ニキビパッチとは?
ニキビパッチとは、ニキビの上に貼って使用する小さなシール状の製品です。
さまざまな種類がありますが、よく使用されているのがハイドロコロイド素材を使用したニキビパッチです。
ハイドロコロイドは、傷から出る浸出液を吸収して保持する性質をもつ素材で、創傷被覆材にも使用されています。
ニキビの表面が傷になっていたり、浸出液が出ていたりする場合には、患部を覆って外からの刺激を減らす目的で使用できます。
一方、一般的なニキビパッチはニキビ治療薬ではありません。
毛穴の詰まりを改善したり、新しいニキビができるのを予防したりする治療とは異なります。
ニキビパッチにはどんな効果がある?
ニキビパッチに期待できる主な役割は、「患部を保護すること」です。
ニキビを触ることや摩擦を防ぐ
ニキビが気になると、無意識に触ったり、爪で押したりしてしまうことがあります。
しかし、ニキビを繰り返し触ると炎症が悪化し、赤みや色素沈着、ニキビ跡につながる可能性があります。
パッチで患部を覆うことで、無意識に触ったり引っかいたりすることを防ぎやすくなります。
また、マスクや髪の毛、衣服などがニキビに何度も触れる場合にも、物理的な刺激を減らす目的で使用できます。
浸出液を吸収する
ハイドロコロイドタイプでは、傷口から出る浸出液を吸収します。
パッチを貼ったあとに中央部分が白く膨らむことがありますが、これはハイドロコロイドが水分を吸収してゲル状になったためです。
「ニキビの芯をパッチが吸い出した」と考えられることがありますが、毛穴の奥にある皮脂や角栓そのものを吸い出しているわけではありません。
ニキビパッチだけでニキビは治る?
基本的には、ニキビパッチだけでニキビを根本的に治療することはできません。
ニキビは、
・毛穴の詰まり
・皮脂
・アクネ菌
・炎症
など、複数の要因が関係して生じます。
皮膚科で使用するニキビ治療薬には、毛穴の詰まりを改善したり、アクネ菌の増殖や炎症を抑えたり、新しいニキビをできにくくしたりする作用があります。
一方、一般的なニキビパッチの中心的な役割は、すでにできているニキビを保護することです。
「ニキビが何度もできる」「顔全体に増えている」「赤いニキビが繰り返しできる」という場合には、ニキビパッチだけで対応するのではなく、皮膚科での治療を検討しましょう。
ニキビの種類別|ニキビパッチは効果がある?
ニキビの状態によって、ニキビパッチとの相性は異なります。
| ニキビの状態 | ニキビパッチ | 理由 |
| 白ニキビ | △ | 毛穴の中の詰まりには作用しない |
| 黒ニキビ | △ | 毛穴の角栓を取り除く作用はない |
| 赤ニキビ | △ | 保護はできるが炎症そのものは治療できない |
| 黄ニキビ・膿疱 | △ | 浸出液が出ている場合は吸収・保護に役立つ |
| 潰れたニキビ | 〇 | 傷の保護や浸出液の吸収に役立つ場合がある |
| しこりニキビ | ✕ | 炎症が皮膚の深い部分にある |
| ニキビ跡 | ✕ | 赤み・色素沈着・凹みを治す作用はない |
白ニキビには?
白ニキビは、医学的には閉鎖面皰(へいさめんぽう)と呼ばれます。
毛穴の出口が詰まり、皮脂や角質が毛穴の中にたまっている状態です。
皮膚表面から浸出液が出ているわけではないため、通常のハイドロコロイドパッチを貼っても、毛穴の中の詰まりを取り除くことはできません。
白ニキビが多くできる場合には、毛穴の詰まりそのものを改善する治療が重要です。
赤ニキビには?
赤ニキビは、毛穴の中で炎症が起こり、赤く盛り上がった状態です。
パッチを貼ることで触ったり擦ったりすることを防ぐことはできますが、通常のハイドロコロイドパッチ自体に炎症を治療する作用があるわけではありません。
赤みや痛みが強い場合、数が増えている場合、同じ場所に何度もできる場合には、皮膚科での治療をおすすめします。
黄ニキビ・潰れたニキビには?
黄色や白色の膿がみえる状態は「膿疱」と呼ばれます。
表面が自然に開いて浸出液が出ている場合には、ハイドロコロイドパッチで覆うことで、液体を吸収したり患部を保護したりすることができます。
ただし、ニキビパッチを貼るために自分でニキビを潰すことはおすすめしません。
無理に押し出すと炎症を悪化させ、色素沈着やニキビ跡の原因になることがあります。
しこりのように硬く触れるニキビや、皮膚の深い部分で炎症を起こしているニキビでは、パッチの効果は期待しにくいため、早めに皮膚科を受診しましょう。
ニキビパッチの正しい使い方
ニキビパッチを使用するときは、まず手を洗い、やさしく洗顔して皮膚を清潔にします。
患部の水分をよく拭き取り、乾いた状態でニキビ全体を覆うようにパッチを貼ります。
化粧水や乳液、クリームなどが付いているとパッチが剥がれやすくなるため、基本的にはスキンケア製品を塗る前に貼るとよいでしょう。
パッチの粘着面にはできるだけ触れないようにしてください。
ハイドロコロイドが浸出液を吸収して白く膨らんできた場合や、パッチが汚れたり剥がれかけたりした場合には、新しいものへの交換を検討します。
使用方法や交換のタイミングは製品によって異なるため、必ず各製品の説明書に従ってください。
ニキビパッチは何時間貼る?寝るときも使える?
「ニキビパッチは何時間貼ればよいですか?」という質問はよくありますが、すべての製品に共通する決まった時間はありません。
数時間程度の使用を想定している製品もあれば、就寝中の使用を想定した製品もあります。
基本的には、
・パッチが白く膨らんできた
・浸出液が漏れてきた
・パッチが汚れた
・剥がれかけている
といった場合には交換します。
長時間貼れば貼るほど効果が高くなるわけではありません。
就寝中の使用についても、製品の説明書で認められていれば使用できます。
寝ている間にニキビを無意識に触ってしまう方には、物理的な保護として役立つことがあります。
ニキビパッチを使うときの注意点
ニキビパッチは手軽に使える一方で、使い方によっては皮膚トラブルにつながることがあります。
同じパッチを何日間も貼りっぱなしにすることはおすすめできません。
長時間皮膚を覆うことで、
・皮膚がふやける
・赤くなる
・かゆくなる
・粘着剤でかぶれる
といった症状が出ることがあります。
パッチの形に沿って周囲まで赤くなった場合や、かゆみやヒリヒリ感が出た場合には使用を中止してください。
また、ニキビを自分で潰してからパッチを貼ることも避けましょう。
深いしこりニキビや、赤み・痛みが強いニキビをパッチだけで長期間様子を見ることもおすすめできません。
炎症が長く続くほど、色素沈着やニキビ跡につながる可能性があります。
市販のニキビパッチの中には、サリチル酸などの成分を含む製品もあります。
成分や濃度は商品によって異なり、刺激によって赤みやかぶれを起こすこともあるため、「成分がたくさん入っているほど効果が高い」とは限りません。
ニキビパッチと皮膚科治療の違い
大きな違いは、ニキビパッチは患部を「保護する」のが中心なのに対し、皮膚科治療はニキビができる原因や仕組みに働きかけるという点です。
| ニキビパッチ | 理由 | |
| 患部を保護する | 〇 | ー |
| 触ることを防ぐ | 〇 | ー |
| 浸出液を吸収する | 〇 | ー |
| 毛穴の詰まりを改善する | ✕ | 〇 |
| 赤ニキビを治療する | ✕ | 〇 |
| 新しいニキビを予防する | ✕ | 〇 |
| 繰り返すニキビを治療する | ✕ | 〇 |
| 医師による診断 | ✕ | 〇 |
皮膚科では、ニキビの種類や重症度に応じて治療を行います。
代表的な治療薬には、
・アダパレン
・過酸化ベンゾイル
・アダパレン・過酸化ベンゾイル配合薬
・抗菌薬の外用薬
・必要に応じた抗菌薬の内服
などがあります。
特にアダパレンや過酸化ベンゾイルは、今あるニキビだけでなく、毛穴の詰まりを改善して 新しいニキビをできにくくする治療 として重要です。
ニキビ治療では、「できたニキビを治す」だけではなく、 新しくできるニキビを減らすこと も大切です。
ニキビは早めに皮膚科で治療することが大切です
「ニキビくらいで皮膚科に行ってもいいの?」と思う方もいるかもしれません。
ニキビは医学的には「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚疾患です。
軽いニキビであっても炎症を繰り返すと、
・赤み
・茶色い色素沈着
・凹んだニキビ跡
・盛り上がったニキビ跡
などを残すことがあります。
ニキビ跡になってから治療するよりも、ニキビ跡を作らないように早い段階からニキビそのものを治療することが重要です。
こんなニキビは皮膚科を受診してください
次のような場合には、ニキビパッチだけで様子をみず、皮膚科への受診をおすすめします。
・赤いニキビが増えている
・膿をもったニキビが何個もある
・痛みのあるしこりニキビがある
・同じところに何度もニキビができる
・顔全体にニキビがある
・胸や背中にもニキビがある
・ニキビ跡が残り始めている
・市販薬を使っても改善しない
・数か月以上ニキビを繰り返している
ニキビは、早い段階から適切な治療を行うことで、将来的なニキビ跡を防げる可能性があります。
よくある質問
まとめ|ニキビパッチは「治療」ではなく補助的なアイテム
ニキビパッチは、使い方によっては便利なアイテムです。
特に、
・ニキビをつい触ってしまう
・マスクなどの摩擦から守りたい
・表面から出ている浸出液を吸収したい
・傷になった部分を保護したい
といった場合には役立つことがあります。
一方、ニキビパッチは毛穴の詰まりや炎症を根本的に治療するものではなく、新しいニキビを予防する治療でもありません。
白ニキビや赤ニキビが繰り返しできる方、しこりニキビがある方、ニキビ跡が残り始めている方は、パッチだけで様子を見るのではなく皮膚科へご相談ください。
ニキビは早い段階から適切な治療を行い、「今あるニキビを治すこと」と「新しいニキビを作らないこと」の両方を意識することが大切です。
監修・監修: うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格: 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴:
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年4月 うらた皮膚科 副院長
令和3年11月 うらた皮膚科 院長