口唇ヘルペスの薬は、大きく3つに分かれます
| 種類 | 主な成分 | 特徴 |
| 処方される飲み薬 | バラシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビルなど | 症状や体の状態に合わせて医師が選択する。再発時にはPITという方法もある。 |
| 処方される塗り薬 | アシクロビル、ビダラビン | 患部に塗って使用する。軽症の場合などに検討する。 |
| 薬局で購入できる市販薬 | アシクロビル、ビダラビン | 口唇ヘルペスの再発に使う外用薬。過去に医師の診断・治療を受けていることなどの条件がある。 |
アメナメビルも再発性の単純疱疹に使用する飲み薬ですが、口唇ヘルペスでは前ぶれの段階で服用する治療です。水ぶくれができた後に使う薬と同じようには扱えません。
皮膚科で処方する飲み薬
バラシクロビル・アシクロビル・ファムシクロビル
口唇ヘルペスの内服治療には、バラシクロビル(バルトレックスなど)、アシクロビル(ゾビラックスなど)、ファムシクロビル(ファムビルなど)が使われます。初めての発症や症状が強い場合などは、飲み薬による治療を検討します。
薬の量・回数・服用期間は、薬剤や年齢、腎機能などによって異なります。同じ薬でも、口唇ヘルペスと帯状疱疹では服用方法が違うことがあるため、以前の処方をそのまま流用しないでください。
飲み薬と塗り薬、どちらを選ぶ?
軽症の口唇ヘルペスでは外用薬を使うことがありますが、初感染や症状の程度によっては内服治療が必要です。「市販薬で足りるか」は、症状の範囲だけでなく、診断歴や発症からの時間、持病も含めて判断します。
自己判断で複数の抗ウイルス薬を重ねたり、飲み薬を増量したりせず、処方された方法で使用しましょう。
再発の前ぶれに備えるPIT療法
PIT(Patient Initiated Therapy)は、あらかじめ医師から処方された薬を手元に置き、ピリピリ・ムズムズ・かゆみなどの前ぶれを感じたときに、説明された方法で服用を開始する治療です。毎回の再発時に受診してから服用するより、早い段階で治療を始められるよう備えます。
対象は、再発性の口唇ヘルペスと確認され、前ぶれを正しく判断し、服用方法を守れる方です。初めて唇に水ぶくれができた方が、自己判断で始める治療ではありません。
ファムビルとアメナリーフの違い
| 薬 | 主な服用方法・注意点 |
| ファムシクロビル(ファムビルなど) | PITでは通常2回服用。初回は初期症状から6時間以内、2回目は原則として初回の12時間後に服用する。腎機能により量や方法の調整が必要になる。 |
| アメナメビル(アメナリーフ) | 通常1回、食後に服用。初期症状から6時間以内かつ、水ぶくれ・ただれ・かさぶたなどが出る前の服用が重要。 |
上記は成人における一般的な説明です。実際には、処方時に指示された量とタイミングを守ってください。前ぶれから時間がたった場合や、服用後も悪化する場合は医師に相談します。
「 1回または 2回の服用で治療する」ことは、「その日のうちに皮膚が元通りになる」という意味ではありません。回復までの期間には個人差があります。
PITと、毎日飲む再発抑制療法は別の治療です
PITは再発の前ぶれが出たときに服用する方法です。毎日薬を飲み続ける再発抑制療法とは異なります。
日本皮膚科学会のQ&Aで説明されている毎日の抑制療法は、年6回以上再発する性器ヘルペスを対象としたものです。口唇ヘルペスにも同じ適応・保険の扱いがあると考えず、再発が多い方は個別に相談してください。
口唇ヘルペスの塗り薬と市販薬
主な成分はアシクロビルとビダラビン
口唇ヘルペスの外用薬には、アシクロビルとビダラビンがあります。市販薬の例は、アシクロビルを含むヘルペシアクリーム、ビダラビンを含むアラセナS・アラセナSクリームです。
成分や製品によって塗る回数などが違うため、添付文書を確認して使用します。口唇ヘルペスの再発治療用の市販薬は第1類医薬品で、購入時には薬剤師の確認・説明を受けます。
市販薬を使えるのは、過去に診断された方の再発です
市販薬は、以前に医師から口唇ヘルペスと診断・治療を受けた方が、再発した場合に使用する薬です。「唇に水ぶくれがあるからヘルペスだろう」と初めての症状に使うことはできません。
ヘルペシアクリームやアラセナSは6歳未満には使用できません。発熱や広範囲の発疹がある場合も、自己判断で市販薬を使わず受診してください。
市販薬を使ってもよくならないとき
これらの製品は、5日間使用しても改善しない場合、または症状が悪化する場合には、使用を中止して医師・薬剤師に相談するよう案内されています。悪化しているときに、5日間待つ必要はありません。
唇とその周囲以外、特に目の中や口の中には使用しないでください。家族に同じような症状があっても、初めて発症した人に薬を渡して自己治療させないことが大切です。
薬を使い始めるタイミングと、手元に薬がない場合
再発の前ぶれを感じたら、早めに対応する
PIT用の薬を処方されている方は、医師から説明された条件を確認して服用します。市販薬が使える方も、製品の説明に従い、前ぶれを感じたら早めに使用します。
水ぶくれができた後でも、治療が不要になったわけではありません。PIT用の薬を使えるタイミングを過ぎた場合は、通常の治療について受診時に相談してください。
薬がないときは、余った薬で代用しない
前ぶれや水ぶくれがある場合は、早めに皮膚科へ相談しましょう。市販薬の対象に当てはまる方は薬剤師にも相談できます。
以前の別の病気で処方された薬や、家族の薬を流用しないでください。ワセリンやリップクリームは抗ウイルス薬の代わりにはなりません。
市販薬で様子を見ず、受診したい症状
- 初めての水ぶくれ、または医師の診断を受けたことがない
- 症状が広がる、痛みが強い、発熱がある
- 目の周りに症状がある、目が痛い、充血する、見えにくい
- 口の中の痛みが強く、水分が取れない
- アトピー性皮膚炎があり、顔などに水ぶくれが広がる
- 免疫を抑える薬で治療している、免疫機能が低下している
- 市販薬を使用しても改善しない、または悪化している
目の痛みや見え方の異常は、眼科への速やかな相談が必要です。皮膚用のヘルペス薬を目に入れないでください。
薬を選ぶ前に伝えてほしいこと
腎臓の病気、妊娠・妊娠の可能性、授乳、薬によるアレルギーの経験、現在飲んでいる薬がある方は、診察時に伝えてください。
バラシクロビルやファムシクロビルは、腎機能によって服用方法の調整が必要です。アメナメビルには併用できない薬や注意が必要な薬があります。処方後に妊娠の可能性や服薬内容が変わった場合も、PIT用の薬を自己判断で飲まず、医師・薬剤師へ確認してください。
名古屋市南区で口唇ヘルペスの薬を相談したい方へ
うらた皮膚科では、口唇ヘルペスの症状とこれまでの再発状況を確認し、治療についてご相談いただけます。初めて症状が出た方、市販薬で改善しない方、繰り返すため次の再発に備えたい方は受診してください。
一般診察の当日WEB順番受付は、初診の方も利用できます。受付方法や持ち物は「初めて受診する方へ」をご覧ください。
https://urata-hifuka.com/about/first-consultation.html
よくある質問
日常生活の注意点はありますか。
疲れているときや体調が悪いときには、強い紫外線を浴びるのは控えましょう。
病院に受診するタイミングは。
口唇周囲にピリピリ・チクチクするような違和感があったら、出来るだけ早く受診するようにしましょう。
口唇ヘルペスの飲み薬は、市販されていますか?
薬を飲めば、口唇ヘルペスは完治しますか?
症状がないときでも、PITの相談はできますか?
1日で治せる薬はありますか?
監修・監修: うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格: 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴:
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年4月 うらた皮膚科 副院長
令和3年11月 うらた皮膚科 院長