尋常性白斑

尋常性白斑とは

白斑
白斑とは“白なまず”ともよばれ、後天的に皮膚の色素細胞(メラノサイト)が減少・消失する病気です。
色素細胞は紫外線から皮膚を守るために、メラニン色素を産出しています。
色素細胞が減少・消失することでメラニン色素が産出できず、皮膚の色が白く抜けていきます。
 

尋常性白斑の疫学

発症に男女差は無く、20歳前後の若年者に多い。
人口の約1%で生じる。
20~30%の症例で家族内発生がみられます。
 

白斑の原因

病因は不明。
メラノサイトやメラニンに対して、自身の免疫細胞が誤って攻撃してしまうことで白斑を生じると考えられています。
慢性甲状腺炎、アジソン病、悪性貧血、糖尿病などを合併することがあります。

白斑の鑑別疾患

生まれた時から生じるもの

眼皮膚白皮症

メラニン生成経路に先天的な異常があるため、生下時から皮膚や髪、眼の色素が減少・消失しています。遺伝疾患です。

ブチ症

まだら症、限局性白皮症ともよばれます。
おでこ~前頭部に限局する白斑・白毛が特徴です。遺伝疾患です。
 

後天的に生じるもの

白なまず

尋常性白斑といい、白斑全体の60%を占めます。

はたけ

正式名称は白色粃糠疹。
学童期の顔面に生じる3cmくらいまでのぼんやりとした白斑。
尋常性白斑のようにくっきりと白くなく、不完全な脱色素斑。
アトピー性皮膚炎に合併することが多く、周りとの色調の差が強くなり目立つようになる。
いわゆる“

加齢性変化による白斑

老人性白斑と言い、加齢背の変化。

Vogt-Koyanagi-Harada症候群

多発する白斑+髄膜炎+難聴の3症状を合併する疾患。
皮膚だけではなく、網膜、髄膜、内耳に存在するメラノサイトに対する免疫反応が原因と考えられている。
皮膚症状のみでは尋常性白斑との区別はできないが、他の症状の有無により診断する。

尋常性白斑の分類

非分節型の尋常性白斑

神経支配領域と関係なく生じます。
指趾顔面型(acrofacial)、2病変部以上の粘膜型(mucosal)、汎発型(generalized)、全身型(universal)、混合型(mixed)が含まれます。
 

分節型の尋常性白斑

神経支配領域に一致して片側性に生じます。
分節が複数になることもあります。
 

未分類型の尋常性白斑

限局性に1か所のみに生じた白斑。
限局型(focal)と1病変のみの粘膜型(mucosal)が含まれます。

尋常性白斑の治療

いずれも効果発現が遅く半年程度継続してから効果判定を行います。
当院で実施できない治療については、基幹病院をご紹介させていただきます。
 

白斑の塗り薬の治療

ステロイド外用 

発症初期に効果的です。分節型では効きにくいとされています。

プロトピック外用 

ステロイド外用の副作用が懸念される場合、顔面などで使用することがあります。
 

白斑の光線治療

エキシマライト 

光線治療で最も強力な治療です。

ナローバンドUVB 

エキシマライトと違い、広範囲の病変に実施しやメリットがあります。拡大の止まっている分節型が適応です。
 

白斑の外科治療

拡大のとまっている分節型が適応になります。