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脂漏性角化症(老人性イボ)

SEBORRHEIC KERATOSIS
最終更新日:2026-05-12

顔や首にできる「老人性いぼ」とも呼ばれる脂漏性角化症。加齢や紫外線が原因で発症し、自然に消えることはありません。本記事では、皮膚科専門医の監修のもと、初期症状から進行経過、皮膚がん(メラノーマ)との見分け方、保険適用となる液体窒素療法や、きれいに仕上がる自費のレーザー治療の違いを徹底解説します。ご自身の症状に合った正しい治療法や再発を防ぐ予防ケアを知り、美しい肌を取り戻しましょう。

脂漏性角化症とは
脂漏性角化症の症状
脂漏性角化症の原因
脂漏性角化症の治療方法
脂漏性角化症の予防方法
費用
よくある質問
シミ外来の予約

case1:老人性イボ+シミ

脂漏性角化症のCO2レーザー治療1
治療内容

ピコレーザーによる脂漏性角化症の治療

費用

ピコスポット 5,500~55,000円

副作用&リスク

1~2週間程度のかさぶた

色素沈着、色素脱失

case2:多発する老人性イボ

脂漏性角化症のCO2レーザー治療2
治療内容

CO2レーザーによる脂漏性角化症治療

費用

16,500~55,000円

副作用&リスク

1~2週間程度のかさぶた

1~3カ月の赤み

色素沈着、色素脱失

case3:老人性イボ+シミ

脂漏性角化症のピコレーザー治療
治療内容

ピコレーザーによる脂漏性角化症の治療

費用

ピコスポット 11,000~55,000円/回

副作用&リスク

1~2週間程度のかさぶた

色素沈着、色素脱失

case4:多発する老人性イボ

脂漏性角化症のCO2レーザー治療2
治療に内容

CO2レーザーによる脂漏性角化症治療

費用

16,500~55,000円

副作用&リスク

1~2週間程度のかさぶた

1~3カ月の赤み

色素沈着、色素脱失

case5:多発する老人性イボ

脂漏性角化症のCO2レーザー治療3
治療に内容

CO2レーザーによる脂漏性角化症治療

費用

16,500~55,000円

副作用&リスク

1~2週間程度のかさぶた

1~3カ月の赤み

色素沈着、色素脱失

脂漏性角化症とは

「老人性イボ」の正体:皮膚の自然な老化現象

多くの方が「老人性イボ」と聞くと、まず「老人」という言葉に少し抵抗を感じるかもしれません。そして「イボ」という言葉から、ウイルスが原因でうつるもの、というイメージを持つ方もいます。しかし、これらのイメージは脂漏性角化症の実態とは異なります。
まず、脂漏性角化症は、ウイルス感染が原因で生じる「イボ(尋常性疣贅など)」とは全く別のものです 。そのため、他の人にうつしたり、体の他の部位に触れることで広がったりすることはありません 。
脂漏性角化症の正体は、皮膚の細胞が過剰に増殖してできた「良性の皮膚腫瘍」です 。そして、「老人性」という名前がついていますが、これは加齢に伴って現れやすくなるという特徴を捉えたものです。早い方では20代から見られ始め、年齢を重ねるごとに数が増えたり、大きくなったりする傾向があります 。
肌が長年にわたって経験してきたことの現れであり、白髪やシワと同じように、皮膚の自然な老化現象の一つと捉えることができます 。したがって、脂漏性角化症は「老人性イボ」というよりは「加齢性イボ」と表現した方が実態に近いと言えるでしょう。

良性の「できもの」:がんとの違いと安心できる理由

皮膚に新しい「できもの」ができたとき、最も大きな心配事は「皮膚がんではないか?」ということでしょう。この点において、脂漏性角化症について最も重要なことは、これが「良性」であり、がん化する(悪性化する)ことはない、ということです 。この事実は、多くの研究で確認されており、安心していただきたい最大のポイントです。
皮膚がんと脂漏性角化症の根本的な違いは、細胞の増殖の仕方にあります。がん細胞は、無秩序かつ制御不能に増殖し、周囲の組織を破壊しながら深く浸潤したり、他の臓器に転移したりする能力を持ちます。一方、脂漏性角化症の細胞増殖は、皮膚の一番外側の層である「表皮」内にとどまり、コントロールされています。そのため、皮膚の深い部分に広がったり、体内の他の場所に転移したりすることはありません。
ただし、注意が必要なのは、ごくまれに皮膚がん(特に悪性黒色腫や基底細胞がんなど)が、見た目上、脂漏性角化症と非常によく似ている場合があることです 。そのため、「これは脂漏性角化症だろう」と自己判断するのではなく、皮膚科専門医による正確な診断を受けることが極めて重要です。医師はダーモスコピーという特殊な拡大鏡を用いて皮膚の内部構造を詳しく観察し、良性か悪性かを高い精度で見分けます 。診断が確定すれば、がんの心配をする必要はなくなります。

ほくろのがん(悪性黒色腫、メラノーマ)との鑑別が重要です。
ダーモスコピー検査が有効です。
当院でもダーモスコピー検査が受けられます。
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どのくらいの人が経験するの?年齢との関係

脂漏性角化症は、非常にありふれた皮膚の変化です。年齢とともにその発生頻度は高まり、40代以降になると多くの方に見られるようになります 。そして、80代になると、ほとんどすべての人に少なくとも一つは見られると言われるほど、一般的なものです 。
年代別の傾向を見ると、20代後半から30代で最初の小さなものが現れ始め、40代になると顔や手の甲など日光に当たりやすい場所で本格的に目立つようになります 。その後、50代、60代と年齢を重ねるにつれて、その数や大きさは徐々に増加していくパターンが一般的です 。
このように、脂漏性角化症は特別なものではなく、多くの人が経験するごく自然な皮膚の変化です。もしご自身の肌にこれを見つけても、「自分だけが…」と悩む必要は全くありません。加齢という自然なプロセスの一部として、多くの人と共有している現象なのです。

脂漏性角化症の症状

見た目の特徴:色、形、大きさ、手触りを詳しく解説

脂漏性角化症を正しく理解するためには、その見た目の特徴を知ることが第一歩です。患者さんが自身の皮膚を観察し、皮膚科医に相談する際の助けとなります。

色調は非常に多彩です。でき始めの初期段階では、肌色に近い薄茶色のシミのように見えることが多いです 。時間が経つにつれて、徐々に色が濃くなり、はっきりとした茶色から黒褐色、あるいは真っ黒になることもあります 。一つの病変の中でも色が均一でなく、濃淡のムラが見られることも特徴の一つです 。

一般的には円形や楕円形をしていますが、いびつな形になることもあります。最大の特徴は、周囲の正常な皮膚との境界が非常にはっきりしている点です 。まるで皮膚の上に粘土やワックスを貼り付けたかのような、「stuck-on (貼り付いた)」と表現される独特の外観を呈することがあります 。

大きさ

大きさも様々で、直径数ミリの小さな点のようなものから、数センチに及ぶ大きなものまであります 。放置すると、年月をかけてゆっくりと大きくなる傾向があります。

手触りと表面の状態

最も重要な特徴は、平坦なシミとは異なり、皮膚の表面からわずかに盛り上がっている(隆起している)ことです 。触ってみると、表面がカサカサ、ザラザラとした感触があります 。このザラザラ感は、古くなった角質が表面に蓄積するために生じます。表面がゴツゴツしていたり、ひび割れているように見えたりすることもあります。

できやすい場所と、できにくい場所

脂漏性角化症は、体のほとんどどこにでもできる可能性がありますが、特にできやすい場所と、逆に見られない場所があります。

できやすい場所

最も多く見られるのは、長年にわたって日光(紫外線)を浴びてきた場所です。具体的には、顔(特にこめかみ、頬、額)、頭部(髪の毛で覆われていない部分)、首、胸の上部、背中、手の甲などが挙げられます 。

日光が当たらない場所にもできる

紫外線が主な原因の一つである一方で、腹部、脇の下、胸の下、太ももの内側など、普段は衣類で覆われていて日光が当たらない場所にもできることがあります 。これは、加齢や遺伝的な要因も発症に強く関わっていることを示しています。

絶対にできない場所

脂漏性角化症には、絶対にできない体の部位があります。それは、手のひらと足の裏です 。

もしこれらの場所にシミやほくろのようなものができた場合は、脂漏性角化症ではなく、別の病変の可能性があるため、速やかに皮膚科を受診することが重要です。

時間による変化:シミが少しずつ盛り上がってくるプロセス

脂漏性角化症の多くは、最初から盛り上がったイボとして現れるわけではありません。その発生プロセスを理解することは、早期発見につながります。
脂漏性角化症は、いわゆる「シミ(老人性色素斑)」として始まります 。最初は、肌の表面にできた平坦な薄茶色のシミとして生じて、このシミが数ヶ月から数年という長い時間をかけて、ゆっくりと変化していきます。皮膚の細胞増殖が少しずつ活発になり、シミが徐々に厚みを増して盛り上がってきます。そして、表面がザラザラとした、典型的な脂漏性角化症の外観へと変化していくのです 。
このプロセスを知っていると、「最近、シミが少し盛り上がってきた気がする」「シミの表面を触るとザラザラするようになった」といった変化に気づきやすくなります。これは、皮膚の状態を正しく把握し、適切なタイミングで専門医に相談するための重要なサインとなります。

ほくろ、ウイルス性のイボ、そして皮膚がんとの見分け方

皮膚にできた「できもの」が何であるかを正確に判断することは、専門医にとっても慎重を要する作業です。しかし、患者さん自身が基本的な違いを知っておくことは、不要な心配を減らし、受診の必要性を判断する上で役立ちます。

ほくろ(色素性母斑)

発生時期: ほくろは子供の頃から存在することが多いのに対し、脂漏性角化症は成人後、特に中年以降に新たに出現することがほとんどです 。

表面の質感: 典型的なほくろの表面は比較的滑らかですが、脂漏性角化症はザラザラ、ゴツゴツしています 。

外観: 脂漏性角化症は「貼り付いた」ような見た目をすることが多いですが、ほくろは皮膚に埋め込まれているような印象です。

ウイルス性のイボ(尋常性疣贅)

原因: ウイルス性のイボはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因であり、接触によってうつります 。一方、脂漏性角化症はウイルスとは無関係で、うつることはありません 。

好発部位: ウイルス性のイボは手足の指や顔によくできますが、脂漏性角化症は体幹や頭部にも広く見られます。

見た目: ウイルス性のイボは表面がカリフラワーのように細かく分かれていることがあり、点状の黒い出血点が見られることもあります。

皮膚がん(最も重要)

この鑑別は最も重要であり、最終的には医師の診断が必要です。しかし、注意すべき「危険なサイン」を知っておくことは非常に大切です。皮膚がん、特に悪性黒色腫(メラノーマ)を疑う特徴として、「ABCDEルール」が知られています。

A (Asymmetry): 形が左右非対称である 。

B (Border): 境界線がギザギザしていて、不鮮明である 。

C (Color): 色が均一でなく、黒、茶、青、赤などが混じっている 。

D (Diameter): 直径が6mm以上である(ただし、小さいがんもある)。

E (Evolving): 大きさ、形、色が急速に変化する、出血する、潰瘍になる 。

脂漏性角化症も色が濃かったり形がいびつだったりすることがありますが、急激な変化(数週間~数ヶ月単位での明らかな増大や出血)はまれです。もし、ご自身の「できもの」にこれらの危険なサインが見られる場合は、迷わずすぐに皮膚科を受診してください。また、日光角化症という、赤みがかったザラザラした病変は、将来的に有棘細胞がんという皮膚がんに移行する可能性があるため、これも注意が必要です 。

かゆみや炎症が起こるケース

脂漏性角化症は通常、痛みやかゆみといった自覚症状はありません 。しかし、いくつかの状況で症状が現れることがあります。

かゆみ

できものが大きくなる過程で、むずむずとしたかゆみを感じることがあります 。

炎症

脂漏性角化症が衣類や下着、アクセサリーなどで常にこすれる場所にあると、物理的な刺激によって炎症を起こし、赤くなったり、ヒリヒリしたり、かゆみが強くなったりすることがあります 。炎症が起きた場合、見た目が変化し、診断が難しくなることもあるため、皮膚科での相談が推奨されます。

これらの症状は、治療を検討するきっかけになることが多いです。

脂漏性角化症の原因

なぜ脂漏性角化症ができるのか、その原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。その中でも特に重要とされることについて解説します。

二大要因:長年の紫外線ダメージと加齢

脂漏性角化症の発生における最も大きな要因は、「紫外線」と「加齢」です 。

紫外線ダメージの蓄積

私たちが生涯にわたって浴び続ける太陽光に含まれる紫外線は、皮膚細胞のDNAに少しずつダメージを与えます。若い頃は皮膚の修復機能が活発なため、このダメージは効率的に修復されます。しかし、長年にわたってダメージが蓄積すると、修復が追いつかなくなったり、修復ミスが起こったりします。その結果、皮膚の細胞(表皮角化細胞)の遺伝子に異常が生じ、細胞が過剰に増殖を始めることがあります。これが脂漏性角化症の発生につながると考えられています 。顔や手の甲など、日光に露出しやすい部位に多く発生するのは、この紫外線ダメージが大きく関与しているためです 。

加齢による皮膚の変化

加齢は、紫外線とは独立したもう一つの重要な要因です。年齢を重ねると、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)のサイクルが遅くなり、細胞の増殖や分化をコントロールする機能も低下していきます。このような皮膚の老化現象そのものが、細胞の異常増殖を誘発しやすくなります 。普段、日光に当たらないお腹や背中にも脂漏性角化症ができるのは、この加齢という要因が強く影響しているためです 。

この二つの要因は互いに影響し合っており、長年の紫外線ダメージを受けた肌が、加齢によってさらに変化しやすくなる、という形で発症に関わっているのです。

遺伝との深い関係:家族に多い場合は要注意?

同じように生活していても、脂漏性角化症がたくさんできる人と、そうでない人がいます。この個人差には、「遺伝的素因」が大きく関わっていることがわかっています 。
もしご両親や祖父母、兄弟姉妹に脂漏性角化症が多い場合、ご自身も体質的にできやすい可能性が高いと言えます 。これは、特定の遺伝子の変異が脂漏性角化症の発生に関与していることが、近年の研究で示唆されているためです。
遺伝的な要因が強い場合、比較的若い年齢(20代~30代)から発症することもあります 。また、完璧な紫外線対策を行っていても、ある程度はできてしまう可能性があります 。これは避けられない側面もありますが、遺伝的な素因があることを知っていれば、より一層の紫外線対策を心がけるなど、発症を遅らせたり、数を減らしたりするための動機付けになります。

ウイルス性ではない:人にうつらない理由

原因を考える上で、繰り返し強調すべき重要な点があります。それは、脂漏性角化症はウイルス性ではないということです 。
一般的に「イボ」と呼ばれるものの中には、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によってできる「尋常性疣贅」などがあります。これらはウイルスが原因であるため、接触によって体の他の部位に広がったり、他の人にうつったりする可能性があります 。
しかし、脂漏性角化症の原因は、これまで述べてきたように、紫外線、加齢、遺伝といった内因的・外因的な要因による自分自身の細胞の変化です 。ウイルスや細菌などの病原体は一切関与していません。したがって、脂漏性角化症を触ったり、引っ掻いたりしても、他の場所にうつることはありません。また、タオルや寝具の共有、入浴などを通じて家族や他人にうつす心配も全くありません 。

治療方法

治療の前に:医学的な必要性と美容的な目的

脂漏性角化症の治療を考える上で、まず理解しておくべきことは、ほとんどの場合、医学的に治療が必須ではないということです 。これは良性の腫瘍であり、放置しても健康を害したり、がん化したりすることはないためです。
では、どのような場合に治療が検討されるのでしょうか。主な理由は以下の3つに大別されます。

見た目の改善が目的

最も多い理由がこれです。顔や首、手など、人目につきやすい場所にできてしまい、見た目が気になるという場合です 。特に数が増えたり、色が濃くなったりすると、コンプレックスに感じる方も少なくありません。より良いQOL(生活の質)を求める観点から、治療が選択されます。

物理的な刺激による不快症状

できものがベルトの当たる腰回り、下着のゴムが触れる部分、ネックレスがこすれる首元などにあると、常に刺激されてかゆみや炎症、時には出血を引き起こすことがあります 。このような不快な症状を解消するために治療が行われます。

診断の確定

非常に稀ですが、見た目だけでは皮膚がんとの区別が難しい場合があります。その際、診断を確定させる目的で、病変を切除して病理組織検査(顕微鏡で細胞を調べる検査)に提出することがあります 。

治療を受けるかどうかは、最終的には個人の判断に委ねられます。治療のメリットとデメリット、費用などを総合的に考慮し、医師と相談しながら決定することが大切です。

皮膚科で行われる代表的な治療法を徹底比較

脂漏性角化症に対して、市販の塗り薬や飲み薬で効果が期待できるものはありません 。治療は皮膚科などの医療機関で、専門的な処置によって行われます。代表的な治療法にはそれぞれ特徴があり、病変の大きさ、場所、患者さんの希望などに応じて最適な方法が選択されます。

 治療法  仕組み  メリット  デメリット 治療回数の目安
 液体窒素凍結療法  マイナス196℃の超低温液体窒素で病変を凍結させ、細胞を壊死させる 。  ・手軽で短時間 ・保険適用で安価 ・治療時に痛みを伴う ・複数回の治療が必要な場合がある ・炎症後の色素沈着が残りやすい ・細かい調整が難しく、周囲の皮膚にもダメージが及ぶことがある  3~5回以上
炭酸ガス  レーザー光のエネルギーで水分を蒸散させ、病変を精密に削り取る 。  ・非常に精密で、周囲へのダメージが少ない ・傷跡が綺麗に治りやすい(特に顔に適する) ・多くは1回の治療で完了する ・保険適用外(自由診療)で費用が高額 ・局所麻酔の注射が必要 ・一時的な赤みや色素沈着が起こる 1回
 外科的切除  メスで病変を切り取り、皮膚を縫合する 。  ・大きな病変や深い病変も確実に取り除ける ・切除した組織を病理検査に出せる ・再発のリスクが最も低い ・線状の傷跡が残る ・体への負担が他の方法より大きい 1回
 電気メス (高周波メス)  高周波の電気エネルギーで病変を焼き切る、または削り取る 。  ・出血が少なく、短時間で処置が可能 ・炎症後の色素沈着や傷跡のリスクがある ・レーザーほどの精密さはない 1回

どの治療法を選択するかは、医師との相談が不可欠です。例えば、顔などの目立つ場所で、できるだけ綺麗に治したい場合はレーザー治療が適していることが多いですが、費用を抑えたい場合や目立たない場所であれば液体窒素凍結療法も良い選択肢となります 。

治療後の経過:ダウンタイムとアフターケアの重要性

治療を受けたら終わり、ではありません。治療後の傷をいかに綺麗に治すかは、アフターケアにかかっています。
治療直後の皮膚は、軽い擦り傷のような状態になっています。治療法によって異なりますが、一般的な経過は以下の通りです。

治療直後~数日

治療部位は赤みを帯び、少しヒリヒリすることがあります。医師の指示に従い、抗生剤の軟膏を塗布し、保護テープや絆創膏で覆います 。

数日~1,2週間

次第に薄いかさぶたが形成されます。このかさぶたは、傷を守る天然の絆創膏の役割を果たします。無理に剥がさず、自然に剥がれ落ちるのを待つことが非常に重要です 。洗顔やシャワーは可能ですが、こすらないように優しく行います。

かさぶたが取れた後

かさぶたが剥がれると、下からピンク色の新しい皮膚が現れます。この新しい皮膚は非常にデリケートで、紫外線や摩擦の刺激に弱いため、丁寧なケアが必要です。

この期間で最も重要なアフターケアは「紫外線対策」です 。新しい皮膚に紫外線が当たると、後述する色素沈着が濃く、長く残る原因になります。日焼け止めの使用や、テープでの保護を徹底しましょう。

治療の跡は残る?色素沈着について

治療後の跡がどうなるかは、多くの方が心配される点です。ここで理解しておくべきなのが、「炎症後色素沈着(PIH: Post-Inflammatory Hyperpigmentation)」という現象です。
皮膚は、怪我や火傷、手術、レーザー治療など、何らかの炎症が起こると、その反応としてメラニン色素を過剰に生成する性質があります 。その結果、傷が治った後に、その部分が一時的に茶色いシミのようになるのです。これは異常な反応ではなく、皮膚の正常な治癒過程の一部です 。

色素沈着の経過

治療後、ピンク色だった皮膚は、1ヶ月後くらいをピークに茶色くなります。この茶色いシミは、その後数ヶ月から、長い場合は1年ほどかけて、ゆっくりと薄くなっていき、最終的には周囲の肌色に馴染んでいきます 。

個人差と対策

色素沈着の濃さや期間には個人差があり、もともと色黒の方や、治療部位に強い炎症が起きた場合、そしてアフターケア(特に紫外線対策)を怠った場合に、濃く長く残りやすくなります 。

治療によって脂漏性角化症そのものは取り除かれますが、肌が完全に元の状態に戻るまでには時間がかかることを理解し、焦らずに適切なアフターケアを続けることが、最終的な綺麗な仕上がりにつながります。

脂漏性角化症の予防方法

脂漏性角化症は加齢や遺伝も関わるため、完全に防ぐことは難しいですが、その発生を遅らせたり、数を減らしたりするためにできる対策はあります。その中心となるのは、原因の項目で述べた自分で管理できる要因へのアプローチです。

最も効果的な予防策:毎日の紫外線対策

脂漏性角化症の最大の誘因の一つが紫外線である以上、最も効果的で重要な予防策は、徹底した紫外線対策です 。これは、新たな脂漏性角化症の発生を防ぐだけでなく、すでにあるものが濃くなったり大きくなったりするのを抑制する効果も期待できます。
具体的な対策は以下の通りです。

日焼け止めの習慣化

天気や季節、屋内外を問わず、毎日日焼け止めを使用することを習慣にしましょう。紫外線A波(UVA)は窓ガラスを透過するため、室内や車内にいるときも油断はできません 。顔や首、手の甲など、露出しやすい部位には特に念入りに塗布します。

こまめな塗り直し

日焼け止めは汗や摩擦で落ちてしまうため、2~3時間おきに塗り直すことが理想的です 。特に屋外での活動時や汗をかいた後は、必ず塗り直しましょう。

物理的な防御

日焼け止めだけに頼らず、物理的な方法を組み合わせることが効果を高めます。つばの広い帽子、サングラス、UVカット機能のある衣類(長袖、アームカバーなど)、日傘などを積極的に活用しましょう 。

時間帯の工夫

紫外線の量が最も多くなる午前10時から午後2時頃の時間帯は、なるべく屋外での長時間の活動を避ける工夫も有効です。

皮膚の健康を保つ生活習慣とスキンケア

紫外線対策に加えて、皮膚全体の健康状態を良好に保つことも、間接的に脂漏性角化症の予防につながります。健康な皮膚はバリア機能が高く、外部からの刺激に対する抵抗力が強いためです。

保湿ケア

皮膚が乾燥するとバリア機能が低下し、紫外線の影響を受けやすくなります。洗顔後や入浴後は、化粧水や乳液、クリームなどでしっかりと保湿を行い、皮膚の潤いを保ちましょう 。

バランスの取れた食事

皮膚の健康を支える栄養素を積極的に摂取しましょう。特に、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンE、β-カロテンなどを多く含む緑黄色野菜や果物を食事に取り入れることが推奨されます 。

十分な睡眠とストレス管理

睡眠不足やストレスは、肌のターンオーバーを乱し、免疫機能を低下させる原因になります。規則正しい生活を心がけ、質の良い睡眠を確保することが大切です 。

遺伝的要因がある場合の向き合い方

ご家族に脂漏性角化症が多いなど、遺伝的な素因が強い場合、予防策を講じてもある程度は発症してしまう可能性があります 。しかし、だからといって対策が無意味なわけではありません。
遺伝という変えられない要因があるからこそ、紫外線対策という変えられる要因に積極的に取り組む意義は大きくなります。徹底した紫外線対策は、発症する年齢を遅らせたり、できる「できもの」の数や大きさを最小限に抑えることにつながります。予防は「ゼロにする」ことだけが目的ではなく、「リスクを管理し、影響を最小化する」という視点が大切です。日頃からご自身の肌の状態をよく観察し、変化があれば早めに専門医に相談するという意識を持つことも、遺伝的要因と上手に付き合っていくための重要なポイントです。

よくある質問

Q
他の人にうつりますか?

A
いいえ、絶対にうつりません。
脂漏性角化症はウイルスや細菌が原因ではなく、ご自身の皮膚細胞が加齢や紫外線の影響で変化したものです。そのため、接触によって他の人に感染させたり、ご自身の体の他の部位に広がったりする心配は一切ありません 。
 

Q
がんになることはありますか?

A
いいえ、脂漏性角化症そのものが、がん(悪性腫瘍)に変化することはありません。
これは良性の腫瘍であり、その性質が変わることはないと考えられています。ただし、注意が必要なのは、まれに皮膚がんが初期の段階で脂漏性角化症とよく似た見た目をしていることがある点です 。そのため、自己判断はせず、皮膚科専門医による正確な診断を受けることが非常に重要です。
 

Q
自分で取ったり、市販のイボコロリのような薬を使ったりしても良いですか?

A
いいえ、絶対にやめてください。
自分で除去しようとすることには、以下のような深刻なリスクが伴います。
  • 効果がない: 市販のイボ治療薬(イボコロリなど)は、ウイルス性のイボを対象としたものであり、脂漏性角化症には全く効果がありません 。
  • 感染や傷跡のリスク: 爪で引っ掻いたり、カッターやハサミで切除しようとしたりすると、皮膚を傷つけ、そこから細菌が侵入して感染を起こしたり、ケロイドのような目立つ傷跡が残ったりする危険性があります 。
  • 再発のリスク: 不完全な除去では、皮膚の深い部分に細胞が残り、そこから再発する可能性が高くなります 。

誤診の危険性: 最大のリスクは、もしその「できもの」が実は皮膚がんだった場合に、適切な診断と治療の機会を逃してしまうことです。これは命に関わる可能性があります 。安全かつ確実な治療のために、必ず医療機関を受診してください。
 

Q
短期間で急に数が増えてかゆみも伴います。これは危険なサインですか?

A
はい、これは注意すべきサインである可能性があります。
数ヶ月という短期間のうちに、強いかゆみを伴う脂漏性角化症が全身に多数、突然出現する現象は「レーザー・トレラ徴候(Sign of Leser-Trélat)」と呼ばれています。これは非常にまれな現象ですが、胃がんや大腸がんといった内臓の悪性腫瘍が隠れているサインである可能性が指摘されています 。もしこのような症状に気づいた場合は、単なる皮膚の問題と考えず、速やかに医療機関を受診し、全身の精密検査を受けることを強くお勧めします。
 

Q
治療を受けるべきか迷っています。判断の基準はありますか?

A
治療を受けるかどうかの最終的な判断は、ご自身の希望によります。医学的には必須ではないため、以下の点を基準に考えてみると良いでしょう。
  • 見た目が気になり、精神的なストレスになっているか。
  • 衣類などでこすれて、かゆみや痛みなどの不快な症状があるか。
  • 診断を100%確定させ、安心したいという気持ちがあるか。

これらのいずれかに当てはまる場合は、治療を検討する価値があります。一方で、特に気にならず、症状もない場合は、急いで治療する必要はありません。そのまま経過を観察するというのも一つの有効な選択肢です。まずは皮膚科医に相談し、ご自身の状況や希望を伝えた上で、治療のメリット・デメリットについて詳しい説明を受け、納得のいく決断をすることが大切です。

費用

保険診療

※別途、初診料、再診料、処方量、薬剤量などがかかります。

液体窒素による冷凍凝固法

210~270円(1割負担のとき)

630~810円(3割負担のとき)

手術 

2,670円~4,680円(1割負担のとき)

8,010円~14,040円(3割負担のとき)

自費診療

初診料

3,300円

再診料

1,100円

ほくろ・イボ(5mmまで)

1個 11,000円

ほくろ・イボ(6-10mm)

1個 16,500円

ほくろ・イボ(11-20mm)

1個 22,000円

ほくろ・イボ(21mm以上)

1個 27,500円

顔の小さなイボ

1個 880円

30個 22,000円

とり放題 55,000円

首のイボ

1個 880円

30個 22,000円

とり放題 55,000円

ご予約方法

≪シミ外来専用の予約サイト≫でも、≪一般の外来受診≫でも、シミ・イボ・ホクロなどについてのご相談が可能です。

≪シミ外来専用の予約サイト≫

受診1か月前から時間予約が可能です。
 
シミ外来の予約をする
 

≪一般の外来受診

当日のWEB順番予約は、診療開始時間から順番をお取りすることができます。
直接お並びいただく場合は、診療開始15分前から窓口受付をしています。

  午前 午後
診療時間 9:30~12:30
(土曜 9:00~13:00)
15:00~18:30
WEB
順番予約
9:30~12:00
(土曜 9:00~12:30)
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窓口
受付時間
9:15~12:30
(土曜 8:45~13:00)
14:45~18:30

Web順番予約の取り方
 
シミ外来ではスタッフによるカウンセリング後に、医師の診察を行っています。
診療の状況により、カウンセリング後の診察をお待ちいただくお時間が必要となりますことをご了承ください。

当日施術のご希望は空き状況によってご案内出来ないことがございます(別日の予約施術になります)
土曜日の当日施術は、特に予約施術が多いため待ち時間が長くなります。
最後の枠でのシミ外来のご予約は、麻酔ありでの施術が行えません。
詳しくは、こちらをご覧ください。→初診の方へ(Q&A)

 

問診票

事前に問診票のご記入をしていただくと、その後の診察をスムーズに進めることが出来ます。LinkIcon問診票ダウンロード

≪監修者プロフィール≫
監修医師うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年4月 うらた皮膚科 副院長
令和3年11月 うらた皮膚科 院長