リップクリームを塗っても唇の荒れが治らないのはなぜ?
唇の荒れが長引く場合は、保湿不足だけでなく、炎症が続いていることや、刺激・かぶれの原因が残っていることを考えます。口唇炎では、赤み、皮むけ、ひび割れ、ヒリヒリ感、かゆみなどがみられます。[1・4・5]
- 炎症が続いている:保湿を目的としたリップクリームやワセリンだけでは、赤みや痛みが十分に改善しないことがあります。
- 使っている製品が合っていない:リップクリーム・口紅などによる刺激やアレルギー性のかぶれが関わる場合があります。
- 日常の刺激が繰り返されている:唇をなめる、かむ、皮をむくといった習慣が、治りにくさにつながることがあります。
「保湿しているのに治らない」場合は、製品を次々と追加する前に、何が唇に触れているかを見直しましょう。水ぶくれや口角の亀裂が目立つときには、別の病気を確認することも大切です。
唇の荒れ・皮むけを起こす主な原因
乾燥と、なめる・かむ・こする刺激
乾燥した空気や、唇への繰り返す刺激は、荒れのきっかけになります。唇をなめると一時的にうるおったように感じますが、唾液で濡れて乾くことを繰り返すと、唇と周囲の皮膚を守る働きが損なわれ、炎症が続くことがあります。
お子さまでは、舌が届く範囲に赤みやカサつきが広がることもあります。皮をむく、かむ、ティッシュで何度もこするといった刺激も見直します。
リップクリーム・口紅・歯磨き粉によるかぶれ
リップクリームや口紅、歯磨き粉などに含まれる成分が刺激になったり、アレルギー性のかぶれを起こしたりすることがあります。香料・風味成分・防腐剤などが原因になる場合もありますが、症状の見た目だけで成分を特定することはできません。
塗ったときのヒリヒリ感は、成分が効いているサインとは限りません。使用後にしみる、赤みや皮むけが増える製品は控え、診察時に製品名や成分表示をお伝えください。「無添加」「自然由来」といった表示だけで、かぶれないと判断することもできません。
アトピー性皮膚炎に伴う口唇炎
アトピー性皮膚炎のある方では、唇にも乾燥や湿疹が生じることがあります。唇だけでなく、顔や身体の湿疹の状態も確認します。アトピー性の炎症に、製品によるかぶれや日常の刺激が重なっている場合もあります。
皮むけを繰り返す剥脱性口唇炎
唇の表面が厚くなって繰り返し剥がれる場合には、剥脱性口唇炎(はくだつせいこうしんえん)などを考えることがあります。ただし、皮むけがあるだけで剥脱性口唇炎と診断することはできません。かぶれや感染など、ほかの原因を確認したうえで判断します。原因や経過によっては、継続的な治療が必要です。
口角炎・口唇ヘルペス・口囲皮膚炎との違い
唇や口の周りのトラブルは、症状が出る場所や、水ぶくれ・ぶつぶつの有無が診断の手がかりになります。
症状の場所と特徴の比較
| 状態 | 症状の特徴 | 診療で確認すること |
| 口唇炎(湿疹・かぶれなど) | 唇の赤み、皮むけ、ひび割れ、ヒリヒリ感 | 乾燥、接触する製品、なめる癖、アトピーなど |
| 口角炎 | 口の両端、または片側が切れる。口を開けると痛む | 唾液による刺激や、カンジダ・細菌などの関与 |
| 口唇ヘルペス | ピリピリした違和感に続き、小さな水ぶくれが集まることがある | ウイルスによる感染症か、再発かどうか |
| 口囲皮膚炎 | 唇の周りの皮膚に赤いぶつぶつが目立つ | 唇自体の湿疹との違い、使用中の塗り薬や化粧品 |
水ぶくれや繰り返すピリピリ感については、口唇ヘルペスの症状と治療 もご覧ください。口の周りの赤いぶつぶつが中心の場合は、口囲皮膚炎 のページで詳しく解説しています。
唇が荒れたときのセルフケアと避けたい習慣
白色ワセリンなどで、こすらず保護する
乾燥対策には、白色ワセリンなどの刺激が少なく、成分がシンプルな保護剤が選択肢になります。清潔な指などでやさしく塗り、乾燥しやすいときや就寝前などに保護しましょう。強くすり込む必要はありません。塗って赤みやかゆみが増す場合は使用を控え、相談してください。
ワセリンは唇の水分が逃げるのを防ぐためのもので、炎症や感染など、すべての原因を治療する薬ではありません。
しみる製品や、落とすときの摩擦を減らす
荒れている間は、刺激を感じるリップや口紅、唇用スクラブなどを控えます。落ちにくい口紅を強くこすって落とすことも避けましょう。歯磨き粉などが唇に残ったときはやさしく洗い流し、水分を押さえるように拭き取ります。
歯磨きや必要な口腔ケアそのものをやめる必要はありません。製品との関連が気になる場合は、使っているものを診察時に確認します。
皮をむかず、なめる・かむ癖を見直す
浮いた皮を無理に剥がすと、ひび割れや痛みにつながります。気になるときも、指や歯で取らずに保護してください。唇をなめる癖があるお子さまには、叱るだけでなく、乾燥や不快感を減らすケアを一緒に行いましょう。
乾燥と紫外線から唇を守る
室内が乾燥している場合は加湿を検討し、屋外では帽子なども活用します。唇用の日焼け止めを選ぶときも、しみないことを重視してください。紫外線を長時間浴びることは、唇にも影響します。
皮膚科で行う口唇炎の診断と治療
症状の経過と、唇に触れるものを確認します
いつから続いているか、良くなったり悪くなったりするタイミング、使用中のリップ・口紅・歯磨き粉、塗り薬・飲み薬などを確認します。唇の周囲や口の中、身体の湿疹も診断の参考になります。
受診時には、使用している製品の現物や成分表示の写真、お薬手帳があると役立ちます。症状が強かったときの写真も、経過を伝える手がかりになります。
必要に応じて、かぶれなどの原因を調べます
アレルギー性のかぶれが疑われる場合には、パッチテストが検討されます。これは、原因が疑われる物質への皮膚の反応を医療機関で調べる検査です。口唇炎のすべての方に必要な検査ではなく、症状と経過に応じて判断します。
原因を確かめようとして、疑わしい製品を自分で荒れた唇に塗り直すことは避けてください。
炎症には、唇の状態に合った外用薬を使います
赤みやヒリヒリ感などの炎症が続く場合は、保湿と原因の回避に加えて、ステロイド外用薬などで炎症を抑えることがあります。唇だからステロイドを一切使えないわけではありません。薬の強さ、塗る範囲、回数、期間は、診断と症状に応じて医師が判断します。
身体用に処方された薬を自己判断で流用したり、改善しないまま長期間塗り続けたりすることは避けましょう。処方された薬で悪化する、やめるとすぐ再発するといった場合は、原因や診断の見直しも必要です。
感染などが関わる場合は、原因に合わせて治療します
口角炎にカンジダや細菌が関わる場合、口唇ヘルペスが疑われる場合などは、保湿や湿疹の薬だけでは対応できないことがあります。必要に応じて抗真菌薬・抗菌薬・抗ウイルス薬などを選択します。唇の荒れすべてに、これらの薬が必要なわけではありません。
唇の荒れ・皮むけで皮膚科を受診する目安
ケアを続けても改善しない・何度も繰り返す
軽い乾燥と思ってケアをしていても、2〜3週間ほどで改善がみられない場合や、何度も繰り返す場合は皮膚科で相談しましょう。これは自宅ケア後の相談の目安であり、必ずその期間待つ必要があるという意味ではありません。
痛み・ただれ・水ぶくれや、治らない一部分がある
痛みやひび割れが強く、食事・水分摂取に支障がある。
出血、ただれ、膿、広がる赤み、発熱などがある。
小さな水ぶくれが集まってできる、急に悪化する。
同じ場所のかさぶた・ただれ・しこりが続き、治らない。
このような場合は、2〜3週間を待たずに受診してください。特に、唇の一部分だけが治らない、しこりや出血を繰り返す場合は、乾燥と決めつけないことが大切です。紫外線による光線性口唇炎や腫瘍など、ほかの病気がないかを確認します。
唇・舌の急な腫れに、息苦しさを伴う場合
唇や舌が急に腫れ、息苦しさ、喉の詰まり感、飲み込みにくさなどを伴う場合は、119番などで速やかに救急対応を求めてください。通常の唇荒れとは異なる緊急の対応が必要です。当院の順番受付や次の診療日を待たないでください。
唇の荒れ・皮むけについてよくある質問
唇の荒れは、何科を受診すればよいですか?
ワセリンだけで口唇炎は治りますか?
市販の口唇炎の薬を使ってもよいですか?
ビタミン不足が原因ですか?
口唇炎は人にうつりますか?
子どもの唇の荒れも診てもらえますか?
名古屋市南区で唇の荒れ・皮むけにお悩みの方へ
リップクリームを塗っても改善しない唇の荒れ、繰り返す皮むけ、ひび割れやヒリヒリ感は、うらた皮膚科へご相談ください。唇の状態や使用中の製品、日常の刺激などを確認し、原因と症状に応じた治療やケアをご案内します。
お子さまから大人の方まで受診いただけます。初診の方も当日のWEB順番受付をご利用いただけるほか、直接のご来院も可能です。使用中のリップや塗り薬、成分表示の写真、お薬手帳などがあればお持ちください。
当日のWEB順番受付のご案内
初めて受診される方へ
アクセスと駐車場のご案内
執筆・監修: うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格: 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴:
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年4月 うらた皮膚科 副院長
令和3年11月 うらた皮膚科 院長