やけどの軟膏と塗り薬の選び方
大切なのは「一番よく効く薬」を一律に選ぶことではなく、傷の状態に合う治療を選ぶことです。薬に加えて、洗浄や傷にくっつきにくい被覆材による保護が必要になることもあります。
| 種類 | 主な成分 | 特徴 |
| 白色ワセリン | 皮膚や傷の表面を保護する | 殺菌・抗菌作用はない。深いやけどや感染の治療を代わりに行うものではない |
| 軽度のやけど用の市販薬 | 製品により患部の保護や殺菌、痛みの軽減など | 対象は軽度のやけど。効能と注意事項を確認する |
| アズノール軟膏 | 熱傷によるびらん・潰瘍などに用いる | ステロイドや抗菌薬とは異なる。刺激感やかぶれに注意 |
| 抗菌薬の塗り薬や飲み薬 | 細菌感染への対応 | すべてのやけどに必要ではない。医師が感染の有無を判断する |
| ゲーベンクリーム | 熱傷などの二次感染の治療 | 軽症熱傷には禁忌。残り薬を自己判断で使わない |
| ステロイドの塗り薬 | 医師の判断で炎症への対応に用いる場合がある | 傷や感染の状態で適否が変わる。湿疹用の残り薬を流用しない |
| 被覆材 | 傷を保護し、滲出液などを管理する | 薬と組み合わせる場合もある。交換方法は傷の状態で異なる |
上記は一般的な治療の説明です。当院で必ずすべての薬を処方するという意味ではありません。診察で適切な薬や処置を選びます。
薬を塗る前に 流水で冷やす
熱いものや熱湯に触れたら、すぐに水道の流水で患部を冷やします。目安は20分程度です。冷却と並行して、無理なく外せる指輪などは腫れる前に外してください。衣服が皮膚に貼りついている場合は無理にはがさず、衣服の上から冷やします。
氷や保冷剤を皮膚に直接当てることは避けてください。乳幼児や広範囲のやけどでは、体全体を冷やして低体温にしないよう注意が必要です。広い・深い場合や体調が悪い場合は、冷却を終えるために救急対応を遅らせないでください。
受診が必要なやけどでは、診察前に自己判断で軟膏や油を塗ることは控え、冷却後は清潔な、傷にくっつきにくいもので軽く保護して受診しましょう。詳しい応急処置は「やけどの治し方と応急処置」でも説明しています。
https://urata-hifuka.com/derma/burn/
市販薬で対応できるやけどと受診が必要なやけど
市販薬は軽度のやけどが対象
市販薬で対応を検討できるのは、範囲が小さく、皮膚が赤い程度で、水ぶくれや皮膚のめくれがなく、冷やすと痛みが落ち着くような軽いやけどです。ただし見た目だけで深さを判断できない場合もあります。迷ったときは、薬を選ぶ前に医療機関へご相談ください。
薬局では「軽度のやけど」が効能に含まれる製品を確認し、年齢、薬のアレルギー、現在受けている治療を薬剤師に伝えましょう。傷ができている場合は、自己判断の市販薬治療より診察を優先してください。
市販薬の例 メモA
メモAは、軽度のやけどが効能に含まれる外傷用の市販薬です。殺菌成分のクロルヘキシジン、局所麻酔成分のジブカイン、アラントインなどが配合されています。「やけどに使える」と表示されていても、深いやけどや広範囲のやけどを家庭で治療できるという意味ではありません。
成分やクロルヘキシジンによるアレルギーの既往がある方は使用できません。使用後に発疹・赤み・かゆみが出た場合は中止して相談してください。添付文書では5〜6日間使っても改善しない場合の相談が示されていますが、水ぶくれや悪化がある場合はその日数を待たずに受診してください。
ワセリンをやけどに塗ってもよいのか
ワセリンは患部を保護するために使う
白色ワセリンは、皮膚の表面を覆い、乾燥や摩擦から保護するために使われます。十分に冷やした後のごく軽い表面的なやけどや、医師が状態を確認した傷に使用することがあります。
ワセリンには、細菌感染を治す抗菌作用や、深いやけどを修復する作用はありません。塗れば必ず早く治る、跡が残らなくなるというものでもありません。赤みが広がる、膿が出る、痛みが強くなる場合は、ワセリンだけで様子を見続けないでください。
応急処置と診察後の治療を区別する
「受診前には軟膏を塗らない」という応急処置の案内と、「治療でワセリンを使うことがある」という説明は、対象とする段階が違います。受診が必要なやけどでは、まず冷やして診察を受け、ワセリンを使うかどうかは傷の状態を確認したうえで判断します。
医師から指示された場合は、塗る量、回数、ガーゼや被覆材の使い方を確認してください。容器の清潔さにも気をつけ、香料などを含む化粧品の保湿バームを治療用の白色ワセリンと同じものとして使わないようにしましょう。
皮膚科で使う処方薬の役割
アズノール軟膏
アズノール軟膏0.033%は、ジメチルイソプロピルアズレンを含む外用薬です。熱傷などによる、皮膚の表面がむけた状態である「びらん」や、より深い傷である「潰瘍」に使うことがあります。ステロイドではなく、抗菌薬でもありません。
ワセリンは主に保護の役割を担いますが、アズノールは抗炎症作用を持つ成分が含まれる薬です。どちらが適するかは傷の状態により異なります。アズノールでも刺激感や接触皮膚炎が起こることがあるため、塗った後にかゆみや赤みが増える場合はご相談ください。
抗菌薬の塗り薬と飲み薬
傷に細菌感染を伴う場合には、抗菌薬を使うことがあります。膿、広がる赤み、熱感、増してくる痛みなどが判断の手がかりになりますが、やけど自体の炎症との区別が必要です。
感染がない軽いやけどに、予防として抗菌薬を必ず塗る必要があるわけではありません。塗り薬だけで対応できるか、飲み薬や別の処置が必要かも診察で判断します。以前処方された抗菌薬を自己判断で使うことは避けてください。
ゲーベンクリーム
ゲーベンクリーム1%はスルファジアジン銀を含み、熱傷などの傷に起きた二次感染に使われる薬です。電子添文では軽症熱傷への使用は禁忌とされています。「やけど用の薬だから、赤いだけの軽いやけどにも使える」とは考えないでください。
成分やサルファ剤に対する過敏症の既往がある方、低出生体重児・新生児にも使用できません。妊娠中や授乳中の使用にも注意が必要です。医師が適応を判断する薬であり、残り薬を流用したり家族の薬を使ったりすることは避けましょう。
ステロイドの塗り薬
ステロイドは炎症を抑える薬ですが、すべてのやけどに適するわけではありません。表面的な炎症への対応として医師が検討する場合がある一方、傷が開いているか、感染を伴っているかによって判断が変わります。
水ぶくれが破れた傷に、湿疹用として持っているリンデロンなどを自己判断で塗らないでください。「赤いからステロイド」「傷があるから抗菌薬」と決めつけず、医師に状態を確認してもらうことが大切です。
痛み止め
痛みがつらいときには、アセトアミノフェンなどの飲み薬を使うことがあります。年齢、妊娠、持病、併用薬によって適否が変わるため、医師や薬剤師に確認してください。痛み止めで痛みが和らいでも、やけどの深さや感染が改善したとは限りません。
水ぶくれや皮膚がむけたやけどの対応
水ぶくれは、自分で針を刺したり、皮をはがしたりしないでください。破れた場合も、残った皮を無理に切り取らず、清潔に保って受診しましょう。水ぶくれがあるやけどでは、市販薬の選択よりも、傷の深さと必要な保護方法を確認することが優先です。
薬を塗るか、どの被覆材を使うか、どのくらいの頻度で交換するかは、傷の深さ、滲出液、感染の有無によって変わります。家庭用ラップで傷を密閉したまま自己治療を続けたり、傷に粘着面を直接貼ったりすることは避けてください。
薬を選ぶより先に受診したいやけど
すぐに救急対応が必要な場合
呼吸が苦しい、煙を吸った、意識や全身状態がおかしい場合は119番で救急車を要請してください。広範囲・深いと思われるやけど、電気や薬品によるやけども、速やかに救急医療機関での評価が必要です。外来の順番受付を待たないでください。
早めに皮膚科や形成外科へ相談したい場合
- 水ぶくれができている、皮膚がむけている
- 皮膚が白い・黒い、感覚が鈍い、見た目の割に痛みが少ない
- 顔、手指、足、関節、陰部などのやけど
- 赤みや腫れが広がる、膿が出る、発熱する、痛みが増している
- 乳幼児、高齢者、糖尿病などの持病がある方のやけど
- 湯たんぽ、カイロ、電気あんかなどによる低温やけど
- 範囲が広い、治りが悪い、深さの判断に迷う
深いやけどでは神経も傷つき、痛みが少ないことがあります。また、低温やけどは小さく見えても深い傷になっている場合があります。「あまり痛くないから軽い」と判断しないでください
治療中のケアとやけどの跡
処方された薬は、指示された塗り方と期間で使用しましょう。厚く塗るほど早く治るとは限らず、薬や被覆材を自己判断で重ねると傷の状態を確認しにくくなることがあります。受診時には、やけどをした日時、原因、これまで塗った薬、薬のアレルギーを伝えてください。
跡の残り方には傷の深さや感染などが関係します。傷が閉じた後も赤みや色の変化が続くことがありますが、ワセリンややけどの薬だけで、できた瘢痕を消せるわけではありません。治った後は衣類などで日差しを避け、皮膚が閉じてから日焼け止めの使用を検討しましょう。
名古屋市南区でやけどの薬を相談したい方へ
うらた皮膚科では、やけどの状態を診察し、薬や患部の保護方法をご案内します。市販薬を使ってよいか迷う方、ワセリンを塗ってもよいか知りたい方、水ぶくれや治りの悪さが気になる方はご相談ください。
所在地:〒457-0058 名古屋市南区前浜通4-14-1
電話:052-811-2050
一般診察は初診の方も当日WEB順番受付または直接来院で受診できます。受付方法や診療時間は最新の案内をご確認ください。
初めて受診する方へ
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アクセスと駐車場
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呼吸の異常、広範囲・深いやけどなど緊急性の高い場合は、当院の順番受付を待たず、救急医療機関で診療を受けてください。
よくある質問
やけどに何を塗ればよいですか
ワセリンだけで治りますか
オロナインなどの常備薬は使えますか
やけどの傷は消毒した方がよいですか
薬を塗った後にかゆくなったらどうしますか
やけどは皮膚科と形成外科のどちらに行けばよいですか