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イソトレチノイン

ISOTRETINOIN
最終更新日:2025-10-13

長年、さまざまな治療を試しても改善しない、しつこいニキビに悩んでいませんか。炎症が強く、跡に残ってしまうような重症のニキビは、心にも大きな負担となります。そんな、他の治療法では効果が見られなかった方々のために、ニキビ治療の「最後の切り札」とも言われる選択肢があります。それが、イソトレチノインによる内服治療です。
この治療は、ニキビの根本原因に強力に働きかけることで、多くの患者さんに劇的な改善をもたらし、ニキビができにくい肌質へと導く可能性を秘めています 。しかし、その高い効果と引き換えに、正しく理解し、厳格に管理しなければならない副作用や注意点が存在します。
この記事は、イソトレチノイン治療を検討している方々が、治療について深く理解し、医師と十分に話し合った上で、納得して治療に臨むための一助となることを目的としています。

症例写真
ニキビのイソトレチノイン治療とは
イソトレチノインの治療効果
イソトレチノインの効果
イソトレチノインの副作用
治療の流れ
価格

イソトレチノイン治療の症例写真

当院の患者様の治療経過です。

症例1 顔のニキビ

ニキビのイソトレチノイン治療 治療前

治療前
ニキビのイソトレチノイン治療 治療3か月後

3か月後
ニキビのイソトレチノイン治療 治療6か月後

6カ月後

治療内容:イソトレチノイン20㎎で治療。
費用:16,500円(30日分)×6か月
リスク:乾燥、赤み、頭痛、催奇形性など

症例2 顔のニキビ

ニキビのイソトレチノイン治療 治療前

治療前
ニキビのイソトレチノイン治療 治療後

治療後

治療内容:イソトレチノイン20㎎で治療。
費用:16,500円(30日分)×6か月
リスク:乾燥、赤み、頭痛、催奇形性など

ニキビのイソトレチノイン治療とは

イソトレチノイン治療とは

ビタミンAに似たレチノイドと呼ばれるグループに属する薬です。
商品名ではロアキュテイン、イソトロイン、アクネトレントなどがあります。
「皮脂分泌を抑制」「角化の正常化による毛穴づまりの改善」「抗炎症作用」があり、重症ニキビ治療に有効です。
海外では、ニキビの治療ガイドラインで中等度~重症のニキビ治療に強く推奨されており、アメリカ・イギリスなどをはじめ多くの国で承認されています。
日本では、現在は未承認であるため自費診療となります。
 

イソトレチノイン治療の対象になる方

  • 保険のニキビ治療で、改善しない方。(間違った使い方をされている方が多いため、イソトレチノイン治療希望で受診された患者様にも、保険のニキビ薬の正しい使い方をご説明させていただいています。)
  • ホルモン治療、スピロノラクトン治療で改善しない方。
  • ボコボコした塊、膿が溜まりやすい中等症~重症ニキビの方。

当院では、ニキビの治療ガイドライン(日本、海外)を順守したエビデンスに基づいた診療を行っています。
「ニキビ」の治療で、上記に当てはまる時はイソトレチノイン治療をご紹介しています。
「ニキビ跡」の治療には、レーザー治療を行っています。

 

イソトレチノイン治療をできない方

妊娠中、妊娠の計画がある

  • 胎児の奇形を引き起こすリスクが高くなるため、内服中~内服後6ヶ月は避妊が必要です。
  • 大きな奇形が妊娠の初期(0~13週)の間にイソトレチノインの影響を受けた胎児の40%におこります。
  • 大人の女性には、安全性の高いニキビのホルモン治療もお勧めしています。
  • 男性も内服中~内服後6ヶ月は避妊が必要です。 
  • 内服中~内服後6ヶ月は献血が出来ません。

授乳中
成長期

  • 骨端線の閉鎖により身長が伸びにくくなる可能性があります。

イソトレチノイン製剤、ビタミンAのアレルギーがある。
テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)を使用中
重篤な肝障害、腎障害
重篤な高脂血症、高コレステロール血症がある。
ビタミンA過剰症
うつ病もしくはうつ気質

ニキビのイソトレチノイン治療の治療効果

イソトレチノインがなぜ「最後の切り札」と呼ばれるのか。それは、ニキビを発生させる複数の根本原因に対して、同時に、そして強力に働きかけることができる唯一の内服薬だからです。

ニキビの根本原因に働きかける4つのメカニズム

イソトレチノインは、以下の4つの作用によって、ニキビの悪循環を断ち切ります。

皮脂分泌の強力な抑制

ニキビの主な栄養源は皮脂です。イソトレチノインは、皮脂を作り出す「皮脂腺」そのものを縮小させる作用があります。これにより、過剰な皮脂の分泌が劇的に減少し、アクネ菌が繁殖しにくい肌環境を作り出します 。

毛穴の詰まりの正常化

ニキビの始まりは、毛穴の出口が異常な角化(皮膚細胞が正常に剥がれ落ちない状態)によって塞がれることです。イソトレチノインは、この皮膚細胞の働きを正常化させ、毛穴が詰まりにくくなるように改善します 。

アクネ菌の減少

皮脂というエサが減り、毛穴の詰まりという住処がなくなることで、ニキビの原因菌であるアクネ菌は増殖することができなくなります。直接的な殺菌作用ではなく、菌が生きられない環境を作ることで間接的に菌を減らします 。

優れた抗炎症作用

赤く腫れたニキビは、アクネ菌に対して体の免疫が過剰に反応している状態です。イソトレチノインは、この免疫反応を正常化し、ニキビの炎症を鎮める強力な抗炎症作用を持っています 。

期待できる効果と治療のゴール

この治療の最終的なゴールは、単に今あるニキビを治すことだけではありません。治療コースを完了することで、ニキビがほとんどできない、あるいはできても軽度で済むような「ニキビを繰り返しにくい肌質」へと根本的に改善させ、その状態を長期間維持すること(寛解状態)を目指します 。
また、重症のニキビを早期に、かつ強力に抑え込むことで、将来的に深刻なニキビ跡(クレーターなど)が残るのを防ぐという、非常に重要な役割も担っています 。ただし、すでにできてしまった凹凸のあるニキビ跡を治す効果は期待できません 。

「効果発現のタイムライン」と「治療初期の増悪反応」

治療効果の現れ方には個人差がありますが、一般的な経過を知っておくことは、安心して治療を続ける上で非常に重要です。

治療開始〜1ヶ月頃

まず最初に、唇や皮膚の乾燥といった副作用が現れ始めます。そして、この時期に一部の方で、「治療初期の増悪反応」がみられることがあります(見られないことの方が多いです)。

これは、薬の効果で皮膚のターンオーバーが活発になり、皮膚の奥に潜んでいたニキビの芽が一斉に表面に押し出されるために起こるものです。治療が効き始めている証拠であり、失敗ではありませんので、自己判断で中断しないことが大切です 。

1ヶ月〜3ヶ月頃

初期の増悪反応が落ち着き、皮脂の量が減ってきたことを実感し始めます。新しいニキビができる頻度が徐々に減少し、肌状態が改善に向かいます 。

3ヶ月〜6ヶ月頃

多くの方が、ニキビの大幅な改善を実感する時期です。肌はかなりクリアな状態になります 。

6ヶ月以降

ニキビがほぼできなくなった後も、再発を防ぐための総投与量を満たすまで治療を継続し、寛解を目指します 。

イソトレチノイン治療の臨床研究

イソトレチノイン治療の米国皮膚科学会ガイドラインでの位置づけ(2016年度)

  • 米国では、1982年にニキビ治療薬として承認されている。
  • ほとんどすべての重症ニキビ治療に成功することが証明されている。
  • 重症ニキビの第一選択治療である。
  • 治療抵抗性の中等症ニキビにも効果的に使用されている。
  • 催奇形性があるため、厳格な避妊が重要。

 

低用量イソトレチノインによる中等度ニキビ患者638名の研究

  • 中等度ニキビ患者さん638名を、イソトレチノイン1日20㎎で6カ月治療した。
  • 12〜20歳の患者の94.8%、21〜35歳の患者の92.6%のニキビが治癒した。
  • 4年間の追跡期間中に、にきびの再発は、12〜20歳の患者の3.9%および21〜35歳の患者の5.9%だった。
  • 主な副作用は、血液検査での軽度の脂質レベルの上昇4.2%、軽度の肝機能異常が4.8%。

 

イソトレチノイン治療1クール後の179名の3年間追跡調査研究

  • 35%:再発がみらなかった。
  • 16%:塗り薬治療で、再発ニキビをコントロール出来た。
  • 27%:抗生剤内服治療で、再発ニキビをコントロール出来た。
  • 23%:イソトレチノインの再投与が必要な重症度の再発がみられた。

 

イソトレチノイン治療の再発に関する研究

  • 1日0.5mg/kgの投与で再発率39%、1日1mg/kgの投与で再発率22%と有意差があった。
  • 1クールの投与量が120mg/kg未満で再発率82%、120mg/kg以上の場合は30%と有意差があった。(体重60㎏、治療期間6カ月間とすると、120㎎/kg以上になるための1日内服量は40mg以上です。)
  • 1日の投与量が十分では無いと、再発率が高くなる。
  • 期間中の総投与量が少ないと、再発率が高くなる。
  • 治療がうまく行った時に早期治療終了すると、再発率が高くなるかもしれない。
  • 断続的な治療(飲んだり飲まなかったりする日がある)は再発率を高くなる。

ニキビのイソトレチノイン治療の副作用

イソトレチノインは高い治療効果を持つ一方で、ほぼ全ての方に何らかの副作用が現れます。副作用を正しく理解し、適切に対処しながら治療を進めることが、安全で効果的な治療の鍵となります。

副作用の全体像:正しく理解し、適切に対処する

イソトレチノイン治療は、いわば体全体を「ビタミンA過剰症」の状態にすることで効果を発揮します 。そのため、これから挙げる副作用の多くは、ビタミンAの過剰摂取によって起こる症状と一致します。大切なのは、副作用を過度に恐れるのではなく、どのような症状が起こりうるかを知り、その対処法を身につけ、医師と連携して管理していくことです。

高頻度でみられる副作用とセルフケア

以下の副作用は、治療中に多くの方が経験するものですが、適切なセルフケアで症状を和らげることができます。

乾燥

これは最も一般的で、ほぼ100%の方に現れる副作用です 。皮脂の分泌を強力に抑える作用の裏返しと言えます。

唇(口唇炎): 唇のひび割れや皮むけが必ず起こります。ワセリンや保湿力の高いリップクリームを1日に何度もこまめに塗ることが不可欠です 。

皮膚: 全身の皮膚が乾燥し、カサカサしたり痒みが出たりします。洗浄力の強い洗顔料を避け、低刺激性の保湿剤(ローションやクリーム)で顔と体の保湿を徹底しましょう 。

鼻: 鼻の粘膜が乾燥し、鼻血が出やすくなることがあります。ワセリンを鼻の中に薄く塗ることで保護できます 。

目(ドライアイ): 目が乾きやすくなり、コンタクトレンズの使用が困難になる場合があります。人工涙液(目薬)を積極的に使用しましょう 。

光線過敏症

皮膚が紫外線に対して非常に敏感になり、日焼けしやすくなります。曇りの日や室内でも油断せず、毎日、日焼け止め(高SPF値のもの)を塗る習慣を徹底してください 。

定期的な血液検査で確認する副作用

目に見えない体の変化をチェックするために、定期的な血液検査が義務付けられています。

肝機能障害

肝臓の数値(AST, ALTなど)が上昇することがあります 。

脂質異常症

血液中の中性脂肪(トリグリセリド)やコレステロール値が上昇することがあります 。これは体脂肪が増えて太るということではありません 。

これらの数値の変化は、多くの場合、軽度で一時的なものです。服用を中止すれば元に戻ることがほとんどですが、安全のために医師が定期的にモニタリングし、必要に応じて薬の量を調整したり、休薬したりします 。

まれだが注意すべき重篤な副作用

頻度は低いものの、万が一起こった場合に備えて知っておくべき副作用もあります。

精神症状

気分の落ち込み、うつ症状、まれに自殺企図などが報告されています。しかし、近年の研究では、イソトレチノインとこれらの症状との直接的な因果関係は明確ではないとも言われています。それでも、治療中に気分の大きな変化を感じた場合は、すぐに医師に相談してください 。

頭蓋内圧亢進

激しい頭痛、吐き気、かすみ目などの症状が現れることがあります。これは特定の抗生物質(テトラサイクリン系)との併用でリスクが高まるため、併用は絶対に禁止されています 。

その他

筋肉痛や関節痛(特に激しい運動をする方)、一時的な抜け毛、夜間の視力低下などが報告されています 。

最重要警告:胎児への影響(催奇形性)

これはイソトレチノイン治療における最も重要で、絶対に避けなければならない副作用です。
妊娠中の方がイソトレチノインを服用すると、胎児に深刻な先天異常(奇形)を引き起こす可能性が極めて高くなります 。流産や死産のリスクも高まります。このリスクは服用量や期間にかかわらず存在し、絶対に許容できません。
そのため、治療期間中および治療終了後の一定期間は、絶対に妊娠してはなりません

ニキビのイソトレチノイン治療の治療の流れ、注意点

安全かつ効果的に治療を進めるためには、定められた手順とルールを厳守することが不可欠です。

治療開始から完了までの標準的なステップ

初診・同意

医師がニキビの状態を診察し、イソトレチノイン治療の適応があるかを判断します。治療の効果、副作用、注意点について詳細な説明を受け、内容を十分に理解した上で、治療同意書に署名します 。

治療前検査

治療を開始しても問題ないかを確認するため、血液検査(肝機能、脂質など)を行います。女性の場合は、妊娠していないことを確認するための検査も必須です 。

内服開始

通常、1日20mgなどの低〜中用量から開始します。薬は脂溶性のため、食事、特に脂肪分を含む食事の直後に服用すると吸収率が高まり、効果が最大限に発揮されます 。

定期的診察・検査

原則として1ヶ月に1回、通院が必要です。医師が肌の状態や副作用の有無を確認し、血液検査を定期的に(通常は治療開始1ヶ月後、その後は2〜3ヶ月ごと)行い、安全性をモニタリングします 。

治療期間

治療期間は通常6ヶ月程度ですが、治療経過によっては期間が長くなったり、途中で増量することがあります。

イソトレチノイン治療の料金

 全て税込み価格です。
 血液検査は当院で治療している患者様にしか実施しておりません。

初診料

3,300円

再診料 

1,100円

検査料

1,650円

薬剤料

イソトレチノイン10㎎(30日分) 9,900円

イソトレチノイン20㎎(30日分) 16,500円 

イソトレチノイン40㎎(30日分) 33,000円 

※イソトレチノイン治療について

未承認医薬品等
この治療で使用されるイソトレチノインは、医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認薬です。
入手経度等
当院で使用しているイソトレチノインは、インドのシプラ社により製造されたものを当院で個人輸入しております。
個人輸入された医薬品等の使用リスクに関する情報は下記URLをご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/healthhazard/
イソトレチノインの個人輸入についての厚生労働省の注意喚起は下記URLをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html
国内の承認医薬品の有無
イソトレチノインは、国内においては承認されていません。
諸外国における安全性などに係る情報
米国のFDA(アメリカ食品医薬品局)をはじめ、諸外国で承認されております。 

≪監修者プロフィール≫
監修医師うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年4月 うらた皮膚科 副院長
令和3年11月 うらた皮膚科 院長