低刺激性の洗顔料・保湿剤の使用が国内外で推奨されています。

酒さの塗り薬治療

イベルメクチンクリーム

海外では第2度酒さの標準治療となっています。
治療改善後の再発防止のための維持治療にも有効であることがわかっています。
メトロニダゾールよりも効果が強いことが報告されています。
日本では承認がなく、自費診療となります。

メトロニダゾール

海外では第2度酒さの標準治療となっています。
日本でも2022年に保険適応となりました。
治療改善後の再発防止のための維持治療にも有効であることがわかっています。

アゼライン酸

海外では酒さの治療として推奨されています。
第2度酒さの治療として、多数の報告があります。
再発防止の維持治療としても有効です。

酒さの飲み薬治療

抗菌薬

ニキビに準じた抗生剤治療が効果的です。
自然免疫が亢進した状態を抑制する働きもあると考えられています。

イソトレチノイン

治りにくい酒さや鼻瘤にも効果が期待できます。

レーザー治療

ブイビーム

酒さの治療ではVビーム(ダイレーザー)、IPL(フォト治療)、ロングパルスヤグレーザーの有効性が多く報告されており、当院では3種類全てのレーザー機器を取り揃えて対応しています。
その中でもVビーム治療が最も有効と考えています。
毛細血管拡張の減少・縮小することで、第1度酒さを改善します。