掌蹠膿疱症とは
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏にうみ(膿疱)が繰り返しできる病気です。膿疱とともに、赤みや皮膚のガサガサの生じます。
細菌やウイルスによる感染症ではないため、他人に感染することは決してありません。
原因
病気の原因は不明です。
以下との関連が考えられています。
- 長期喫煙者がなりやすい。
- 病巣感染(扁桃炎、虫歯、副鼻腔炎、中耳炎などの)がみられることがある。
- 歯科金属などの金属アレルギーが誘因となることがある。
2~3割の患者さんは、病巣感染や歯科金属アレルギーなどが原因であり、原因になっている治療をすることで掌蹠膿疱症も治癒することが期待できます。
残りの7~8割の患者さんは、はっきりと原因は分かっていません。
その場合は、症状を和らげる治療を継続します。
治療を継続していると、自然に治ってしまうこともあります。
治療
外用療法、内服療法、光線療法が基本的な治療で、これらの治療で効果不十分の時には抗体療法を行います。
外用療法
まず最初に行う治療です。
ステロイド外用 | ・炎症を抑えます。 |
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ビタミンD外用 | ・皮膚が形成される過程の異常を正常にすることで、炎症を抑えます。 |
光線療法
外用治療でコントロール出来ないときに、外用治療と併用します。
肝障害や腎障害のため内服治療が出来ないときなどでも使用できる安全性の高い治療です。
光線療法の中では、エキシマライトが最も安全で効果も高いです。
エキシマライトのデメリットは、体全体への照射が難しいことですが、掌蹠膿疱症は手足に限局する病気のためエキシマライト治療が適しています。
当院では、エキシマライトを用いた治療を行っています。
PUVA | ・以前から行われていた紫外線治療法です。 ・オクソラレンという光感受性薬剤を前もって内服あるいは外用して紫外線治療を行います。 ・オクソラレンの効果で紫外線への反応が強くなってしまうため、治療翌日まで日光に当たらないようにする必要があります。 |
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ナローバンドUVB | ・オクソラレンを必要としないため、PUVA治療から移行して普及しています。 ・皮疹が広範囲の時に、良い適応です。 |
エキシマライト | ・小範囲に強い308nmを照射する最新の光線治療です。 ・これまでの治療より効果が強く、従来の紫外線治療で無効だった場合でも効果が出ることがありあます。 ・病変部位のみに照射が出来るため、安全性にも優れています。 |
内服療法
外用治療でコントロール出来ないときに、外用治療と併用します。
抗生剤 | ・病巣感染を直します。 |
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抗アレルギー薬 | ・痒みを抑えます。 |
レチノイド(チガソン®) | ・皮膚の代謝更新状態を抑えることにより、皮膚炎を改善させます。 ・口唇炎が多く、手足のめくれや脱毛を生じることがあります。 ・肝機能障害などをきたすことがあるため、定期的な血液検査が必要です。 ・子どもが出来たときに奇形を生じることがあるため、服用中の避妊が必要です。内服中止後にも、女性で2年間、男性で半年間の避妊が必要です。 |
抗体療法(生物学的製剤)
上記治療でコントロール出来ないときに使用します。基幹病院にご紹介いたします。
その他の治療
禁煙 | ・掌蹠膿疱症の多くは喫煙者であるため関連があると考えられています。 ・禁煙しても掌蹠膿疱症は改善しないことが多いです。 ・喫煙を続けることで、新たに様々な病気になります。 ・この機会に禁煙しましょう。 |
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病巣感染の除去 | ・抗生剤治療をすることもありますが、扁桃炎が原因と疑われるケースでは扁桃炎摘出などの外科的治療を行うこともあります。 |
歯科金属の除去 | ・歯科金属のアレルギーが疑われるケースでは、歯科金属除去をすることがあります。 |