ニキビダニ・顔ダニとは?健康な皮膚にもいるダニです
ニキビダニは「デモデックス(Demodex)」「毛包虫」とも呼ばれ、顔の毛穴や皮脂腺などに生息する小さなダニです。一般に「顔ダニ」と呼ばれるものも、この仲間を指します。細菌であるアクネ菌とは異なり、「菌」ではありません。
多くの成人の皮膚に存在し、症状を起こさずに生息しています。肉眼でダニそのものを確認することは難しく、毛穴から出た白いものや、スマートフォンで撮影した写真だけで顔ダニと判断することはできません。 [1,2]
顔ダニがいることは、不潔であることを意味しません。症状のない皮膚から顔ダニを完全にいなくすることを、治療や洗顔の目標にする必要はありません。
顔ダニが関係する症状と、増える原因
ニキビダニの増殖が皮膚症状に関係する状態は「ニキビダニ症」「毛包虫症」と呼ばれます。顔ダニが関係する皮膚炎では、次のような症状がみられることがあります
| 症状 | 皮膚にみられる変化 |
| 赤いぶつぶつ・膿を持つぶつぶつ | 頬・鼻・額・あごなどに、ニキビに似た小さな発疹が出る。 |
| ざらつき・細かな皮むけ | 毛穴の周りがざらざらする、細かな白い皮むけがみられる。 |
| 赤み・かゆみ・ヒリヒリ感 | ぶつぶつに伴って赤くなったり、刺激を感じたりする。 |
ただし、これらは顔ダニだけに特有の症状ではありません。かゆみがあるから顔ダニ、膿があるから顔ダニ、と症状だけで決めつけることはできません。
ダニの増殖には、皮脂腺の状態や皮膚の局所的な免疫反応など、複数の要素が関係すると考えられています。皮膚炎の原因を「洗顔不足」「脂っぽい肌」だけに求めず、使用中の薬や皮膚の状態を含めて確認することが大切です。
ニキビ・酒さとの違いは?見分け方のポイント
「ニキビダニ」という名前でも、一般的なニキビの原因をすべて顔ダニで説明できるわけではありません。ニキビ・酒さ・ニキビダニ症は似た見た目になることがあり、同時にみられる場合もあります。
| 病気 | 皮膚にみられる変化 | |
| ニキビ(尋常性ざ瘡) | 白ニキビ・黒ニキビ(面皰)、赤いぶつぶつ、膿を持つぶつぶつ。 | 面皰の有無や、炎症の程度を確認します。 |
| 酒さ | 頬・鼻などを中心とした赤みやほてり。ぶつぶつを伴うこともあります。 | 顔ダニだけでなく、血管や炎症など複数の要素を考えます。 |
| 脂漏性皮膚炎 | 小鼻の脇・眉間・頭皮などの赤みや、フケのような皮むけ。 | できる場所や皮むけの特徴から、他の病気と区別します。 |
面皰はニキビを考える手がかりですが、「白ニキビがないから顔ダニ」と診断できるわけではありません。化粧品によるかぶれや、顔への外用薬の使用に関連する酒さ様皮膚炎なども確認します。
酒さの原因は、顔ダニだけではありません。顔ダニは関与する要素の一つと考えられています。
関連ページ:ニキビの治療
関連ページ:酒さの症状と治療
ニキビダニ・顔ダニの治療|症状に応じた薬の選び方
治療は、ダニの数だけではなく、ニキビダニ症なのか、酒さなのか、ほかの皮膚炎なのかを踏まえて選びます。顔のぶつぶつに対して、全員に同じ「顔ダニの薬」を使うわけではありません。
イベルメクチン外用薬
イベルメクチン外用薬は、ニキビダニに対する作用と抗炎症作用を持ち、顔ダニが関係すると考えられる皮膚症状で検討される薬です。海外では、主に赤いぶつぶつや膿を持つぶつぶつを伴う酒さに対して、有効性が検討されています。
ただし、すべてのニキビや顔の赤みに有効な薬ではありません。うらた皮膚科で使用するイベルメクチンクリームは国内未承認の外用薬であり、自由診療となります。
ヒリヒリ感や皮膚の刺激、かぶれなどが起こることがあります。塗る範囲や回数は医師の指示に従い、目や唇などの粘膜には使用しないでください。妊娠中・授乳中の方やお子さまは、使用の可否を医師に相談してください。
使い始めに赤みやかゆみが強くなっても、「顔ダニが死んでいる証拠」「好転反応」と自己判断して塗り続けないことが大切です。刺激やかぶれなどの可能性があるため、処方医に相談しましょう。
関連ページ:イベルメクチンの効果・使い方・副作用
ロゼックスゲルなど、診断に応じた治療
酒さと診断された場合には、メトロニダゾール外用薬(ロゼックスゲル0.75%)が治療の選択肢になります。日本で酒さに承認されている薬で、保険診療で処方されることがあります。赤いぶつぶつや膿を持つぶつぶつなどの炎症を改善するために使用します。
炎症の程度によっては内服薬なども検討しますが、治療薬ごとに適応や注意点は異なります。また、血管の拡張による赤みなどは、顔ダニへの治療だけでは十分に改善しないことがあり、酒さ全体の治療として考える必要があります。
関連ページ:ロゼックスゲルの効果・使い方
治るまでの期間と、治療中に確認すること
治療は「一度塗れば顔ダニがいなくなり、すぐに治る」というものではありません。代表的なイベルメクチン外用薬の臨床試験では、ぶつぶつを伴う酒さに対して12週間の治療で評価しています。改善の速さや必要な期間には個人差があり、すべての方が同じ期間で治るわけではありません。
治療中は、新しいぶつぶつの数、赤みやヒリヒリ感の変化、薬による刺激の有無を確認します。改善が乏しい場合は、薬を自己判断で増やすのではなく、診断や治療方法を見直します。
市販薬や「顔ダニ用」の洗顔料で治せる?
顔ダニが気になっても、まず殺菌力の強い洗顔料や市販のニキビ薬を追加する、という方法はおすすめしません。ニキビ、酒さ、かぶれなどでは治療が異なり、肌に合わない製品は刺激になることがあります。
「顔ダニ対策」と表示された製品でも、洗顔料や化粧品を、診断されたニキビダニ症や酒さの治療薬と同じものとして考えることはできません。赤みやぶつぶつが続く場合は、皮膚科で原因を確認しましょう。
顔ダニを退治する目的で、家庭用の殺虫剤や動物用の薬を顔に使わないでください。人の顔の皮膚に用いる治療は、医師に相談して選びます。
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顔ダニが気になるときの洗顔・保湿・スキンケア
スキンケアの目的は、顔ダニをゼロにすることではなく、皮膚への刺激を減らし、肌の状態を整えることです。赤みやヒリヒリ感があるときほど、洗いすぎやこすりすぎに注意してください。
| ケア | 気をつけること |
| 洗顔 | 朝晩を目安に、低刺激の洗顔料でやさしく洗い、ぬるま湯ですすぎます。強い摩擦やスクラブは避けます。 |
| 保湿 | 「顔ダニが増えそう」と自己判断で保湿をやめず、刺激を感じにくい保湿剤を選びます。塗ってしみる場合は相談してください。 |
| 紫外線対策 | 日焼け止めや帽子などを利用します。酒さがある場合は、紫外線が症状を悪化させることがあります。 |
顔に処方薬を使っている方は、薬の名前と使用期間を受診時にお伝えください。特にステロイド外用薬などを長期間使っている場合は、自己判断で使い続けたり急に変更したりせず、処方医に相談してください。
よくある質問
顔ダニは人にうつりますか?
自然に治りますか?放置しても大丈夫ですか?
ワセリンを塗ると顔ダニを退治できますか?
まつ毛やまぶたのかゆみも顔ダニが原因ですか?
顔ダニの検査や治療に保険は使えますか?
治療費と、イベルメクチン外用薬についての重要事項
イベルメクチンクリームを使用する場合は、診察で適応を判断し、治療内容・費用・副作用をご説明します。公的医療保険は適用されません。
| 品名 | 当院の価格 |
| イベルメクチンクリームの薬剤費 | 1,100円(10g)、2,200円(30g) |
| 国内での承認状況・入手経路 | 当院で使用するイベルメクチンクリームは、国内未承認の医薬品です。当院の既存案内では、インドのアジャンタファーマ社が製造した製品を、当院で個人輸入しています。 |
|---|---|
| 国内の承認薬について | イベルメクチンクリームは国内未承認です。酒さに対する国内承認薬としては、別成分のメトロニダゾール外用薬(ロゼックスゲル0.75%)があります。 |
| 海外での承認・安全性情報 | 米国では、イベルメクチン1%クリーム「SOOLANTRA」が酒さの炎症性皮疹に対して承認されています。皮膚の灼熱感や刺激感などの副作用が報告されています。これは当院で使用する製品そのものの米国承認を意味するものではありません。 |
| 副作用被害救済制度について | 国内未承認薬を用いた治療は、医薬品副作用被害救済制度の対象にはなりません。治療の必要性とリスクを確認したうえで使用します。 |
名古屋市南区で、顔ダニ・治らない顔のぶつぶつが気になる方へ
ニキビと思っていたぶつぶつが、酒さや別の皮膚炎であることもあります。顔ダニの存在だけに注目するのではなく、どのような症状が、どこに、いつから続いているのかを確認することが、適切な治療につながります。
名古屋市南区のうらた皮膚科では、ニキビや酒さなど、顔の赤み・ぶつぶつについて診療しています。「ニキビの治療を続けてもよくならない」「顔ダニが原因か知りたい」という方もご相談ください。
初めての方も当日WEB順番受付をご利用いただけます。直接のご来院も可能です。受診時には、現在使っている薬やスキンケア製品がわかるものをお持ちいただくと、診察の参考になります
初めて受診する方へ・当日WEB順番受付のご案内
診療内容・料金表
参考文献
執筆・監修: うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格: 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴:
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年4月 うらた皮膚科 副院長
令和3年11月 うらた皮膚科 院長