乾癬とは

銀白色の鱗屑(皮膚の粉)がついた境界明瞭な盛り上がった紅斑(赤み)が全身に出ます。
大きさ、数、形、分布は様々で、発疹が癒合して大きな病変を作ることもあります。
爪の変形や関節炎を伴うこともあります。
まれに発疹が全身におよぶこともあります。
かゆみは約50%の患者さんにみられます。(※1)

白人では約2%に発症するため、一般の人にも乾癬はよく知らています。
日本人の発症率は0.1%程度、男女比2:1と男性に多く、20歳代と40歳代に発症することが多いです。(※1,2)

原因

まだ完全にはわかっていませんが、遺伝的要因に、様々な環境的要因が加わることで発症すると言われています。
 細菌やウイルスによる感染症ではないため、他人に感染することは決してありません。
 

遺伝的要因

家族内発症が高く、遺伝が発症に関与していると考えられています。
白人では家族内発症が20~40%と高率ですが、日本では家族内発症は4~5%と低率です。
 

環境的要因

不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤などが誘発因子となると考えられています。

治療

外用療法、内服療法、光線療法が基本的な治療で、これらの治療で効果不十分の時には抗体療法を行います。
 

外用療法

まず最初に行う治療です。

ステロイド外用

当院で処方可能です。

ビタミンD外用 

当院で処方可能です。

 

内服療法

外用治療でコントロール出来ないときに、外用治療と併用します。

シクロスポリン
(ネオーラル®) 

・皮膚科領域では、乾癬やアトピー性皮膚炎などの皮膚炎疾患の治療に広く使用されています。

・治療効果は高いですが、腎機能障害を起こすことがあるため定期的な血液検査が必要です。また、高血圧になることがあるため、血圧測定も必要です。いずれも、内服をやめれば改善します。当院で処方可能です。

アプレミラスト
(オテズラ®) 

・2017年に新発売されました。

・PDE4酵素を阻害することで抗炎症効果があり、皮膚炎を改善させます。

・新規内服開始した時には、悪心・下痢・吐き気を生じることがあります。そのため、最初の6日間は徐々に容量を増やしていきます。当院で処方可能です。

レチノイド
(チガソン®) 

・皮膚の代謝更新状態を抑えることにより、皮膚炎を改善させます。

・口唇炎が多く、手足のめくれや脱毛を生じることがあります。

・肝機能障害などをきたすことがあるため、定期的な血液検査が必要です。

・子どもが出来たときに奇形を生じることがあるため、服用中の避妊が必要です。内服中止後にも、女性で2年間、男性で半年間の避妊が必要です。当院で処方可能です。

 

光線療法

外用治療でコントロール出来ないときに、外用治療と併用します。
肝障害や腎障害のため内服治療が出来ないときなどでも使用できる安全性の高い治療です。

PUVA

・以前から行われていた紫外線治療法です。

・オクソラレンという光感受性薬剤を前もって内服あるいは外用して紫外線治療を行います。

・オクソラレンの効果で紫外線への反応が強くなってしまうため、治療翌日まで日光に当たらないようにする必要があります。

ナローバンドUVB

・オクソラレンを必要としないため、PUVA治療から移行して普及しています。

・皮疹が広範囲の時に、良い適応です。

エキシマライト

・小範囲に強い308nmを照射する最新の光線治療です。

・これまでの治療より効果が強く、従来の紫外線治療で無効だった場合でも効果が出ることがありあます。

・病変部位のみに照射が出来るため、安全性にも優れています。当院で可能です。

 

抗体療法(生物学的製剤)

上記治療でコントロール出来ないときに使用します。基幹病院にご紹介いたします。