基底細胞がんとは
基底細胞がんの原因
表皮の基底層で毛包を構成する細胞から発生すると考えられています。
紫外線などが誘因のひとつとなっていると報告されています。
基底細胞がんの症状
最初は小さなほくろのように発症して、次第に大きくなります。
組織破壊力が高く、ゆっくりですが、止まることなく大きくなり続けます。
転移をすることは非常に稀です。
基底細胞がんの頻度
40歳以上で好発し、性別による差はありません。
日本人では最も頻度の高い皮膚がんで、皮膚がん全体の約24%を占めます。
1年間に10万人あたり4人と報告されています。。
基底細胞がんの病理検査による分類
結節・潰瘍型
- 最も多い病型。
- 小さなほくろのように生じて、徐々に大きくなります。
- 大きくなるにつれて中心部に傷(潰瘍)ができて、ただれてくることがあります。
表剤型
- 体幹や四肢に良くでき、顔面には少ない病型。
斑状強皮症型
- 稀な病型で、顔面に生じることが多い。
- 典型的な見た目では無いため、病理検査をして初めて診断できることもあります。
- 境界がはっきりせず、また深部への浸潤傾向も強いため、一度目の手術でとりきれずに再手術になることが多いタイプです。
浸潤型
- 境界がはっきりしません。
- 深部への浸潤傾向が強く、皮下組織への浸潤破壊が見られます。
その他
- その他に、微小結節型やピンカス型などがあります。
- 複数の病理型が混在したタイプもあります。
基底細胞がんの診断
典型的なものであれば、皮膚科医であれば見れば診断できます。
ダーモスコピーが特に力を発揮する皮膚がんでもあります。
ダーモスコピーで6つの典型所見のうち1つでも見られれば、「基底細胞がんである確率は93~100%」と報告されています。
基底細胞がん診察で皮膚科を受診する際は、ダーモスコピー診察を行っている病院を選ぶようにしましょう。
基底細胞がんの治療
基本的には手術治療になります。
手術
- 日本皮膚科学会ガイドライン:推奨度A
第一選択として強く推奨されうる。
放射線治療
- 日本皮膚科学会ガイドライン:推奨度B
日本では手術を優先すべきことが多い。
放射線治療でも90%で局所制御が得られると報告されている。
イミキモドクリーム
- 日本皮膚科学会ガイドライン:推奨度C1
日本では違う疾患での承認薬だが、基底細胞がんには承認されてはいない。
海外では基底細胞がんに、保険診療で承認されている国もある。
表剤型では80%の確率で消退すると報告されている。
5-FU軟膏
- 日本皮膚科学会ガイドライン:推奨度C1
表剤型では95%以上の確率で消退すると報告されている。
PDT:Photodynamic Therapy
- 日本皮膚科学会ガイドライン:推奨度C1
表剤型では80~100%の確率で消退すると報告されている。
抗がん剤
治療効果はあるものの、本邦では承認されていない。
海外では承認されており強力な治療効果が期待できる。
日本では黒色の単発が多いため手術適応になることが多く、海外では境界不明瞭な病変が多発する症例が多いという背景もあります。
基底細胞がんの当院の役割
転移することは稀ですが、放っておくと局所破壊を続けて増大を続けます。
多くは顔の目立つところに出来ますので、小さなうちに治療してしまうことが、整容面からも大切です。
「大人になったからできた、増大傾向がある、鼻周囲のほくろみたいなできもの」には注意が必要です。
当院に何でもご相談ください。
街のかかりつけ医として、
皮膚がんを啓蒙し、早期発見に努めています。
基底細胞がんの治療はクリニックで治療可能なものもあります。
大きなもの、危険な病理組織タイプ、危険な部位などでは、基幹病院にご紹介させていただきます。