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乾癬

PSORIASIS
最終更新日:2026-04-26

乾癬(かんせん)とは、皮膚の赤みや銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)を伴う慢性の皮膚疾患です。当ページでは、皮膚科専門医が乾癬の初期症状、発症の原因から、塗り薬・飲み薬・光線療法・生物学的製剤などの最新治療まで徹底解説。他人にうつる病気ではありません。関節の痛みへの対応や高額療養費制度、日常生活の予防・スキンケア方法まで、患者様の不安を解消する情報を網羅しています。

乾癬とは
乾癬の症状
乾癬の原因
乾癬の治療
乾癬と上手に付き合うために
よくある質問

乾癬とは

乾癬はどのような病気ですか?

乾癬とは、単なる肌荒れや一時的な皮膚のトラブルではなく、皮膚に慢性的な炎症が続く病気です 。この病気の本質は、皮膚の表面ではなく、体の中にあります。具体的には、私たちの体を外部の敵(細菌やウイルスなど)から守るための「免疫システム」が、何らかの理由で過剰に、そして誤って活動してしまうことによって引き起こされます 。
多くの方が皮膚の病気と聞くと、「何か不潔なものに触れたのではないか」「衛生管理に問題があったのではないか」と考えてしまいがちですが、乾癬は全く異なります。これは外部からの原因で「かかる」病気ではなく、ご自身の体内の免疫バランスの乱れから生じるものです。したがって、ご自身の行動を責めたり、恥ずかしさを感じたりする必要は一切ありません。この「体の内側から起こる病気」という正しい理解が、乾癬と向き合うための第一歩となります。

皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)が異常に速くなる仕組み

私たちの皮膚は、常に新しい細胞に生まれ変わっています。この新陳代謝のサイクルを「ターンオーバー」と呼びます。健康な皮膚では、新しい皮膚細胞が一番奥の層で生まれ、徐々に表面に押し上げられ、最終的に古い角質(垢)となって自然に剥がれ落ちるまで、約45日という時間をかけます 。
しかし、乾癬の患者さんの皮膚では、このプロセスに異常が生じます。免疫システムの誤った指令により、皮膚細胞を作る「工場」が暴走状態に陥り、わずか4日から7日という驚異的なスピードで新しい細胞を過剰に生産してしまうのです 。これは正常の約10倍の速さです 。急いで作られた細胞は未熟なままで、正常に剥がれ落ちることができずに皮膚の表面にどんどん積み重なっていきます。この細胞の山が、乾癬に特徴的な盛り上がり(肥厚)や、銀白色のフケのようなかさぶた(鱗屑)となって現れるのです 。

「かんせん」という名前の誤解:人にはうつりません

乾癬という病名が持つ「かんせん」という響きは、残念ながら「感染症(かんせんしょう)」を連想させやすく、多くの誤解や偏見の原因となっています 。しかし、これは最も重要な点ですが、乾癬は他人にうつる病気では絶対にありません
前述の通り、乾癬の原因はウイルスや細菌といった病原体ではなく、ご自身の体内の免疫システムの異常です 。そのため、患者さんの皮疹に触れたり、同じタオルを使ったり、プールや温泉、公衆浴場に一緒に入ったりしても、家族や友人にうつる心配は全くありません 。もし周囲の人から誤解されてしまった際には、「名前は紛らわしいけれど、これは感染症ではなくて、自分の体質によるものだから、うつることはないんだよ」と、自信を持って説明してください。この正しい知識を広めることが、患者さん自身が安心して社会生活を送るために非常に重要です。

乾癬の主な種類

乾癬は、症状の現れ方によっていくつかの種類に分類されます。一人ひとりの患者さんで症状が異なる場合があるため、皮膚科専門医による正確な診断が不可欠です。

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)

「尋常性」とは「普通の」「よくある」という意味で、その名の通り乾癬患者さんの約90%を占める最も一般的なタイプです 。はっきりと盛り上がった赤い発疹(紅斑)の上に、銀白色の鱗屑が付着するのが特徴です。

乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)

皮膚の症状に加えて、手足の指、背骨、アキレス腱の付け根などの関節に痛みや腫れ、こわばりが生じるタイプです 。進行すると関節が変形し、日常生活に支障をきたすことがあるため、早期の診断と治療が非常に重要です 。

滴状乾癬(てきじょうかんせん)

風邪や扁桃炎などの感染症(特に溶連菌感染症)をきっかけに、水滴のような小さく赤い発疹が全身に急に現れるタイプです 。特に子どもや若い世代に多く見られます 。

膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)

発熱や倦怠感とともに、皮膚に膿がたまった小さな水ぶくれ(膿疱)が多数現れる、稀で重症なタイプです。国の指定難病とされています 。

乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)

尋常性乾癬が全身に広がり、皮膚のほぼ全体が真っ赤になってしまう状態です。これも稀なタイプで、入院治療が必要になることがあります 。

乾癬の症状

乾癬の症状は皮膚だけでなく、爪や関節にも現れることがあります。どのような症状が出るのかを正しく知っておくことは、早期発見と適切な対処につながります。

皮膚にあらわれる特徴的な症状

乾癬の皮膚症状(皮疹)は、いくつかの要素が組み合わさってできています。これらは一連のプロセスとして理解すると分かりやすいです。

始まりは「炎症」

免疫システムの異常な活動が皮膚で炎症を引き起こします。

結果1:紅斑(こうはん)

炎症によって皮膚の毛細血管が拡張し、血流が増えるため、境界がはっきりとした赤い発疹(紅斑)が現れます 。

結果2:肥厚(ひこう)

同時に、炎症の信号が皮膚細胞の工場に「もっと細胞を作れ」という指令を出し、皮膚が異常な速さで増殖します。これにより、皮膚が厚く盛り上がります 。

結果3:鱗屑(りんせつ)と落屑(らくせつ)

過剰に作られた未熟な皮膚細胞が表面に積み重なり、銀白色のかさぶた(鱗屑)となります。これがポロポロと剥がれ落ちる現象を「落屑」といい、見た目がフケに似ているため、特に頭皮にできた場合に悩みの種となります 。無理に鱗屑を剥がそうとすると、点状に出血することがあるため注意が必要です 。

この「炎症 → 赤み → 盛り上がり → フケのような鱗屑」という一連の流れが、乾癬の典型的な皮疹ができるメカニズムです。

症状が出やすい体の部位

乾癬の皮疹は全身のどこにでもできる可能性がありますが、特に外部からの刺激を受けやすい部位に好発する傾向があります 。具体的には、以下のような場所が挙げられます。

  • 頭皮:髪の毛による摩擦やシャンプー時の刺激で症状が出やすい代表的な部位です 。
  • 肘や膝:曲げ伸ばしが多く、衣服とこすれたり、机や床についたりすることが多いためです 。
  • 腰まわりやお尻:ベルトや下着の締め付け、座っている時の圧迫などが刺激となります 。
  • その他、耳の中や、おへそ、脇の下、陰部など、こすれやすい場所にも症状が出ることがあります 。

かゆみについて

乾癬の症状は見た目だけでなく、かゆみを伴うことも大きな問題です。患者さんの約半数にかゆみが見られると報告されていますが、その程度は人それぞれです 。全くかゆみを感じない方もいれば、夜も眠れないほどの強いかゆみに悩まされる方もいます。かゆみは生活の質(QOL)を大きく低下させる要因であり、我慢せずに医師に相談することが大切です 。

爪の変化

乾癬は皮膚だけでなく、爪にも症状が現れることがあります。乾癬患者さんの2割から4割程度に爪の変化が見られるとされています 。

  • 爪の表面に点状の小さな凹みができる(爪甲点状凹窩)
  • 爪が白く濁ったり、黄色っぽく変色したりする
  • 爪が厚くなる、または逆にもろく崩れやすくなる
  • 爪が先端から剥がれてくる(爪甲剥離症)

これらの爪の症状は、関節炎のサインである場合もあるため、見つけたら早めに医師に伝えましょう 。

関節の痛みや腫れ

乾癬性関節炎では、皮膚症状に加えて関節の症状が現れます。手や足の指の関節が「ソーセージのように」腫れあがったり、アキレス腱の付け根やかかとが痛んだり、朝起きた時に関節がこわばって動かしにくかったりします 。放置すると関節の破壊が進み、元に戻らなくなる可能性もあるため、皮膚の症状に加えて関節の違和感を感じた場合は、すぐに皮膚科またはリウマチ科の医師に相談することが極めて重要です 。

ケブネル現象とは?

乾癬を管理する上で非常に重要なのが「ケブネル現象」です 。これは、乾癬の症状が出ていない正常な皮膚でも、引っ掻いたり、こすったり、怪我をしたりといった刺激が加わることで、その場所に新たに乾癬の皮疹ができてしまう現象を指します 。
この現象は、なぜ乾癬の患者さんが皮膚に優しい生活を心がけるべきなのか、その科学的な理由を説明してくれます。「かいてはいけない」「ゴシゴシ洗ってはいけない」という注意は、単に皮膚を傷つけないためだけではありません。刺激を与える行為そのものが、乾癬を新たな場所に「呼び込んでしまう」引き金になるのです。ケブネル現象を理解することは、日常生活での悪化予防策を実践する上で、最も大切な知識の一つと言えるでしょう 。

乾癬の原因

「なぜ私が乾癬になったのだろう?」と多くの方が疑問に思うことでしょう。現在の研究では、乾癬の原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

原因は一つではない:遺伝的素因と環境因子

乾癬の発症メカニズムは、「引き金が引かれるのを待っている、弾が込められた銃」に例えることができます。

遺伝的素因(弾が込められた銃)

乾癬になりやすい体質のことです。これは生まれ持ったもので、ご家族に乾癬の方がいると発症しやすい傾向があることから分かります 。しかし、この体質を持っているからといって、必ずしも乾癬を発症するわけではありません 。銃に弾が込められているだけで、まだ安全な状態です。

環境因子(引き金)

この「弾が込められた銃」の引き金を引いてしまうのが、さまざまな内外の環境因子です 。遺伝的素因という土台の上に、これらの引き金が加わることで、免疫システムに異常が生じ、乾癬が発症すると考えられています 。

この考え方は非常に重要です。なぜなら、遺伝的な体質を変えることはできなくても、「引き金」となる環境因子を理解し、可能な限り避ける努力をすることで、発症を予防したり、症状の悪化を防いだりすることができるからです。

発症や悪化の引き金となる「環境因子」

乾癬の「引き金」となる環境因子には、体の外から来るものと、体の中から来るものがあります。

外的因子

精神的ストレス

仕事や人間関係の悩み、不安など、精神的なストレスは乾癬の最も代表的な悪化因子の一つです 。また、乾癬の症状自体がストレスとなり、さらに症状を悪化させるという悪循環に陥ることもあります 。

感染症

特に、のどの風邪(扁桃炎など)を引き起こす溶連菌という細菌への感染は、滴状乾癬の典型的な引き金となります 。

皮膚への刺激・外傷

前述のケブネル現象です。衣服の摩擦、きつい靴、かきむしり、日焼け、カミソリ負けなどが含まれます 。

薬剤

他の病気の治療で使われる薬(一部の降圧薬など)が、乾癬を誘発したり悪化させたりすることがあります 。

生活習慣

喫煙、アルコールの過剰摂取、脂肪分やカロリーの高い食事などは、炎症を促進し、乾癬を悪化させることが知られています 。

気候

空気が乾燥し、日照時間が短くなる冬に悪化し、湿度が高く紫外線を浴びる機会の多い夏に症状が軽快する傾向があります 。

内的因子

肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)

これらの生活習慣病は、体内で慢性的な炎症を引き起こすため、乾癬の発症や重症化と深く関連していることが分かっています 。

乾癬の治療方法

乾癬は、かつては治療が難しい病気とされていましたが、近年の医学の進歩により、症状を非常に良好にコントロールできるようになりました。ここでは、現在行われている主な治療法について解説します。

治療の目標:症状をコントロールし、快適な生活を目指す

現在の乾癬治療における最も重要な目標は、「完治(病気を完全に消し去ること)」ではなく、症状をコントロールし、皮疹がない、あるいはほとんどない状態を長く維持することです 。この、症状が落ち着いている状態を「寛解(かんかい)」と呼びます。
治療法の目覚ましい進歩により、多くの患者さんがこの「寛解」を達成し、乾癬であることを忘れるほど快適な日常生活を送ることが可能になっています 。治療は長期にわたることが多いですが、根気強く続けることで、生活の質(QOL)を大きく向上させることができます。

治療法の選択肢

乾癬の治療法は、症状の重さや範囲、患者さん一人ひとりのライフスタイルに合わせて、医師と相談しながら選択されます。治療はしばしば「治療の階段(ステップアップ・アプローチ)」に例えられます。まずは基本的な治療から始め、効果が不十分な場合に、より専門的な治療へと段階的に進んでいきます。

1. 外用療法(塗り薬):治療の基本

ほとんどの患者さんが最初に行う、乾癬治療の基本となる治療法です 。患部に直接薬を塗ることで、効果を発揮します。

ステロイド外用薬

皮膚の炎症を強力に抑える作用があります 。

活性型ビタミンD3外用薬

皮膚細胞の異常な増殖を抑え、正常な状態に戻す働きがあります 。 最近では、この2つの成分を配合した薬も登場し、それぞれの長所を活かした治療が行われています 。

2. 光線療法(紫外線治療):広い範囲の皮疹に

皮疹が広範囲に及ぶ場合や、塗り薬だけでは効果が不十分な場合に行われる治療法です 。乾癬の症状を改善する作用を持つ特殊な紫外線(UVAやUVB)を、専用の医療機器を使って患部に照射します。 免疫の過剰な働きを抑え、皮膚細胞の増殖を抑制する効果があります 。治療のためには、週に2〜3回程度の通院が必要です 。

3. 内服療法(飲み薬):体の中から炎症を抑える

中等症から重症の乾癬に対して用いられる治療法です。薬を飲むことで、体の中から免疫の働きを調整したり、皮膚細胞の異常な増殖を抑えたりします 。

レチノイド(ビタミンA誘導体)

皮膚のターンオーバーを正常化させます 。

免疫抑制薬(シクロスポリンなど)

過剰に活動している免疫システム全体の働きを抑えます 。

PDE4阻害薬、TYK2阻害薬など

炎症を引き起こす体内の特定の物質の働きをピンポイントで抑える新しいタイプの飲み薬です 。

4. 生物学的製剤(注射・点滴):近年進歩した治療法

これまでの治療法で十分な効果が得られなかった重症の乾癬や、乾癬性関節炎の患者さんに用いられる、非常に効果の高い治療法です 。 生物学的製剤は、バイオテクノロジーを用いて作られた薬で、乾癬の炎症を引き起こしている中心的な物質(サイトカインと呼ばれる情報伝達物質)の働きを、狙いを定めてブロックします 。定期的な皮下注射や点滴が必要ですが、多くの患者さんで劇的な症状の改善が期待できます。ただし、免疫の働きを一部抑えるため、感染症などへの注意が必要となり、専門の医療機関でのみ治療を受けることができます 。基幹病院にご紹介いたします。

   主な対象  作用の仕組み 主な長所 考慮すべき点
 外用療法  軽症~中等症  皮膚の炎症や細胞増殖を直接抑える 手軽に始められる、全身への副作用が少ない  塗る手間がかかる、広範囲への使用が大変
 光線療法  中等症~重症  紫外線で皮膚の過剰な免疫反応を抑える 全身的な副作用が少ない、塗り薬が効きにくい場合に有効  定期的な通院が必要、日焼けのような反応や色素沈着が起こることがある
 内服療法  中等症~重症 体の内側から免疫の働きや炎症を調整する 広範囲の皮疹に有効、関節症状にも効果が期待できる薬がある  定期的な血液検査などが必要、薬に応じた副作用への注意が必要
 生物学的製剤  重症  炎症の原因となる特定の物質の働きをピンポイントで阻害する 高い効果が期待できる、生活の質を大きく改善できる可能性がある  感染症にかかりやすくなる可能性、高額な医療費(各種助成制度あり)、専門施設での治療が必要

乾癬と上手に付き合うために

乾癬は遺伝的な素因が関わるため、「予防する」というよりは、日常生活の工夫によって**「症状を悪化させない」「良い状態を維持する」**という考え方が大切です。ここでは、日々の生活で心がけたいポイントをご紹介します。

スキンケアの基本:清潔と保湿、そして「こすらない」こと

乾癬のスキンケアの基本は、皮膚への刺激を徹底的に避けることです。これはケブネル現象を防ぐために最も重要です。

入浴

熱すぎるお湯はかゆみを増すことがあるため、ぬるめのお湯にしましょう 。石鹸やボディソープはよく泡立て、ナイロンタオルなどは使わずに、手で優しくなでるように洗います 。鱗屑が気になっても、絶対にゴシゴシこすり落とさないでください 。

保湿

皮膚の乾燥は乾癬の大敵です 。入浴後はすぐに、刺激の少ない保湿剤を全身にたっぷりと塗り、皮膚のバリア機能を保ちましょう 。特に空気が乾燥する冬場は、加湿器なども活用すると良いでしょう 。

衣服

肌に直接触れる衣類は、チクチクしない綿などの柔らかい素材を選び、締め付けの少ないゆったりとしたデザインのものがお勧めです 。

食生活で気をつけたいこと

特定の食べ物が乾癬を治す、あるいは悪化させるという確固たる証拠はありませんが、バランスの取れた健康的な食生活は、体全体の炎症を抑える上で有益と考えられています。

バランスの良い食事

高カロリー、高脂肪な食事は肥満につながり、乾癬を悪化させる可能性があります 。野菜を多く取り入れ、バランスを意識しましょう。

魚を積極的に

サバやイワシなどの青魚に多く含まれる油(DHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸)には、炎症を抑える働きがあると言われています 。肉類中心の食事より、魚を取り入れる日を増やすのがお勧めです。

刺激物・アルコールは控えめ

香辛料の効いた食事やアルコールは、体温を上昇させてかゆみを強くすることがあります 。症状が強い時は避けた方が無難です。

ストレスとの上手な付き合い方

ストレスは乾癬の大きな悪化因子です 。自分なりのストレス解消法を見つけることが、症状の安定につながります。夢中になれる趣味を持つ、軽い運動で気分転換をする、十分な休息をとるなど、心と体をリラックスさせる時間を大切にしましょう 。

喫煙・飲酒の影響

喫煙は乾癬を悪化させるだけでなく、治療薬の効果を弱めることも報告されています 。禁煙は、乾癬のコントロールにおいて非常に重要です 。また、アルコールの過剰摂取も症状を悪化させるため、節酒を心がけましょう 。

適度な運動と良質な睡眠

ウォーキングなどの適度な有酸素運動は、ストレス解消や体重管理に役立ち、乾癬に良い影響を与える可能性があります 。また、睡眠不足や不規則な生活は免疫のバランスを乱す原因となるため、十分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活を送ることも大切です 。
Table 2: 乾癬と上手に付き合うための生活習慣チェックリスト

 心がけたいこと(Do's)  避けたいこと(Don'ts)
 ✓ 毎日、入浴後に保湿剤を塗る  ✗ 皮疹をかきむしったり、鱗屑を無理に剥がしたりする
 ✓ 柔らかく、ゆったりとした衣類を選ぶ  ✗ 硬いタオルで体をゴシゴシこする
 ✓ バランスの取れた食事(特に魚や野菜)を意識する  ✗ 熱いお湯での長風呂
 ✓ 趣味や運動で上手にストレスを発散する  ✗ アルコールの飲み過ぎ
✓ 十分な睡眠時間を確保する ✗ 喫煙
✓ 適度な運動を習慣にする ✗ ストレスや疲労をため込む
✓ 風邪などの感染症を予防する(手洗い・うがい) ✗ 締め付けの強い衣類やアクセサリー

よくある質問

A
いいえ、絶対にうつりません。
これは最も重要な点です。乾癬は、細菌やウイルスによる感染症ではなく、体内の免疫システムの異常によって起こる病気です 。そのため、皮膚の症状に直接触れたり、温泉やプールに一緒に入ったり、タオルを共用したりしても、他の人に感染する心配は全くありません 。
 
A
 病気そのものが直接遺伝するわけではありませんが、「乾癬になりやすい体質(遺伝的素因)」が受け継がれる可能性はあります。 ただし、この体質を持っている人が必ず乾癬を発症するわけではありません 。遺伝的素因に、ストレスや生活習慣といった様々な環境因子が加わることで、発症のスイッチが入ると考えられています。日本人では、親が乾癬の場合に子どもが発症する確率は4〜5%程度と報告されており、過度に心配する必要はありません 。
 
A

現在の医療では、残念ながら「完治」させる治療法はまだ見つかっていません。しかし、症状をコントロールして、ほとんど症状がない「寛解」という状態を目指すことは十分に可能です。 この「完治」と「寛解」の違いを理解することは、希望を持って治療を続ける上で非常に大切です。
完治(かんち)

病気の原因が完全になくなり、治療をやめても二度と再発しない状態を指します 。乾癬において、この状態を目指せるようになるには、まだ研究が必要です。

寛解(かんかい)

適切な治療によって、皮膚の症状が完全に、あるいはほとんど消失し、その良い状態が維持されていることを指します 。

「治らない病気」と聞くと、絶望的な気持ちになるかもしれません。しかし、乾癬治療の現実は全く違います。近年の治療法の進歩は目覚ましく、多くの患者さんが「寛解」を達成し、病気のことを気にせずに普通の生活を送っています 。治療の目標は、この「寛解」をできるだけ長く維持することです。乾癬は「一生付き合っていく病気」かもしれませんが、それは「一生苦しみ続ける」という意味ではありません。正しく治療し、上手に付き合っていくことで、症状をコントロールし、健やかな毎日を送ることができる病気なのです。
 

≪監修者プロフィール≫
監修医師うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年4月 うらた皮膚科 副院長
令和3年11月 うらた皮膚科 院長