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疥癬

SCABIES
最終更新日:2025-10-06

疥癬と診断されると、その激しいかゆみによる身体的な苦痛だけでなく、「周りの人にうつしてしまうかもしれない」という不安を感じることがあるかもしれません 。この記事は、疥癬と診断された方やそのご家族、介護にあたる方々が、病気について正しく理解し、安心して治療に取り組めるように、専門的な情報を分かりやすく解説することを目的としています。

疥癬とは
疥癬の症状
疥癬の原因
疥癬の診断
疥癬の治療
患者さんに応じた疥癬治療
日常生活で気をつけるポイント
よくある質問

疥癬とは

ヒゼンダニが引き起こす皮膚の感染症

疥癬は、「ヒゼンダニ(疥癬虫)」という非常に小さなダニが人の皮膚の角質層に寄生することで起こる皮膚の感染症です 。
ヒゼンダニは肉眼ではほとんど見ることができず、雌の成虫でも体長約0.4mm、体幅約0.3mmほどの大きさしかありません 。
感染経路は、受精した雌のヒゼンダニが皮膚の最も外側にある角質層に「疥癬トンネル」と呼ばれる横穴を掘り、その中で1日に2~3個の卵を産みながら移動することから始まります 。
皮膚に現れる激しいかゆみや赤いブツブツといった症状は、単にダニが皮膚にいることによる物理的な刺激だけが原因ではありません。主に、ヒゼンダニの虫体そのものや、その糞、脱皮殻などに対するアレルギー反応によって引き起こされます。

感染力の異なる2つのタイプ:通常疥癬と角化型疥癬

疥癬は、寄生しているヒゼンダニの数や患者さんの免疫状態によって、大きく2つのタイプに分けられます。
どちらのタイプであるかによって、感染力や治療法、周囲への感染対策が大きく異なるため、この違いを理解することは非常に重要です 。

通常疥癬

通常疥癬は、疥癬の中で最も一般的に見られるタイプです。健康で正常な免疫機能を持つ人が感染した場合に発症します。この場合、体の免疫システムがヒゼンダニの増殖をある程度抑制するため、皮膚に寄生するダニの数は数十匹程度にとどまります 。ダニの数が少ないため感染力は比較的弱く、感染が広がるには、長時間にわたって肌と肌が直接触れ合うような濃厚な接触が必要となります 。

角化型疥癬

角化型疥癬(別名:ノルウェー疥癬)は、疥癬の重症型であり、発生頻度は通常疥癬に比べて稀です。このタイプは、高齢や他の病気、ステロイド剤などの薬剤使用によって免疫力が低下している方に発症しやすい特徴があります 。免疫力が低下すると、体内でヒゼンダニの増殖を抑えることができなくなり、その結果、ダニの数が100万から200万匹という膨大な数にまで増殖します 。
寄生しているダニの数が桁違いに多いため、角化型疥癬の感染力は非常に強力です。短い時間の接触や、患者さんが使用した寝具、衣類、家具などに付着した皮膚の角質(落屑)を介しても容易に感染が拡大します。この落屑の中には無数のヒゼンダニが潜んでいるため、集団感染の大きな原因となります 。
 
この2つのタイプの違いは、感染したヒゼンダニの種類によるものではなく、感染した人の「免疫力」によって決まります。つまり、免疫力が正常であればダニの増殖は抑えられて「通常疥癬」となり、免疫力が低下しているとダニが爆発的に増えて「角化型疥癬」へと移行する可能性があるのです。この点を理解することで、なぜ角化型疥癬が特定の状況下で発症し、より厳重な対策が必要とされるのかが明確になります。
表1: 「通常疥癬」と「角化型疥癬」の主な違い

   通常疥癬  角化型疥癬
  ヒゼンダニの数  数十匹以下  100万~200万匹
 感染力  弱い  非常に強い
 主な症状  赤いブツブツ、疥癬トンネル  厚い角質の増殖(痂皮)
 かゆみの強さ  強い(特に夜間)  不定(ない場合もある)
 症状の出る部位  顔・頭を除く全身
手指と男性外陰部に多い
 全身(顔・頭・爪の下も含む)
 主な感染経路  長時間の肌と肌の直接接触 短時間の接触、物を介した間接接触

疥癬の症状

夜も眠れないほどの激しいかゆみ

疥癬の最も代表的でつらい症状は、激しいかゆみです 。このかゆみは、特に夜間、布団に入って体が温まると強くなる傾向があり、「夜も眠れないほど」と表現されることも少なくありません 。この夜間に増強するかゆみは、ヒゼンダニが夜に活動的になることや、体温の上昇、アレルギー反応の体内リズムなどが関係していると考えられています。
前述の通り、このかゆみはヒゼンダニの虫体や糞などに対するアレルギー反応が主な原因です 。そのため、治療によってダニが完全に駆除された後でも、アレルギー反応がすぐには収まらず、しばらくかゆみが続くことがあります。

特徴的な皮膚のサイン:赤いブツブツと「疥癬トンネル」

かゆみと同時に、皮膚には特徴的な発疹が現れます。

赤いブツブツ(丘疹)

お腹、胸、わきの下、太ももの内側、指の間などに、赤く小さな盛り上がった発疹(紅斑性丘疹)ができます 。これらはダニそのものではなく、アレルギー反応によって生じるものです。

結節

特に男性の場合、陰嚢(いんのう)などの陰部に、小豆大の硬いしこり(結節)ができることがあります。このしこりは治療後も長く残ることがあります 。

疥癬トンネル

疥癬に非常に特徴的な皮疹として「疥癬トンネル」があります。これは、雌のヒゼンダニが角質層内を掘り進んだ跡で、長さ数mmほどの、少し盛り上がった灰白色の線状の皮疹として見えます 。手首の内側、手のひらの側面、指の間などによく見られますが、見つけるのが難しい場合もあります 。

症状が出ない「潜伏期間」について

ヒゼンダニに感染してから、かゆみなどの症状が現れるまでには、症状が全くない「潜伏期間」が存在します 。

通常疥癬の場合

初めて感染した場合、この潜伏期間は約1~2ヶ月と比較的長いです 。高齢者ではさらに長く、数ヶ月に及ぶこともあります 。この期間中、本人は無症状ですが、体内でヒゼンダニは少しずつ増殖しており、アレルギー反応が成立した時点ではじめてかゆみなどの症状が出現します。

角化型疥癬から感染した場合

感染源である角化型疥癬の患者さんには膨大な数のダニがいるため、一度に多数のダニに感染します。そのため、潜伏期間は4~5日と大幅に短縮されることがあります 。

この長い潜伏期間の存在は、疥癬の感染対策において極めて重要な意味を持ちます。例えば、家庭内や施設内で一人の患者さんが発症した時点で、すでに周囲の人は感染しているものの、まだ症状が出ていない「潜伏期間中」である可能性が高いのです。この時間差が、知らず知らずのうちに感染を広げてしまう主な原因となります。したがって、症状のある人だけを治療するのでは不十分であり、濃厚接触者全員が同時に治療を開始する必要があるのは、この潜伏期間の存在が理由です。

角化型疥癬の特別な症状

角化型疥癬では、通常疥癬とは異なる特徴的な症状が見られます。

厚い角質の増殖(痂皮)

最も特徴的なのは、皮膚の角質が異常に厚く増殖し、灰色から黄白色の牡蠣殻(かきがら)のような、ザラザラとした厚い垢(痂皮)が手足、お尻、肘、膝などを中心に、時には顔や頭皮を含む全身を覆うことです 。爪も厚く変形することがあります 。

かゆみの程度

通常疥癬とは対照的に、角化型疥癬では激しいかゆみが軽い場合や、全く感じない場合があります 。かゆみという重要な警告サインが欠けることがあるため、診断が遅れたり、単なる乾燥肌や他の皮膚病と間違えられたりする原因にもなります。

疥癬の原因

原因となるヒゼンダニの正体

疥癬の原因は、ヒゼンダニ(学名: Sarcoptes scabiei var. hominis)というダニです 。このダニは、人の皮膚から離れると長くは生きられず、人の体温が最も生活に適した環境です 。
ヒゼンダニのライフサイクルを理解することは、治療方針を理解する上で役立ちます。雌の成虫は角質層にトンネルを掘り、約4~6週間の寿命の間に毎日2~3個の卵を産み続けます。卵は3~4日で孵化して幼虫となり、皮膚の表面に出てきて、脱皮を繰り返しながら約2週間で成虫になります 。治療薬は成虫や幼虫には効果がありますが、卵には効きにくいことがあります。そのため、1回目の治療で生き残った卵から孵化したダニを退治するために、1週間後にもう一度治療を行うことが一般的なのです。また、ヒゼンダニは血液を吸うのではなく、角質層にある組織液などを栄養源にしていると考えられています 。

感染経路:どのようにしてうつるのか

疥癬の感染経路は、そのタイプによって大きく異なります。

通常疥癬

主な感染経路は、長時間にわたる直接的な肌と肌の接触です 。例えば、介護で体に触れる時間が長い場合、添い寝をする、性的接触などが挙げられます 。握手や短い時間のハグといった、日常的な短い接触で感染する可能性は極めて低いと考えられています 。患者さんが使用した寝具や衣類などを介して感染する間接的な経路も、可能性はゼロではありませんが、稀です 。

角化型疥癬

感染力が非常に強いため、通常疥癬とは感染経路が異なります。

短時間の接触

短い時間の肌の接触でも感染するリスクがあります 。

間接的な接触

こちらが主な感染経路となります。患者さんの体からはがれ落ちた皮膚の角質(落屑)には、生きたヒゼンダニが多数含まれています。この落屑が寝具、衣類、ソファ、床などに散らばり、それに触れることで感染が広がります 。

ヒゼンダニの弱点:熱と乾燥

ヒゼンダニは人の皮膚の上でしか生きられない弱い存在であり、いくつかの明確な弱点があります。この弱点を知ることが、効果的な環境対策につながります。

熱に弱い

ヒゼンダニは熱に非常に弱く、50℃以上の環境に10分間さらされると死滅します 。これが、衣類やシーツの洗濯時に熱水や高温乾燥機が推奨される科学的な根拠です。

乾燥と低温に弱い

人の皮膚から離れたヒゼンダニは乾燥に弱く、通常の室温・湿度の環境下では数時間から長くても2~3日で感染力を失います 。また、気温が16℃以下になると動きが鈍くなり、活動できなくなります 。この性質を利用して、洗濯できないものをビニール袋に密封して数日間放置することで、安全にダニを死滅させることができます。

疥癬の診断

疥癬の診断のポイント

疥癬診断のポイントは3つあります。
症状
感染源との接触歴の病歴(病院や高齢者施設など)
ステロイド外用で改善しないなどの治療経過
 

疥癬の検査

顕微鏡検査でヒゼンダニを検出することで診断します。
皮膚科専門医でもヒゼンダニを見つけることは難しく、ダニの検出率は60%程度(10~70%と幅がある)をいわれており、1回の診察で疥癬を完全に否定することは出来ません。

疥癬の治療

治療の基本方針:原因となるダニの駆除

疥癬の治療の根本は、皮膚に寄生しているヒゼンダニとその卵を完全に殺すことです 。疥癬は自然に治ることはなく、放置すると症状が悪化し、他人に感染を広げてしまうため、皮膚科専門医による診断と治療が不可欠です 。

主な治療薬:飲み薬と塗り薬

治療には、主に飲み薬と塗り薬が用いられます。どちらの薬を選択するかは、患者さんの年齢、健康状態、疥癬のタイプなどを考慮して医師が判断します。

飲み薬(内服薬):

イベルメクチン(商品名:ストロメクトール®)が主に使用されます 。

通常、空腹時に1回服用します。卵には効果が薄いため、1週間後に孵化したダニを駆除する目的で、再度服用することが一般的です 。

1週間間隔で少なくとも2回使用します。

妊婦、授乳婦、体重15㎏以下の患者には使用できません。

塗り薬(外用薬):

フェノトリンローション(商品名:スミスリン®ローション5%)が広く使われています 。

その他、クロタミトンクリーム(商品名:オイラックス®)や、古くから使われているイオウ剤などがあります 。

通常、首から下の全身に塗布し、12時間以上経過した後に洗い流します。これも飲み薬と同様に、1週間後に再度塗布することが推奨されます 。

1週間間隔で少なくとも2回使用します。

妊婦、授乳婦、体重15㎏以下の患者には使用できません。

薬の正しい使い方:塗り残しは再発のもと

治療を成功させるためには、処方された薬を正しく使用することが何よりも重要です。特に塗り薬は、塗り残しがあるとそこに生き残ったダニが再増殖し、再発の原因となります。

通常疥癬の場合

薬は首からつま先まで、全身の皮膚に塗り残しがないように丁寧に塗ります 。

角化型疥癬の場合

ヒゼンダニが全身に寄生している可能性があるため、顔、頭、耳、爪の中まで含めた全身に塗布する必要があります 。

塗るときのポイント

指の間、足の指の間、爪の周り、手首や足首、わきの下、おへそ、外陰部、お尻のしわの間など、しわになりやすい場所や見えにくい場所は特に念入りに塗りましょう 。かゆみや発疹がない、一見健康に見える皮膚にもヒゼンダニは潜んでいる可能性があるため、症状の有無にかかわらず、指示された範囲全体に塗ることが大切です 。

かゆみへの対症療法

治療によってヒゼンダニが死滅した後も、かゆみが数週間から1ヶ月以上続くことがあります。これは「疥癬後疥癬(かいせんごかいせん)」または「疥癬後掻痒(そうよう)」と呼ばれる状態で、治療の失敗や再発ではありません 。
このかゆみは、皮膚の中に残ったダニの死骸や糞に対するアレルギー反応が続くために起こります。患者さんにとっては非常につらい症状ですが、これは治癒過程の一部であることを理解し、冷静に対処することが重要です。この時期のかゆみをコントロールするために、医師は抗ヒスタミン薬の飲み薬やかゆみ止めの塗り薬(ステロイド外用薬など)を処方することがあります 。もし、新しい赤いブツブツや疥癬トンネルが次々と現れるような場合は、再発の可能性も考えられるため、すぐに主治医に相談してください。

周囲の人への治療の重要性

疥癬治療における最も重要な原則の一つが、患者さんと密接に接触した可能性のある家族やパートナーなどを、症状の有無にかかわらず同時に治療することです 。
前述の通り、疥癬には1~2ヶ月の長い潜伏期間があります 。そのため、患者さんに症状が出た時点では、周囲の人はすでに感染しているものの、まだ症状が出ていないだけの状態かもしれません。もし患者さんだけが治療を受けても、潜伏期間を終えた家族から再び感染させられてしまう「ピンポン感染」を繰り返すことになります 。この悪循環を断ち切るために、医師の指示に従い、関係者全員が一斉に治療を受けることが、確実な治癒への近道となります。

患者さんに合わせた疥癬治療

イベルメクチン内服とフェノトリン外用が中心的薬剤になります。
下記の赤文字になっているものが、各患者さんでの主な治療です。

体重15㎏以上の方の疥癬治療

  • イベルメクチン内服(推奨度A)
  • フェノトリン外用(推奨度A)
  • イオウ剤外用(推奨度C1)
  • クロタミトン外用(推奨度C1)

体重15㎏以下の方の疥癬治療

  • フェノトリン外用(推奨度C1)…小児への確立したデータがまだありません。
  • イオウ剤外用(推奨度C1)
  • クロタミトン外用(推奨度C1)…大量または長期使用は避けます。

生後2か月未満の疥癬治療

  • フェノトリン外用(推奨度C1)…赤ちゃんへの確立したデータがまだありません。

妊婦の疥癬治療

  • フェノトリン外用(推奨度C1)…妊婦への確立したデータがまだありません。
  • イオウ剤外用(推奨度C1)
  • クロタミトン外用(推奨度C1)…大量または長期使用は避けます。

授乳婦の疥癬治療

  • フェノトリン外用(推奨度C1)…授乳婦への確立したデータがまだありません。

日常生活で気をつけるポイント

日常生活での対策は、診断された疥癬のタイプによって大きく異なります。通常疥癬と角化型疥癬では、求められる対策のレベルが全く違うため、ご自身のタイプに合った正しい対応を心がけてください。誤った情報に基づいて過剰な対策を行って疲弊したり、逆に対策が不十分で感染を広げたりすることを避けるため、この区別は非常に重要です。

【通常疥癬の場合】過度に恐れず、適切な対応を

通常疥癬はダニの数が少なく、感染力も比較的弱いため、過度に神経質になる必要はありません。基本的なポイントを押さえた適切な対応で十分です。

人との接触

治療が完了するまでは、同室で布団を並べて寝たり、添い寝をしたりといった長時間の肌の接触は避けましょう 。

衣類・寝具の洗濯

治療を開始する前に身につけていた衣類や下着、使用していたタオルやシーツなどを洗濯します。ヒゼンダニは50℃以上の熱に10分で死滅するため、熱いお湯で洗濯したり、洗濯後に高温の乾燥機にかけたりするのが最も効果的です 。それが難しい場合は、通常の洗濯でも構いません。

部屋の掃除

特別な消毒や殺虫剤の散布は不要です 。普段通りの掃除機がけや拭き掃除で十分です 。

洗濯できないもの

布団やぬいぐるみ、クッションなど、頻繁に洗濯できないものは、大きなビニール袋に入れてしっかりと密封し、3日間以上(念のため1週間程度)放置します。人の皮膚から離れたヒゼンダニは長く生きられないため、これで安全に死滅させることができます 。

【角化型疥癬の場合】感染を広げないための徹底した対策

角化型疥癬は寄生しているダニの数が桁違いに多く、感染力が非常に強いため、感染拡大を防ぐために徹底した対策が必要です。

個室管理

治療開始後の1~2週間は、感染拡大を防ぐために個室での療養が推奨されます 。

介護者の対策

患者さんのケアにあたる方は、使い捨ての手袋とガウン(予防着)を必ず着用してください 。ケアの前後には、石鹸と流水による丁寧な手洗いを徹底します 。

衣類・寝具の交換と洗濯

シーツや衣類は毎日交換します 。交換する際は、皮膚の角質(落屑)が飛び散らないように静かに扱い、すぐにビニール袋に入れて口を固く縛ります。洗濯は他の人のものとは完全に分け、50℃以上のお湯に10分以上浸すか、高温乾燥機にかけた後に行います 。

部屋の掃除

部屋の掃除は毎日、丁寧に行う必要があります。

床やカーペット、ベッドマットなどに落ちた落屑を、掃除機(可能であればHEPAフィルター付き)で念入りに吸い取ります。特にベッド周りは重点的に行いましょう 。

医師の指示によっては、治療の開始時と終了時に、部屋にピレスロイド系の殺虫剤を使用することがあります 。

入浴

可能であれば毎日入浴し、皮膚を清潔に保ちます。入浴時には、厚くなった角質をふやかし、周囲に飛び散らないように優しくこすり落とすことが推奨されます 。入浴は他の家族が全員入った後にし、使用後の浴室は熱いシャワーでよく洗い流しましょう 。

 

よくある質問

Q
治療が終わってもかゆみが続くのですが、治っていないのでしょうか?

A
治療後にかゆみが続くことは非常によくあることで、通常は治療が失敗したわけではありません。
これは「疥癬後掻痒」と呼ばれる状態で、皮膚の中に残ったダニの死骸などに対するアレルギー反応が原因です。この反応が完全に収まるまでには、数週間から1ヶ月以上かかることもあります。
ただし、かゆみとともに新しい赤いブツブツや疥癬トンネルが次々と現れる場合は、治療が不十分であったり、再感染したりした可能性が考えられますので、速やかに主治医に相談してください 。
 

Q
家族やパートナーも症状がないのに治療が必要ですか?

A
必要です。
疥癬には1~2ヶ月という長い潜伏期間があり、この間は感染していても全く症状が出ません 。ご自身に症状が出た時点で、ご家族やパートナーはすでに感染しているけれど、まだ症状が出ていない「潜伏期間中」である可能性が非常に高いのです。この方々を同時に治療しなければ、後から発症した家族から再びあなたが感染してしまうという悪循環に陥ってしまいます。この連鎖を断ち切るために、濃厚接触者全員の一斉治療が不可欠です 。
 

Q
仕事や学校は休むべきですか?

A
主治医への相談が必要です。
一般的には、通常疥癬の場合は最初の治療(塗り薬の塗布や飲み薬の服用)を終えれば、翌日あるいは24時間後から出勤・通学が可能とされることが多いです。角化型疥癬の場合は感染力が非常に強いため、より長い期間の休養と隔離が必要となります。どのような仕事や学校環境かによっても対応は変わりますので、必ず主治医に相談し、その指示に従ってください 。
 

Q
ペットの犬や猫からうつることはありますか?

A
動物にも「動物疥癬」という病気がありますが、これは人に寄生するヒゼンダニとは種類が異なります。動物のヒゼンダニが人の皮膚についても、一時的にかゆみや発疹が出ることがありますが、人の皮膚の上では繁殖できないため、長く寄生し続けることはできず、自然に治まります。人の疥癬は、人から人へとうつる病気です 。もしペットに皮膚の異常が見られる場合は、動物病院で診てもらってください。
 

Q
ペットの犬や猫からうつることはありますか?

A
動物にも「動物疥癬」という病気がありますが、これは人に寄生するヒゼンダニとは種類が異なります。動物のヒゼンダニが人の皮膚についても、一時的にかゆみや発疹が出ることがありますが、人の皮膚の上では繁殖できないため、長く寄生し続けることはできず、自然に治まります。人の疥癬は、人から人へとうつる病気です 。もしペットに皮膚の異常が見られる場合は、動物病院で診てもらってください。
 

Q
温泉や公衆浴場は利用しても大丈夫ですか?

A
治療が完了し、医師から感染の心配がないと判断されるまでは、温泉、公衆浴場、プールなどの利用は控えるべきです。水中での感染リスクは低いと考えられますが、脱衣所でのタオルの共用や、不特定多数の人との接触の可能性があるため、感染を広げないための配慮が必要です。
 

Q
疥癬は不潔だからかかる病気ですか?

A
違います。
これは疥癬に関する最も大きな誤解の一つです。疥癬は衛生状態とは関係なく、肌と肌の接触があれば誰でも感染する可能性があります。年齢、性別、社会的地位、清潔好きかどうかは一切関係ありません。診断されて恥ずかしいと感じる必要は全くありませんので、ためらわずに速やかに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることが最も大切です 。