モイゼルト軟膏とは

アトピー性皮膚炎の第4の塗り薬

モイゼルト軟膏
モイゼルト軟膏(有効成分:ジファミラスト)は、皮膚の過剰な免疫反応を抑えることで、皮膚の炎症をしずめて、アトピー性皮膚炎の皮膚症状を改善します。

アトピー性皮膚炎の塗り薬治療は、ステロイド外用薬が中心でした。
1999年、プロトピック軟膏がアトピー性皮膚炎治療の「第2の塗り薬」として登場しました。
2020年、約20年ぶりにアトピー性皮膚炎治療の新薬として、「第3の塗り薬」コレクチム軟膏が登場。
2021年、近年の創薬の進歩は止まりません。「第4の塗り薬」モイゼルト軟膏が新登場です。
これまでの薬とは異なる作用機序を持ち、安全性に優れ、使用上の制約が少なく、長期間使用できる抗炎症外用剤として、2021年9月にアトピー性皮膚炎を効能効果として製造販売承認を取得。
2022年6月1日に発売。
 

モイゼルト軟膏はどんなお薬か

モイゼルト軟膏は外用ホスホジエステラーザ4(PDE4)阻害剤と呼ばれる塗り薬です。
アトピー性皮膚炎の病態には、サイトカインやケモカインと呼ばれる物質が関与しています。
モイゼルト軟膏は、サイトカインやケモカインを産出を制御することで、皮膚の炎症やかゆみを抑え、アトピー性皮膚炎を改善します。
 

ステロイド外用剤やプロトピック軟膏とは異なる作用機序でアトピー性皮膚炎の症状を和らげる新しいお薬です。

 

モイゼルト軟膏の作用機序


 

モイゼルト軟膏の成人への治療効果

モイゼルト軟膏の治療効果

モイゼルト軟膏治療群はIGA反応率が38.46%、未治療群(基剤群)は12.64%であり、優位な治療効果を認めた。

皮膚病変IGAスコアとは
医師による皮膚病変の全般的な評価を0~4点の5段階でおこないます。
0=消失。皮膚病変が無い。
1=ほぼ消失。皮膚病変がかろうじて認識できる。
2=軽症。炎症所見(赤み)があり、進行した炎症所見(丘疹)も少しある。
3=中等症。炎症所見(赤み)も、進行した炎症所見(丘疹)もある。
4=重症。進行した炎症所見(丘疹)が広範囲にある。
IGA反応率とは
IGAスコアが0~1で、かつ2点以上改善した患者の割合。

 

出典:国内の成人アトピー性皮膚炎患者さん364名の研究

  • 成人アトピー性皮膚炎患者(15歳以上70歳以下)
  • アトピー性皮膚炎の病歴が3年以上
  • 病変の範囲が体表面積の5%~40%
  • IGAスコアが2(軽症)又は3(中等症)
  • 成人のアトピー性皮膚炎患者に治験薬を1日2回、4週間塗布した。
  • 治験薬投与4週後におけるIGAの反応率により治療効果を評価した。

 
 

モイゼルト軟膏の小児への治療効果

モイゼルト軟膏の小児の治療効果

モイゼルト軟膏0.3%治療群の4週後のIGA反応率は、44.58%。
モイゼルト軟膏1.0%治療群の4週後のIGA反応率は、47.06%。
未治療群(基剤群)での投与4週後のIGA反応率は、18.07%。
治療群で優位な改善がみられた。
 

出典:国内の小児アトピー性皮膚炎患者さん251名の研究

  • 小児アトピー性皮膚炎患者(2歳以上14歳以下)
  • 病変の範囲が体表面積の5%~40%
  • IGAスコアが2(軽症)又は3(中等症)
  • 小児のアトピー性皮膚炎患者に治験薬を1日2回、4週間塗布した。
  • 治験薬投与4週後におけるIGAの反応率により治療効果を評価した。

 
 

モイゼルト軟膏の長期使用の効果と安全性

モイゼルト軟膏の長期使用での効果

  • モイゼルト軟膏を長期的に使用することで高いIGA反応率がみられた。
  • 成人では52週間後のIGA反応率が34.94%、小児では52.50%であった。

 

モイゼルト軟膏の長期使用での副作用

  • 副作用の頻度は成人では8.4%(14/166例)、小児では8.0%(16/200例)であった。
  • 2例以上に発現した副作用は、成人でアトピー性皮膚炎1.8% (3/166例 )、 ざ 瘡1.2%(2/166例)であり、小児ではアトピー性皮膚炎2.0% (4/200例)、色素沈着障害2.0%(4/200例)、毛包炎1.0%(2/200例)であった。
  • 重篤な副作用は発現しなかった。

 

出典:国内のアトピー性皮膚炎患者さん366名の長期投与試験治療方法

  • 成人アトピー性皮膚炎患者(15歳以上)、小児アトピー性皮膚炎患者(2歳以上14歳以下)
  • 病変の範囲が体表面積の5%以上
  • IGAスコアが2(軽症)以上
  • アトピー性皮膚炎患者を対象として、成人には本剤1%、小児には本剤0.3%又は1%を1日2回塗布した。
  • 52週間塗布した時の治療効果と安全性を検討した。

 
 

モイゼルト軟膏の副作用

モイゼルト軟膏は 安全性が高いお薬

ステロイド外用薬の長期使用に伴う血管拡張や、皮膚が薄くなることがありません。
タクロリムス軟膏のような使い始めに伴う、ヒリヒリ感もありません。 
 

モイゼルト軟膏で起こりうる副作用

アトピー性皮膚炎治療の塗り薬は、免疫細胞の過剰な活性を抑えます。免疫細胞を抑制するため、稀にニキビ・ヘルペス・トビヒ・おできなどの皮膚表面の感染症を起こすことがあります。
皮膚につけるお薬という性質上、カブレる可能性が起こりえます。
 
 

モイゼルト軟膏の使い方

モイゼルト軟膏を塗る量の目安

1日2回、患部に適量塗ります。

モイゼルト軟膏


 

モイゼルト軟膏を使用する期間

見た目に治っているように見えても、皮膚の下では炎症がくすぶっていることがあります。
このような状態で塗るのをやめてしまうと、すぐぶり返してしまうかもしれません。
炎症の火種が消えた状態を保つことが大切です。
皮膚がどのような状態になるまで薬を塗り続けるか、どうなったら塗る回数を減らすか、など塗り薬の使い方のアドバイスは皮膚科医からの指示を守るようにしてください。
当院でも外来受診時にご説明させていただいております。
 
 

モイゼルト軟膏の費用

別途、初診料、再診料、処方量、薬剤量などがかかります。

モイゼルト軟膏0.5%1本(10g)の費用

3割負担のとき

1本456円

1割負担の時

1本152円

モイゼルト軟膏0.3%1本(10g)の費用

3割負担のとき

1本426円

1割負担の時

1本142円

 
 


WRITER 
うらた皮膚科 院長
日本皮膚科学会認定専門医