HOME > アトピー性皮膚炎 > ブイタマークリーム

ブイタマークリーム

VTAMA CREAM
最終更新日:2026-5-9

皮膚科専門医監修。ブイタマークリーム(成分名:タピナロフ)は、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬の治療に使用される画期的な非ステロイド外用薬です。1日1回の塗布で皮膚のバリア機能を回復させ、長期間症状を抑える「寛解維持」の効果が期待されます。本記事では、毛包炎や頭痛などの副作用リスク、1回の適量(FTU)などの正しい塗り方のコツ、2025年に解除された投薬期間制限や費用について、一般の方にもわかりやすく解説します。

ブイタマークリームとは
ブイタマークリームの効果
ブイタマークリームの臨床研究
知っておきたいブイタマークリームの副作用(毛包炎・頭痛)とリスク管理
使用できない方
ブイタマークリームの正しい使い方(塗り方)と併用時の注意点
費用
よくある質問

ブイタマークリーム(成分名:タピナロフ)とは?ステロイドを含まない新しい外用薬

ブイタマークリームの製品画像
ブイタマークリーム(一般名:タピナロフ)は、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬といった慢性の皮膚疾患の治療において、全く新しいアプローチをもたらした画期的な塗り薬(外用薬)です 。長年にわたり皮膚科の治療ではステロイド外用薬が中心的な役割を担ってきましたが、ブイタマークリームはステロイド成分を一切含んでいません。そのため、長期使用に伴う特有の副作用リスクを回避しながら、強力に炎症を抑えることが可能となっています。本項目では、この薬剤の基本的な性質や、これまでの治療薬との違いについて詳しく解説いたします。

アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬への適応と日本国内での承認背景

ブイタマークリーム1%は、日本国内において「アトピー性皮膚炎」および「尋常性乾癬」の2つの疾患を適応症として、2024年6月に製造販売承認を取得し、保険適用での処方が開始されました 。塩野義製薬株式会社と鳥居薬品株式会社が共同で展開・販売を行っており、国内の医療機関において広く採用が進んでいます 。
本薬剤の承認にあたっては、日本国内の患者様を対象とした厳密な第Ⅲ相比較試験(アトピー性皮膚炎を対象としたZBB4-1試験、および尋常性乾癬を対象としたZBA4-1試験)が実施されました 。これらの臨床試験において、有効成分を含まない基剤(プラセボ)と比較して極めて高い有効性が実証されるとともに、長期にわたる継続投与試験でも安全性が確認されたことが、承認の大きな根拠となっています 。アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬は、発症のメカニズムは異なりますが、どちらも免疫の過剰反応と皮膚バリア機能の異常が深く関わっており、ブイタマークリームはその両方の疾患に対して根本的な改善を促すことが期待されています。

AhR(芳香族炭化水素受容体)への新しい作用機序とは?

ブイタマークリームがこれまでの塗り薬と根本的に異なるのは、「AhR(芳香族炭化水素受容体:Aryl hydrocarbon Receptor)」という細胞内のセンサータンパク質に直接働きかける「AhR作動薬(アゴニスト)」であるという点です 。AhRは、私たちの皮膚の細胞(表皮角化細胞や免疫細胞)に存在し、外部環境からの刺激を感知して、炎症をコントロールしたり皮膚のバリア機能を調節したりする重要な役割を担っています。
ブイタマークリームの有効成分であるタピナロフが皮膚から浸透し、このAhRに結合すると、細胞の核内で特定の遺伝子の働きが変化します。具体的には以下の2つの大きな効果を同時にもたらします。

  1. 炎症性サイトカインの抑制: アトピー性皮膚炎の原因となる「Th2細胞」由来の過剰な炎症シグナル(IL-4やIL-13など)や、尋常性乾癬の原因となる「Th17細胞」由来の炎症シグナル(IL-17など)の産生を遺伝子レベルで強力にブロックします。
  2. 皮膚バリア機能の強化: 表皮の角質層を形成し、肌の潤いを保つために不可欠な天然の保湿因子(フィラグリンやロリクリンなど)の産生を促進します。

つまり、単に「現在起きている炎症という火事を鎮火する」だけでなく、「皮膚そのものを丈夫にして、再び火事が起きにくい肌質へと作り変える」という、一石二鳥の画期的なメカニズム(作用機序)を持っています。

非ステロイド薬としての立ち位置

皮膚疾患の治療において、ステロイド外用薬は依然として非常に有効かつ重要な第一選択薬です。しかし、ステロイド外用薬を長期間使い続けると、「皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)」「毛細血管が浮き出て赤ら顔になる(毛細血管拡張)」といった局所的な副作用が生じるリスクがあります。これらの副作用は想定より強すぎるランクや、長すぎる期間使用することで稀に生じます。
また、患者様自身がステロイドに対して強い不安感を抱き、自己判断で薬を塗るのをやめてしまう「ステロイド忌避」が、治療を難しくする要因となることもありました。
ブイタマークリームはステロイド成分を含まない(非ステロイド性である)ため、これらの副作用の心配がありません 。特に、顔面や首、デリケートゾーンなど、皮膚が薄くステロイドの副作用が出やすい部位に対しても、長期的に安心して使用できる新しい選択肢となります。

ブイタマークリームで期待できる優れた効果と長期間の「寛解維持」

ブイタマークリームの最大の魅力は、一時的に症状を抑え込むだけにとどまらず、長期間にわたって皮膚の良い状態をキープできる点にあります。ここでは、アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬それぞれにおける具体的な治療効果と、「寛解維持(かんかいいじ)」と呼ばれる画期的な特徴について解説いたします。

アトピー性皮膚炎に対する皮膚バリア機能の根本的な回復・強化効果

アトピー性皮膚炎の患者様の皮膚は、遺伝的要因や環境要因によってフィラグリンなどのタンパク質が不足し、バリア機能が著しく低下しています。そのため、少しの摩擦や汗、ダニ、ハウスダストといった外部刺激で容易に炎症が起き、強いかゆみを引き起こします。かきむしることでさらにバリアが破壊されるという「かゆみと炎症の悪循環(イッチ・スクラッチ・サイクル)」に陥りやすいのが特徴です。
ブイタマークリームを継続して1日1回塗布することで、先述したAhRを介した作用により、低下していたフィラグリンの産生が促され、皮膚のバリア機能が根本から立て直されます 。臨床試験のデータでは、塗布開始から比較的早い段階で皮膚の赤みや強いかゆみが軽減し始め、継続することでゴワゴワと硬くなっていた皮膚(苔癬化)が滑らかさを取り戻していくことが確認されています 。炎症を抑えるだけでなく、肌本来の防御力を高めるため、外部刺激に負けない健康的な肌へと導く効果が期待されます。

尋常性乾癬における長期間のリバウンド防止(休薬期間の実現)

尋常性乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり(紅斑)、その表面に銀白色のフケのような厚いかさぶた(鱗屑)が付着してポロポロとはがれ落ちる慢性疾患です。これまで、尋常性乾癬の塗り薬治療では、薬を塗っている間は症状が治まっていても、塗るのをやめるとすぐに元の状態に戻ってしまう「リバウンド」が大きな悩みでした。
しかし、ブイタマークリームを用いた大規模な臨床試験(PSOARINGプログラム等)において、非常に画期的なデータが示されました 。ブイタマークリームの塗布により、皮膚の症状が完全に消失した(あるいはほぼ消失した)状態(PGAスコアが0または1)に達した患者様が、その時点で薬の塗布を中止した場合、次に症状が悪化して再び治療が必要になるまでの期間の中央値が「約4ヶ月(約130日)」にも及んだのです 。
この「薬を塗らなくても良い期間(トリートメント・フリー・ホリデー)」が数ヶ月単位で得られることは、毎日の塗り薬という負担から患者様を解放し、生活の質(QOL)を劇的に向上させます 。これは、ブイタマークリームが皮膚の奥深くの炎症を根本から鎮めている証拠と言えます。

長期使用でも使い続けても効き目が落ちない(タキフィラキシーがない)メリット

一部の薬剤(特に強いステロイド外用薬など)では、長期間同じ部位に使い続けていると、皮膚が薬に慣れてしまい、次第に効果が弱くなっていく「タキフィラキシー(耐性)」という現象が起こることがあります。
しかし、ブイタマークリームの最長52週間にわたる長期投与試験(PSOARING 3などの長期拡張試験)の解析において、使い続けることで効果が落ちるタキフィラキシーは観察されませんでした 。これは、慢性の皮膚疾患に対して、数ヶ月から数年にわたる長期的な視野で治療計画を立てる際、非常に強力で信頼できるメリットとなります。患者様は、「薬が効かなくなるのではないか」という不安を抱えずに、安心して治療を継続することができます。

ブイタマークリームの臨床研究

承認の根拠となった臨床試験

新しいお薬が世に出るまでには、その有効性(効果)と安全性(副作用)を科学的に証明するための厳格な臨床試験(治験)が行われます。ブイタマークリームも、日本国内で多くの患者さんの協力のもと臨床試験が行われ、その結果に基づいて厚生労働省から承認されました 。

国内臨床試験からわかったこと

日本で行われた大規模な臨床試験では、アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬の両方で、ブイタマークリームの有効性と安全性が確認されました。

  • アトピー性皮膚炎(ZBB4-1試験、ZBB4-2試験):試験に参加した多くの患者さんで、医師が評価する総合的な重症度が「消失またはほぼ消失」という目標を達成しました。また、湿疹の範囲や重症度を示すEASIスコアやかゆみの程度も、著しく改善することが示されました 。
  • 尋常性乾癬(ZBA4-1試験、ZBA4-2試験):同様に、多くの患者さんで皮膚症状が「消失またはほぼ消失」という目標を達成しました。乾癬の重症度を示すPASIスコアも大幅に改善し、高い治療効果が確認されました 。

国内の成人アトピー性皮膚炎216名の治療効果

対象

成人アトピー性皮膚炎患者(12歳以上)

病変の範囲が体表面積の5%~30%

IGAスコアが3(中等症)または4(重症)

EASIスコア(被髪頭部を除く)が10以上の患者

治療方法

成人のアトピー性皮膚炎患者に治験薬を1日1回、8週間塗布した。

評価方法

治験薬投与8週後におけるIGAの反応率により治療効果を評価した。

効果

<ブイタマー群>

20.24%の方で症状が消失またはほぼ消失し、IGAスコアが2段階以上改善した。

<プラセボ群>

2.24%の方しか症状の改善が見られなかった。

国内の成人尋常性乾癬158名の治療効果

対象

軽症~重症の成人尋常性乾癬患者

PGAスコアが2(軽症)~4(重症)

PASIスコアが5以上

病変%BSAが3~20%

治療方法

治験薬を1日1回、12週間塗布した。

評価方法

治験薬投与12週後におけるPGAの反応率により治療効果を評価した。

効果

<ブイタマー群>

20.06%の方で症状が消失またはほぼ消失し、PGAスコアが2段階以上改善した。

<プラセボ群>

2.50%の方しか症状の改善が見られなかった。

1年間の長期使用における有効性と安全性

慢性的な病気であるアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬の治療では、お薬を長期間使用することが多いため、長期的な安全性は非常に重要です。ブイタマークリームは、52週間(約1年間)にわたる長期投与試験も実施されています 。
この試験から得られた重要な結果は二つあります。一つは、治療効果が1年間にわたって維持されたこと。もう一つは、長期間使用しても新たな、あるいは予期せぬ重篤な安全性の問題は認められなかったことです 。
短期間の試験で確認された副作用(毛包炎、接触皮膚炎、頭痛など)の種類は、1年間の長期試験でも同様であり、その発生頻度も予測の範囲内でした 。これは、お薬の安全性のプロファイルが長期間にわたって一貫していることを示唆しています。医師が患者さんに対して、「このお薬の副作用については1年間のデータがあり、長期的に使っても新たな心配事は増えにくいと考えられます」と、しっかりとした根拠を持って説明できることは、安心して治療を続ける上で大きな意味を持ちます。

国内の成人アトピー性皮膚炎291名の長期使用による効果と安全性

対象

成人アトピー性皮膚炎患者(12歳以上)

病変の範囲が体表面積の5%~30%

IGAスコアが2(軽症)または4(重症)

EASIスコア(被髪頭部を除く)が5以上の患者

治療方法

成人のアトピー性皮膚炎患者に治験薬を1日1回、52週間塗布した。

評価方法

治験薬投与52週後におけるIGA反応率と副作用を評価した。

効果

<ブイタマー群>

41.3%の方で症状が消失またはほぼ消失し、IGAスコアが2段階以上改善した。

安全性

重篤な副作用は見られなかった。

適用部位毛包炎17.9%(52/291例),適用部位ざ瘡16.2%(47/291例),頭痛13.7%(40/291例),アトピー性皮膚炎8.2%(24/291例),ざ瘡7.2%(21/291例)及び接触皮膚炎5.5%(16/291例)をみとめた。

知っておきたいブイタマークリームの副作用(毛包炎・頭痛)とリスク管理

ブイタマークリームはステロイド特有の副作用がない一方で、本薬剤ならではの特有の副作用がいくつか報告されています 。新しいお薬を安心して継続していただくためには、どのような症状が起こり得るのかを事前に把握し、パニックにならずに正しく対処することが不可欠です。

適用部位にみられる毛包炎(ニキビのような症状)や接触皮膚炎

臨床試験において、5%以上の頻度で報告されている主な局所的な副作用として、「適用部位毛包炎(毛穴の炎症)」「接触皮膚炎(かぶれ)」「適用部位ざ瘡(ニキビ)」が挙げられます 。
中でも最も特徴的なのが「毛包炎」です。クリームを塗っている範囲の毛穴に一致して、赤いポツポツとした発疹や、先端が白く膿を持ったニキビのような湿疹が現れることがあります 。これは、有効成分であるタピナロフが毛穴の細胞にあるAhRに作用する過程で生じる一時的な炎症反応と考えられており、一般的な細菌感染によるニキビとは性質が異なります 。
多くの場合、毛包炎の症状は軽度から中等度であり、痛みを伴わないことも多いため、医師の管理下でそのままブイタマークリームの塗布を継続しているうちに自然と軽快していくケースもあります 。ただし、症状が広範囲に及ぶ場合や、強いかゆみ・痛みを伴う「接触皮膚炎(薬の成分自体に対するアレルギー反応やかぶれ)」が疑われる場合は、自己判断で無理に使い続けず、速やかに処方元の皮膚科医に相談してください。必要に応じて、一時的な休薬や、他の保湿剤との併用などの対策が講じられます。

塗り始めに起こりやすい「頭痛」の副作用を防ぐための範囲調整

塗り薬としては非常に珍しい副作用ですが、ブイタマークリームの使用を開始した直後に「頭痛」を生じるケースが5%以上の確率で報告されています 。
この頭痛が起こる詳細なメカニズムは完全には解明されていませんが、皮膚に塗布した有効成分が、炎症を起こしてバリア機能が低下している皮膚の隙間から血液中へと微量に吸収され(全身移行)、一時的な血管拡張などの全身反応を引き起こしている可能性が指摘されています。特に、アトピー性皮膚炎の症状が全身に強く出ており、初めから広範囲に大量のクリームを塗布した場合に、血中濃度が急上昇して頭痛が誘発されやすい傾向があります 。
この頭痛のリスクを最小限に抑えるための実践的なコツとして、「最初は病変の一部(狭い範囲)のみから塗り始め、数日かけて徐々に塗布範囲を広げていく」というアプローチが推奨されています 。体を少しずつ薬の成分に慣れさせることで、不快な頭痛を回避しやすくなります。もし使用後に頭痛を感じた場合は我慢せず、市販の鎮痛剤を使用しても良いか、塗布量や範囲をどのように調整すべきか、担当医に相談してください。

ブイタマークリームを使用できない方・小児(子ども)への適応について

優れた治療効果を持つブイタマークリームですが、患者様の年齢、ライフステージ、体質によっては使用に制限がかかる場合があります。安全性を最優先するため、以下の項目に該当する方は注意が必要です。

妊娠中・授乳中の方および過去に過敏症があった方の使用制限

次のような背景をお持ちの患者様は、ブイタマークリームの使用が禁忌(使用不可)、あるいは慎重な判断が必要とされます。

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方: 過去にタピナロフや、クリームに含まれる添加物(基剤成分など)によってアナフィラキシーや重度の接触皮膚炎などの強いアレルギー反応を起こしたことがある方は、再度激しいアレルギーを引き起こす危険があるため使用できません。
  2. 妊婦または妊娠している可能性のある女性: 妊娠中の使用に関する安全性を裏付ける十分な臨床データが確立されていません。そのため、医師が「治療上の有益性が、お腹の胎児への潜在的な危険性を上回る」と判断した場合にのみ使用が検討されます。基本的には、妊娠中は安全性がより確立された他の外用薬や保湿剤による治療への切り替えが推奨されます。
  3. 授乳中の女性: 動物実験等のデータから、薬の有効成分が母乳中へ移行する可能性を完全に否定することができません。そのため、ブイタマークリームを使用する期間中は授乳を避けるか、あるいは治療を優先して授乳を中断するなどの配慮が必要となります。必ず主治医とよく相談してください。

12歳以上の小児への適応と、今後の低濃度製剤(0.5%)の承認動向

小児期のアトピー性皮膚炎は非常に患者数が多く、ステロイドを使わない治療選択肢へのニーズが保護者から高く寄せられています。現在、日本国内において処方されている「ブイタマークリーム1%」は、「成人」および「12歳以上の小児」に対するアトピー性皮膚炎治療薬として承認されています 。
小児(特に乳幼児)の皮膚は成人に比べて非常に薄く、単位体重あたりの皮膚の表面積の割合も大きいため、塗り薬の成分が体内に過剰に吸収されやすく、頭痛などの全身性の副作用が出やすいという特徴があります 。そのため、現時点では日本国内において12歳未満の小児に対する1%製剤の使用は認められていません。
しかし、海外に目を向けると、米国ではすでに2024年12月にFDA(米国食品医薬品局)によって、「2歳以上」の小児に対するタピナロフクリームの適応拡大が正式に承認されています 。さらに日本国内でも非常に期待できる最新動向として、2025年10月10日に、日本たばこ産業株式会社(JT)と鳥居薬品株式会社が、より成分濃度を抑えた「タピナロフクリーム0.5%(開発コード:JTE-061)」について、「2歳以上12歳未満の小児アトピー性皮膚炎」を適応症として、厚生労働省へ製造販売承認申請を行いました 。
国内で実施された小児(2歳〜12歳未満)を対象とした第Ⅲ相臨床試験において、この0.5%製剤はプラセボと比較して明確な有効性(主要評価項目の達成)を示し、長期投与における安全性も十分に確認されています 。この申請が無事に承認されれば、近い将来、日本のより幼い子どもたちにも、ステロイドを使わない新しい治療選択肢が提供されることになります。

ブイタマークリームの正しい使い方(塗り方)と併用時の注意点

どんなに優れた効果を持つお薬でも、正しい用法・用量を守らなければそのポテンシャルを最大限に引き出すことはできません。また、誤った塗り方は副作用のリスクを高める原因にもなります。ここでは、ご家庭で実践していただきたいブイタマークリームの正しい塗り方のコツを詳しく解説いたします。

1日1回・適量(FTU)の目安と、すり込まない「やさしい塗り方」のコツ

ブイタマークリームの使用回数は「1日1回」です 。お風呂上がりなど、皮膚が清潔で少し潤っているタイミングで塗布するのが一般的です。
塗布する際の重要な基準となるのが「適量」です。皮膚科では、塗り薬の適量を示す単位として「フィンガーチップユニット(FTU:Finger Tip Unit)」という言葉を用います 。 大人の人差し指の先端から第一関節まで、チューブから一直線に絞り出したお薬の量が「1 FTU(約0.5グラム)」に相当します。この「1 FTU」で、大人の手のひら2枚分の面積に塗るのが正しい量です 。自己判断で薄く引き伸ばしすぎると、十分な効果が得られないため注意が必要です。
また、塗り方の最大のコツは「決して強くすり込まない」ことです 。アトピー性皮膚炎や乾癬の肌は非常にデリケートであり、薬をすり込もうとする強い摩擦自体が、肌への物理的なダメージとなって炎症を悪化させてしまいます。皮膚の上にクリームをやさしく乗せ、表面を滑らせるようにスッと広げてください。「塗った後にティッシュペーパーが皮膚にピタッと張り付く程度」、あるいは「皮膚の表面がテカテカと光って見える程度」が、正しい厚みで塗れているサインです 。

塗った後に皮膚が白くなる理由と正しい対処法

ブイタマークリームを適量で塗布した直後、クリームを塗った部分の皮膚が白く浮き出たように残ることがあります。これは、有効成分を溶かし込んでいる「基剤(クリームのベースとなる成分)」の物理的な性質によるものであり、お薬の異常や副作用ではありません 。
白く残っているのを見て、「しっかり肌に吸収されていないのではないか」と不安になり、見えなくなるまでゴシゴシと強くすり込んでしまう患者様がいらっしゃいますが、これは避けてください 。塗布後、そのまま5分から10分ほど時間が経過すれば、体温によって基剤が自然に溶け、白さは消えて透明になじんでいきます。無理にすり込まず、白浮きは自然に消えるのを待つのが正しい対処法です。

ステロイド外用薬との上手な使い分け・プロアクティブ療法への応用

アトピー性皮膚炎の症状は常に一定ではなく、季節の変わり目やストレス、疲労などで急激に悪化(フレア)することがあります。ジュクジュクと浸出液が出ていたり、赤く腫れ上がって強いかゆみがあるような「炎症のピーク時(急性期)」には、速効性のあるステロイド外用薬を使用して、まずは急激な炎症の火事を素早く消し止めることが最優先となります 。
そして、ステロイドによって目立つ赤みや腫れが落ち着いてきた段階で、再発を防ぐための維持療法としてブイタマークリームに切り替える、という使い分けが非常に効果的です 。このように、症状が落ち着いているときでも定期的に非ステロイドの抗炎症薬を塗り続け、見えない炎症の再燃を予防する治療法を「プロアクティブ療法」と呼びます。
また、部位による使い分けも重要です。体幹や手足の皮膚が厚い部分にはステロイドを使用し、顔面や首、デリケートゾーンといった皮膚が薄く副作用が出やすい部分にはブイタマークリームを使用するなど、症状や部位に応じた「テーラーメイドの治療計画」を医師と相談しながら進めていくことが大切です 。

ブイタマークリームの処方費用(薬価)と投薬期間制限の解除

治療を長期的に継続する上で、経済的な負担や通院の頻度は患者様にとって大きな関心事です。ここでは、ブイタマークリームの具体的な費用感と、2025年に改定された処方ルールの変更点について解説します。

健康保険適用時の1gあたりの薬価と、1ヶ月の自己負担額の目安

ブイタマークリーム1%は、医師の処方箋が必要な医療用医薬品であり、健康保険が適用されます。2026年現在の公定価格(薬価)は「1gあたり300.8円」に設定されています 。
以下の表は、処方されるグラム数に応じた、薬局の窓口で支払う「お薬代(自己負担額)」の目安をまとめたものです。 ※この表はあくまで「薬の代金のみ」の計算であり、実際の窓口ではこれに加えて医療機関での診察料、処方箋料、薬局での調剤基本料などが加算されます。

   15gチューブ1本あたりの薬価  患者さんの自己負担額の目安(3割負担の場合)
 ブイタマークリーム1% 4,512円  約1,350円

注意: 上記は薬剤費のみの概算です。実際の支払い額には、診察料や処方料、調剤薬局での技術料などが加わりますので、多少前後します。

2025年9月からの「投薬期間制限(14日分)の解除」による長期処方の実現

日本国内の医療保険制度では、安全性や副作用を慎重に確認する目的で、新しく発売された医薬品に対しては「発売から1年間は、1回の診察につき最大14日分までしか処方してはならない」という厳格なルール(投薬期間制限)が設けられています。ブイタマークリームも2024年に承認・発売された当初はこの制限の対象であったため、患者様は必ず2週間に1回の頻度でこまめに通院しなければなりませんでした。
しかし、発売後の1年間で国内の多数の患者様に使用され、深刻な安全性上の懸念がないことが確認された結果、2025年9月1日をもってこの「14日間の投薬期間制限」が正式に解除されました
これにより、現在では医師の診察と判断に基づき、30日分や60日分といった長期の処方が可能となっています。アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬は、仕事や学業、家事と両立しながら長期間付き合っていく必要のある疾患です。頻繁な通院が負担となっていた患者様にとって、この制限解除は非常に大きなメリットであり、治療へのアドヒアランス(お薬を規則正しく継続する意欲)の向上に直結すると高く評価されています 。

よくある質問

Q
 クリームを塗り忘れた場合はどうすればよいですか?

A
気づいた時点ですぐに1回分を塗ってください。ただし、次の通常塗る時間が近い場合は、忘れた分は塗らずに、次の時間に1回分を塗ってください。一度に2回分を塗ることは絶対にしないでください 。
 

Q
 顔や首など、皮膚の薄い部分にも使えますか?

A
はい、使用できます。ブイタマークリームは非ステロイド性のため、ステロイド薬の長期使用で懸念される皮膚が薄くなるような副作用の心配がありません。そのため、顔や首などのデリケートな部分にも使いやすいお薬です。ただし、他の部位と同様に、塗った部分に刺激感が出ることがありますので、必ず医師の指示に従って使用してください 。
 

Q
効果が出るまでどれくらいかかりますか?

A
個人差はありますが、多くの場合、数週間で症状の改善が見られ始めます。大切なのは、毎日継続して使用することです。治療の目安として、アトピー性皮膚炎では8週間 尋常性乾癬では12週間 使用しても改善が見られない場合は、治療方針を見直すために医師と相談することが推奨されています 。
 

Q
長期間使っても安全ですか?皮膚が薄くなるような心配はありませんか?

A
ブイタマークリームは、最長1年間(52週間)の臨床試験で安全性が確認されており、長期使用によって新たな重篤な副作用が増えることは報告されていません。また、このお薬はステロイドではない ため、ステロイドの長期使用で問題となる皮膚萎縮(皮膚が薄くなること)の副作用はありません 。
 

Q
 保湿剤など、他のスキンケア製品と一緒に使ってもよいですか?

A
必ず医師に相談してください。
ブイタマークリーム自体に皮膚のバリア機能を改善する働きがあるため、人によっては保湿剤の使用頻度や量を減らせる可能性があります 。もし保湿剤を併用する場合は、ブイタマークリームを塗る前か後か、どのくらい時間を空けるかなど、最適な使い方について医師や薬剤師の指示に従ってください。
 

Q
クリームはどんな使用感ですか?ベタつきますか?

A
ブイタマークリームは白色のクリーム剤です。
一般的に、においはほとんどなく、ベタつきも少ないとされています。伸びが良く、塗り心地が良いように設計されています 。
 

Q
数週間使っても全く良くならない場合はどうすればよいですか?

A
上記の通り、一定期間使用しても効果が見られない場合は、治療が適切かどうかを評価する必要があります。医師の指示通りに、アトピー性皮膚炎で8週間、尋常性乾癬で12週間使用しても明らかな改善が見られない場合は、再度受診して、今後の治療について医師と相談してください 。
≪監修者プロフィール≫
監修医師うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年 うらた皮膚科