ADM 後天性真皮メラノサイトーシス 

ADM:ACQUIRED DERMAL MELANOCYTOSIS
最終更新日:2026-05-18
「急にできた頬のシミが消えない」とお悩みではありませんか?それはADM(後天性真皮メラノサイトーシス)という真皮にできる青灰色のあざかもしれません。本記事では、皮膚科専門医がADMの原因や症状、肝斑・そばかすとの見分け方を徹底解説。ピコレーザーやQスイッチレーザーを用いた保険適用の治療法から、治療回数・期間、日常の予防ケアまで、患者様の疑問に丁寧にお答えします。

当院の症例写真
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とはどんな皮膚疾患?
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の代表的な症状と見分け方
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)を引き起こす主な原因
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)と他のシミ・あざとの鑑別診断
皮膚科でのADM(後天性真皮メラノサイトーシス)のレーザー治療
日常生活で気をつけるポイント
よくある質問
シミ外来の予約

case1:ピコレーザー治療

ADMのピコレーザー治療1
治療内容

ピコレーザーによるシミ治療

費用

ピコスポット 11,000~55,000円

副作用&リスク

1~2週間程度のかさぶた

色素沈着、色素脱失

case2:ピコレーザー治療

ADMのピコレーザー治療2
治療内容

ピコレーザーによるシミ治療

費用

ピコスポット 11,000~55,000円

副作用&リスク

1~2週間程度のかさぶた

色素沈着、色素脱失

ADMの症例写真

当院の患者様の治療経過です。

ピコレーザーによるADM治療

症例1 濃いADM

ADMの写真

治療前
ADMのピコレーザー治療1回目2週間後

1回目2週間後

一時的に濃くなることがあります。

ADMのピコレーザー治療1回目4カ月後

1回目4カ月後

1回の治療で薄くなりました。


2回目4カ月後

さらに薄くなりました

治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着

症例2 ADM

ADMのレーザー治療前

治療前

1回目2週間後

照射後少しずつ薄くなります。

ADMのレーザー治療1回目3カ月後

1回目4カ月後

1回の治療で薄くなりました。

ADMのレーザー治療3回目後

3回後

ほとんどわからなくなりました。

治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着

症例3 ADM

ADMのレーザー治療前

治療前
ADMのレーザー治療1回目2週間後

1回目2週間後

照射後少しずつ薄くなります。

ADMのレーザー治療1回目3カ月後

1回目3カ月後

1回の治療で薄くなりました。

ADMのレーザー治療3回後

3回後

ほとんどわからなくなりました。

治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着

症例4 ADM+肝斑


治療前

薄い広範囲のタイプ


2回後1カ月

ADMは改善傾向、色素沈着の増悪に対して塗り薬開始。


2回後3カ月後。

色素沈着が改善。


3回後

さらに綺麗になりました

治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着

症例5 薄い広範囲のADM

ADMのレーザー治療前

治療前

薄い広範囲のタイプ

ADMのレーザー治療1回後

1回後

照射後薄くなりました

ADMのレーザー治療2回後

2回後

ほとんどわからなくなりました

治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着

症例6 ADM


治療前

典型的なADM

ADM治療1回後

1回後

薄くなりました


2回後

ほとんどわからなくなりました

治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着

症例7 前額部のADM

ADMのレーザー治療前

治療前
ADMのレーザー治療1回後

1回治療後

照射後少しずつ薄くなります。

ADMのレーザー治療3回後

3回治療後

さらに薄くなりました。

ADMのレーザー治療4

4回治療後

さらに薄くなりました。

治療内容:病変部位にレーザー照射を行います
費用:6,000~11,850円
リスク:痛み、赤み、水泡、色素沈着

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とはどんな皮膚疾患?

ADMのイラスト
「美容クリニックでレーザートーニングやフォトフェイシャルをしても全然効果がない」 —そのような頑固な「シミ」に悩んでいる場合、それは一般的なシミではなく、「後天性真皮メラノサイトーシス(Acquired Dermal Melanocytosis)」、通称ADMかもしれません。ADMは、治療法や対処法が全く異なる、特別な配慮が必要なシミです。
ADMを理解するための最も重要な鍵は、それが一般的な「シミ」ではなく、医学的には「あざ」の一種として分類される点にあります 。この違いが、治療法の選択から保険適用の可否まで、あらゆる側面に影響します。

皮膚の深い層に存在する「あざ」

私たちの皮膚は、外側から「表皮(ひょうひ)」と、その下にある「真皮(しんぴ)」という層で構成されています 。一般的なシミ、例えば紫外線が原因で生じる老人性色素斑などは、皮膚の浅い部分である「表皮」にメラニン色素が蓄積してできます。
一方、ADMは、色素を作り出す細胞である「メラノサイト」が、皮膚のより深い層である「真皮」で増殖し、そこでメラニン色素を生成する状態です 。通常、真皮にはメラノサイトは存在しないと考えられていましたが、何らかの刺激によって真皮内の未熟な色素細胞が活性化し、メラニンを生成し始めることで発症すると推測されています 。
このように、原因となる色素が皮膚の深層に存在するため、表皮をターゲットとするレーザートーニングや光治療(IPL)、表皮のターンオーバーを促す美容外用治療では効果が得られないのです 。ADMの治療には、この真皮層まで届く特殊なレーザー治療が必要不可欠となります。この「あざ」という分類が、多くの医療機関でADM治療が健康保険の適用対象となる理由でもあります 。

なぜ灰色や青みがかって見えるのか

ADMの色調が、一般的なシミの茶色とは異なり、灰色がかった褐色(灰褐色)や青みがかった色に見えるのには科学的な理由があります 。これは色素が皮膚の深い真皮層にあると、光が皮膚を通過する際に散乱し、波長の短い青い光が私たちの目に反射されやすくなります。その結果、色素自体は黒や茶色でも、見た目には青みがかったり、くすんだ灰色に見えるのです 。

20代〜30代の女性に発症しやすい「後天性」のあざ

ADMは東洋人、特に日本人を含むアジア圏の女性に高頻度で発症する傾向があります。発症のピークは20代から30代にかけての成人期に集中しています。

女性特有の生理的な変化との関連

ちょうど社会人としての生活が始まり、ストレスや生活環境の変化、そしてホルモンバランスの変動が大きくなる時期と重なります。男性に発症するケースもゼロではありませんが、圧倒的に女性に多く見られることから、女性特有の生理的な変化が深く関与している疾患だと位置づけられています。真皮に色素が沈着しているため、表皮にしか作用しない市販のスキンケアでは全く効果が得られず、多くの方を悩ませる原因となっています。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の代表的な症状と見分け方

ADMは、他の色素性疾患と見た目が似ているため、正確な診断が非常に重要です。ここでは、ADMに特徴的な症状を詳しく解説します。

見た目の特徴:色・形・分布

形状と大きさ

直径1~3mm程度の小さな点状の斑点が、集まって現れるのが典型的です 。そばかすよりもやや大きく、一つひとつの斑点の大きさが比較的均一であることが特徴です 。

色調

メラニン色素が存在する深さによって、茶褐色から灰色、青みがかった褐色まで、色調は様々です 。多くの場合、通常のシミよりもくすんだ色合いに見えます 。表在性のそばかすや老人性色素斑はシミと正常皮膚との境界がはっきりしているのに対し、深在性のシミ(つまりアザ)であるADMは協会がぼんやりしてみえます。

分布

最も顕著な特徴は、顔の両側に左右対称に出現することです 。まれに片側性の場合もありますが、ほとんどのケースで両側性です 。

好発部位

最も多く見られるのは両側の頬骨部です 。その他、額の両端、こめかみ、下まぶた、鼻の付け根(鼻根)、小鼻などにも現れます 。頬やこめかみでは点状の斑点として、額や目の下では地図のように広がる面状の色素斑として見られることもあります 。

発症年齢

一般的な老人性色素斑が40代以降に現れるのに対し、ADMは10代後半から30代、特に20歳前後に発症することが多いのが大きな特徴です 。シミが出るにはまだ早いと感じる年齢で現れるため、診断の手がかりとなります。

自覚症状

ADM自体に、痛みやかゆみ、皮膚が盛り上がるなどの症状は伴いません 。

診断の難しさ:他のシミとの見分け方

ADMは、その見た目から肝斑(かんぱん)、老人性色素斑、そばかす(雀卵斑)などと誤診されやすい疾患です 。
ADMを見慣れている皮膚科専門医であれば誤診することはあまりない疾患といえますが、あまり見慣れていないとADMの診断が難しいこともあります。
また、ADMの診断に慣れている皮膚科医であっても、他のシミと混在しているケースでは診断が遅れることがあります。特に、他のシミがメインで存在していて、ADMがそれに併発するケースです。その場合は、他のシミを治療中にADMだけ残ってしまうことで診断に至ることがあります。
治療法が全く異なるため、誤った治療(例えば、肝斑にADM用の強力なレーザーを照射する)を行うと、症状を悪化させてしまう危険性があります 。
さらに、ADMと肝斑、老人性色素斑などが混在しているケースも少なくありません 。そのため、自己判断はせず、皮膚科専門医による正確な診断を受けることが不可欠です。皮膚科専門医は、視診でほとんどの診断が可能なことが多いですが、当院ではUV撮影が可能な肌診断機を参考にしながら診断を確定しています 。
以下の表は、ADMと他の代表的な色素性疾患との違いをまとめたものです。診断の際の参考情報としてご活用ください。

   後天性真皮メラノサイトーシス (ADM)  肝斑 老人性色素斑 そばかす
 好発年齢  10代後半~30代  30代~50代 幼少期
色調  灰褐色~青みがかった褐色  明るい茶色~茶褐色  茶色 明るい茶色
形状  1-3mmの点状が集合   境界が不明瞭で面状  境界が明瞭な円形~不定形 小さな点状
分布 両頬、額などに左右対称 頬骨に沿って左右対称 日光が当たる部位 鼻~両頬に散在
季節変動 なし 夏に濃くなる傾向 夏に濃くなる傾向がある 夏に濃くなる傾向

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)を引き起こす主な原因

本来は真皮に存在しないはずのメラノサイトが、なぜ突然メラニン色素を放出し始めるのでしょうか。ADMの発症メカニズムは、生まれ持った「先天的な要因」と、日々の生活で蓄積される「後天的な要因」が複雑に絡み合って引き起こされると考えられています。

遺伝的素因と真皮メラノサイトの迷入

ADMの根本的な原因をたどると、私たちがまだ胎内にいる胎児の時期まで遡ります。皮膚の色を決定づけるメラノサイトは、神経系組織から表皮を目指して長い距離を移動します。しかし、何らかの異常で一部の細胞が表皮までたどり着けず、途中の「真皮層」に取り残されてしまうことがあります。これを「真皮メラノサイトの迷入」と呼びます。
真皮に取り残されたメラノサイトは、幼少期や10代の頃は活動を停止した休眠状態にあり、あざやシミとしては全く認識されません。

女性ホルモンの乱れや紫外線・摩擦による後天的な刺激

休眠状態にあった真皮のメラノサイトは、20代以降になって特定の強い刺激(トリガー)を受けることで突然活性化し、メラニンを作り始めます。

発症の引き金となる3つの要因

女性ホルモンの変化

ADMの患者様が20代〜30代の女性に集中していることからも、妊娠、出産、ピルの服用などによる女性ホルモンの変動が、強力なトリガーになると考えられています。

紫外線ダメージ

長年にわたる紫外線の蓄積ダメージです。特にUVA波は真皮内に大量の活性酸素を発生させ、メラニンの過剰産生を引き起こす直接的な原因となります。

慢性的な摩擦

日々の洗顔やマッサージなどで肌を強くこする物理的な摩擦は、肌の内部に慢性的な微弱炎症を引き起こし、症状を悪化させる大きな要因となります。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)と他のシミ・あざとの鑑別診断

皮膚科の診療において、ADMと他のシミやあざを正確に見分ける「鑑別診断」は極めて重要です。診断を誤って不適切な治療を行うと、症状が悪化する危険性があります。

肝斑(かんぱん)との違い(色調・形状・治療法の違い)

ADMと最も混同されやすく、併発も多いのが「肝斑」です。どちらも30代以降の女性の頬骨付近に左右対称に発症しやすいため 、ご自身で判別するのは非常に困難です。

見分け方のポイントと注意点

  • 形状と色調の違い: ADMがグレーや青みを帯びた「小さな点の集まり」であるのに対し 、肝斑は淡い茶色で「境界が不鮮明なもやもやとした面状」に広がります 。
  • 治療法の違い: ADMの治療には高出力レーザーの照射が必要ですが 、肝斑に高出力レーザーを当ててしまうと炎症が激化し、真っ黒に悪化してしまいます。肝斑にはトラネキサム酸などの内服薬やマイルドなレーザー(ピコトーニング)を使用します 。この治療方針の違いが、専門医による正確な診断を不可欠なものとしています。

老人性色素斑やそばかす(雀卵斑)との違い

一般的なシミである「老人性色素斑」は、紫外線ダメージの蓄積が原因です 。色ははっきりとした茶色で、境界線がくっきりしており、非対称に発生するのが一般的です 。
「そばかす(雀卵斑)」は遺伝的な要因が強く、幼少期から学童期にかけて鼻の付け根を中心に散らばるように発生します 。色は薄い茶色であり、ADMのようなグレーや青みはありません。

ニキビ跡などの炎症後色素沈着(PIH)との違い

「炎症後色素沈着(PIH)」は、ニキビ跡や虫刺され、摩擦など、肌に炎症が起きた後に生じる一時的な色素沈着です 。原因となった炎症と同じ形に現れます。
PIHの場合、原因を取り除き肌のターンオーバーを正常に保っていれば、数ヶ月から1年程度で自然に薄くなり消退していきます 。一方で、真皮の深い層に定着してしまったADMは、放置していても一生自然に消えることはありません。

皮膚科でのADM(後天性真皮メラノサイトーシス)のレーザー治療

ADMの治療は、その原因が皮膚の深い「真皮層」にあるという特性上、非常に専門的なアプローチが求められます。

唯一の有効な治療法:レーザー治療

ADMに対して有効性が確立されている治療法は、現在のところ「Qスイッチレーザー」または「ピコレーザー」を用いたレーザー治療のみです 。これらのレーザーは、ナノ秒(10億分の1秒)やピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い時間で高いエネルギーを照射することができます 。この強力なエネルギーが皮膚の深層にあるメラニン色素のみを選択的に破壊し、周囲の正常な組織へのダメージを最小限に抑えます。
一方で、以下のような一般的なシミ治療はADMには効果が期待できません。

  • 外用薬(塗り薬)・内服薬
    • 美白成分を含む外用薬やトラネキサム酸などの内服薬は、主に表皮のメラニンに作用するため、真皮にあるADMの色素には届きません 。
  • 光治療(IPL)やレーザートーニング
    • これらの治療はエネルギーがマイルドであったり、作用する深さが浅かったりするため、真皮のメラニンを破壊するには不十分です 。むしろ、不適切な治療は症状を悪化させるリスクさえあります。

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治療の道のり:現実的なタイムラインの理解

ADMの治療は、一度で完了するものではなく、根気強い通院が必要な長期的なプロセスです。治療を始める前に、現実的なスケジュールを理解しておくことが、安心して治療を続ける上で非常に重要です。

  • 治療回数
    • 著明な改善を得るためには、通常3回から5回の照射が必要となります 。1回の治療で完治することは稀です。
  • 治療間隔
    • 治療と治療の間隔は3ヶ月程度あけます。
    • レーザー照射後の「炎症後色素沈着」が生じている場合は、その治療が終わってから次回のレーザー照射となります。焦って短い間隔で治療を重ねると、かえって副作用のリスクを高める可能性があります 。
  • 総治療期間
    • 上記の回数と間隔から、治療が完了するまでには約6ヶ月から1年半程度かかることになります 。

レーザー照射後の経過:知っておくべき治癒プロセス

レーザー治療後の皮膚の変化を知っておくことは、不安を軽減し、適切なアフターケアを行うために不可欠です。特に、一時的に色が濃くなる「炎症後色素沈着」は、多くの方が経験する正常な反応であり、治療の失敗ではありません。

照射直後~数日

照射部位は赤みを帯び、ヒリヒリとした日焼けのような感覚があります 。その後、照射されたADMの部分が濃い茶色や黒色に変化し、薄いかさぶたが形成されます 。

約1~2週間後

かさぶたが自然に剥がれ落ちます。このとき、絶対に無理に剥がさないでください 。無理に剥がすと、傷跡や色素沈着の原因となります。かさぶたが取れた後の皮膚は、ピンク色で非常にデリケートな状態です 。

約1ヶ月後(炎症後色素沈着のピーク)

ここが最も重要な時期です。かさぶたが取れた後、治療部位が一時的に治療前よりも濃い茶色になることがあります。これは「炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)」、通称「戻りジミ」と呼ばれる現象です 。これはレーザーによる刺激で皮膚が炎症を起こし、メラニンが一時的に過剰に作られるために起こる正常な治癒過程の一部です。多くの患者様が「悪化したのでは」と不安になりますが、これは皮膚の深部で治療が効果を発揮している証拠でもあります 。

約3ヶ月~半年後

炎症後色素沈着は、時間の経過とともに徐々に薄れていきます 。この色素沈着が落ち着いた頃に、ADM自体の色が薄くなっているという本来の治療効果がはっきりと見え始めます。このプロセスがあるため、次のレーザー照射までには長い期間が必要なのです。

特記事項:肝斑が混在している場合

ADMは肝斑と合併していることが非常に多い疾患です 。この場合、治療の順番が極めて重要になります。ADM治療に用いる強力なレーザーは肝斑を悪化させるリスクがあるため、原則としてまず肝斑の治療を優先します 。トラネキサム酸などの内服薬や美白外用薬、マイルドなレーザートーニングなどで肝斑の状態を落ち着かせてから、ADMに対するレーザー治療に移行するのが標準的な治療計画です 。
ある程度肝斑が薄い場合、多少肝斑が残っていてもレーザー治療を優先させることもあります。ケースバイケースになるため、患者さん毎に治療計画を立てます。

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日常生活で気をつけるポイント

ADMのレーザー治療を成功に導くためには、クリニックでの治療と同じくらい、日々のセルフケアが重要になります。治療後のデリケートな肌を守り、治療効果を最大限に引き出すために、以下のポイントを心がけましょう。

1. 徹底した紫外線対策

レーザー治療後の肌は、バリア機能が一時的に低下しており、紫外線に対して非常に敏感になっています 。この時期に紫外線を浴びると、炎症後色素沈着が濃くなったり、長引いたりする原因となります 。

日焼け止めの選択

紫外線A波(UVA)とB波(UVB)の両方を防ぐ「広域スペクトル」タイプで、SPF30~50、PA+++以上の製品を選びましょう 。治療後の敏感な肌には、刺激の少ない「ノンケミカル処方(紫外線吸収剤不使用)」のものが推奨されます 。クリニックによっては、レーザー治療後専用の日焼け止めを扱っている場合もあります 。

正しい使用法

天候や屋内にいるかどうかにかかわらず、毎日必ず使用してください。外出時は2~3時間おきにこまめに塗り直すことが理想的です 。

物理的な防御

日傘、つばの広い帽子、サングラスなどを併用し、物理的に紫外線を遮断することも非常に効果的です 。

2. 「摩擦」を避ける優しいスキンケア

物理的な刺激は、あらゆる色素沈着の引き金となり得ます 。特に治療後の肌は、徹底して優しく扱う必要があります。

洗顔

洗顔料をしっかりと泡立て、指が直接肌に触れないよう、泡のクッションで優しく洗いましょう 。ぬるま湯で十分にすすぎ、清潔で柔らかいタオルで水分をそっと押さえるように拭き取ります。ゴシゴシこするのは厳禁です 。

スキンケア

化粧水や乳液などをつける際は、肌をこすらず、手のひらで優しく包み込むようにハンドプレスでなじませます 。

刺激の強い製品の回避

スクラブ入りの洗顔料や、AHA/BHA(フルーツ酸)、高濃度のレチノールなどが配合された角質ケア製品の使用は、肌が完全に落ち着くまで避けましょう 。

生活習慣

無意識に顔を触る癖や、マスクが強くこすれる状態、頬杖をつくなどの習慣にも注意が必要です 。

3. 保湿によるバリア機能のサポート

レーザー照射は、肌の水分を保持するバリア機能を一時的に低下させ、乾燥しやすくさせます 。肌の回復を助けるために、保湿は欠かせません。

保湿成分

セラミドやヒアルロン酸など、肌のバリア機能をサポートし、水分を補給する成分が配合された低刺激の保湿剤を選びましょう 。

保護軟膏

治療直後は、医師から処方された軟膏(ワセリンなど)を指示通りに塗布し、乾燥や外部刺激から肌を保護します 。

4. 体の内側からのケア

健やかな肌の回復には、生活習慣も影響します。バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理を心がけることは、肌のターンオーバーを正常に保ち、治癒プロセスをサポートします 。

よくある質問

Q
市販の美白化粧品でシミは消えますか?

A
いいえ、残念ながら市販の化粧品でできてしまったADMの治療をすることはできません。
 

Q
ADMを放置した場合、自然に消えることはありますか?

A
残念ながら、真皮に定着してしまったADMが自然治癒力や時間経過によって自然に消えることはありません。 表皮のシミであれば、肌のターンオーバーによって少しずつ垢として排出されますが 、ADMが存在する真皮層にはその仕組みがありません。放置すると加齢や紫外線、摩擦によって年々色が濃くなるケースが多いため、綺麗に治したい場合は医療機関でのレーザー治療が唯一の解決策となります。
 

Q
レーザー治療は痛いですか?治療後の経過は?

A
痛みはよく「輪ゴムでパチンと弾かれた程度」と表現されます。一瞬の痛みです 。治療後は、その部分が軽い火傷のような状態になり、1~2日で薄いかさぶたができます。クリニックの指示に従い、軟膏を塗って保護テープを7~10日ほど貼って過ごします 。かさぶたが自然に剥がれると、下からピンク色の新しい皮膚が現れます。この新しい皮膚は非常にデリケートなため、徹底した紫外線対策と保湿が不可欠です 。
 

Q
肝斑とADMが併発している場合、治療の順番はどうなりますか?

A
原則として、まずは「肝斑の治療」を最優先に行い、肌の炎症を落ち着かせることから始めます。 肝斑が活動しているデリケートな肌に、ADM用の高出力レーザーを当ててしまうと、肝斑が真っ黒に悪化してしまいます 。そのため、まずはトラネキサム酸の内服やトレチノインクリームの塗村主で肝斑を鎮静化させ 、安全な状態になったことを確認してから、ADMへのレーザー照射を行うという段階的なアプローチを行います
肝斑の活動性が軽度である場合は、この順番を逆にすることもあります。
 

Q
レーザー治療完了後、同じ場所に再発するリスクはありますか?

A
必要な回数のレーザー治療を最後まで完了させれば、同じ場所から再発するリスクは極めて低い疾患です。 レーザー照射後の一時的な戻りジミを「再発した」と勘違いされるケースがありますが 、これは正常な反応であり適切なケアで必ず薄くなります。ただし、ADMが綺麗に治った後でも、紫外線対策を怠れば同じ場所に新たな一般的なシミや肝斑ができる可能性はあります 。治療完了後も日焼け止めや保湿などの正しいスキンケアを毎日の習慣として継続することが大切です。
お顔の気になるシミが、深い層にあるADMなのか、浅い層の肝斑なのかをご自身で正確に判断することは極めて困難です。間違った自己流のケアは、症状を悪化させる最大の原因となります。
シミやあざでお悩みの方は、お一人で悩まずにぜひお早めに皮膚科専門医のいるクリニックを受診してください。詳細な診察により適切な診断を下し、保険適用での治療選択肢も含めて 、患者様お一人おひとりの肌状態に最も適した治療プランをご提案いたします。

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問診票

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≪監修者プロフィール≫
監修医師うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年4月 うらた皮膚科 副院長
令和3年11月 うらた皮膚科 院長