HOME > アトピー性皮膚炎 > イブグリース

イブグリース

Ebglyss
最終更新日:2026-5-16

これまでの塗り薬では改善が難しかった中等症〜重症のアトピー性皮膚炎に対する新しい皮下注射薬「イブグリース(一般名:レブリキズマブ)」についてわかりやすく徹底解説します。かゆみや皮疹を抑えるメカニズム、期待できる効果、結膜炎などの副作用、実際の治療スケジュール、気になる費用や医療費助成(名古屋市などの子ども医療費助成制度)についても網羅しています。アトピーでお悩みの方はぜひご一読ください。

アトピー性皮膚炎の新しい注射薬「イブグリース(レブリキズマブ)」とは
イブグリース注射で期待できる治療効果と臨床成績
治療開始前に知っておきたいイブグリースの副作用とリスク
イブグリースを使用できない方・投与に注意が必要なケース
イブグリースの正しい使い方(用法・用量)と日常生活での注意点
イブグリースの治療費用と医療費負担を大きく軽減する制度

※イブグリース治療は当院では実施しておりません。
当院では、デュピクセント治療・ミチーガ治療を導入しています。
イブグリースは、現在導入準備検討中になっております。

アトピー性皮膚炎の新しい注射薬「イブグリース(レブリキズマブ)」とは

アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったり(増悪と寛解)を繰り返す慢性の炎症性皮膚疾患です。皮膚の強い乾燥、ジュクジュクとした痂皮(かひ)を伴う紅斑、皮膚がゴワゴワと厚くなる苔癬化(たいせんか)、そして激しいかゆみを伴うことが大きな特徴です 。これまで、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏などの塗り薬を中心に治療が行われてきましたが、それだけでは十分に症状がコントロールできない中等症から重症の患者様にとって、新しい治療の選択肢が常に求められていました。そこに登場したのが、新しい注射薬である「イブグリース(一般名:レブリキズマブ)」です。

アトピー性皮膚炎における「タイプ2炎症」とアンメットメディカルニーズ

中等症から重症のアトピー性皮膚炎の患者様は、単に皮膚が荒れるだけでなく、継続する激しいかゆみによって深刻な睡眠障害に悩まされています 。夜中に無意識に皮膚を掻きむしってしまい、朝起きるとシーツに血がついているといった経験を持つ方も少なくありません。さらに、皮膚の痛み、外見の悪化による精神的なストレスなどが重なり、生活の質(QOL)が著しく低下し、学業や仕事などの日常生活に大きな障害が生じることがあります 。
このような、既存の治療法だけでは解決できない深い悩みや医療的課題は「アンメットメディカルニーズ」と呼ばれています 。アトピー性皮膚炎の皮膚の内部では、「タイプ2炎症」と呼ばれる特有の過剰な免疫反応が起きており、その炎症を引き起こす主要な原因物質(サイトカイン)の一つが「インターロイキン-13(IL-13)」であることが近年の研究で明らかになっています。この根本的な炎症メカニズムに直接アプローチすることが、重症患者様のQOL改善には不可欠とされてきました。

イブグリースの主成分「レブリキズマブ」の特徴と作用メカニズム

日本イーライリリー株式会社および陽進堂ホールディングス株式会社が展開するイブグリースは、「抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤」と呼ばれる新しいクラスの生物学的製剤(生物由来製品)です 。
イブグリースの主成分である「レブリキズマブ(遺伝子組換え)」は、アトピー性皮膚炎の悪化原因であるIL-13という物質に特異的に結合するIgG4モノクローナル抗体です 。一般的な免疫抑制剤のように全身の免疫機能を幅広く抑え込むのではなく、炎症の根本原因の一つであるIL-13の働きだけをピンポイントで強力にブロックします 。この精密な作用メカニズムにより、低下した皮膚のバリア機能を回復させ、かゆみや皮疹を劇的に改善する効果を持っています。また、本剤は劇薬および処方箋医薬品に指定されており、医師の厳密な管理のもとで使用されます 。

既存の治療薬(ステロイド外用薬・タクロリムス外用薬)との位置付けの違い

イブグリースは、これまでのすべての治療を完全に置き換える単独の魔法の薬というわけではありません。本剤の対象となるのは、「ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間行っても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者様」です 。
また、イブグリースの投与を開始した後も、原則としてアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて、これまで使用してきた抗炎症外用剤(ステロイド外用薬など)を併用することが定められています 。さらに、皮膚のバリア機能を保つための保湿外用剤も継続して使用する必要があります 。つまり、体の内側からはイブグリースで強力に炎症の元を絶ち、外側からは塗り薬で皮膚を保護・治療するという「内と外からのダブルアプローチ」が、アトピー性皮膚炎を克服するための基本的な治療戦略となります。

イブグリース注射で期待できる治療効果と臨床成績

イブグリースが国内で承認されるにあたり、日本を含む世界中で大規模な臨床試験が実施されました。その結果、本剤は極めて高い有効性を示すことが科学的に証明されています。ここでは、実際のデータに基づき、患者様がどのような効果を期待できるのかを詳しく解説します。

頑固なかゆみと皮疹(赤み・苔癬化)に対する強力な改善効果

アトピー性皮膚炎患者様を対象とした主要な第III相臨床試験(KGAL試験、KGAB試験、KGAC試験、KGAD試験など)において、イブグリースを2週間隔で投与したグループは、有効成分の入っていないプラセボ群と比較して、投与16週時の段階で皮膚病変の重症度が有意に改善しました 。
アトピー性皮膚炎の重症度を客観的に評価する指標として「EASI(イーシ)スコア」というものが用いられます。曝露−反応解析の薬効シミュレーションおよび実際の臨床試験データにおいて、イブグリースは以下のような予測される高い反応率を示しています 。

 評価指標(投与16週時)  達成率の予測値  状態の目安
EASI-75 達成率  66%  皮膚の赤みや腫れなどの症状が、治療前と比べて75%以上改善した状態
EASI-90 達成率  34%  皮膚症状が90%以上改善し、皮疹がほぼ消失して非常に綺麗な肌になった状態

このように、長年悩まされてきた赤みや、皮膚が厚くゴワゴワになる苔癬化といった頑固な症状に対して、過半数の患者様が劇的な改善を実感できる可能性が示されています。

睡眠障害の解消と生活の質(QOL)の劇的な向上

皮膚の見た目の改善以上に、患者様にとって大きな意味を持つのが「かゆみの軽減」です。前述の第III相試験において、イブグリースは単なる皮膚症状だけでなく、「かゆみの重症度」および「かゆみによる睡眠への影響」を明確に改善することが実証されました 。
夜間のかゆみで何度も目が覚めてしまう状態から解放されることは、日中の集中力低下や慢性的な疲労感の解消に直結します。質の高い睡眠をしっかりと確保できるようになることで、結果として患者様の総合的な生活の質(QOL)が大きく向上することが、臨床データからも裏付けられています 。

第III相臨床試験データから読み解く効果の発現時期と有効性

生物学的製剤による治療では、「効果が実感できるまでにどのくらいの期間がかかるのか」という点がよく懸念されます。イブグリースの用法・用量を決定する根拠となった海外第IIb相試験(KGAF試験)では、様々な投与量が比較検討され、最も高い有効性が認められ、かつ明確な用量反応性を示した「250mg 2週間隔投与(初回および2週時に500mg負荷投与)」のレジメンが選ばれました 。
この「負荷投与(初めだけ薬の量を2倍にする手法)」の意義は、非常に重要です。治療開始時の0週および2週時に500mgを投与することで、負荷投与を行わずに定常状態まで12週間かかる場合と比較して、より速やか(4週間以内)に薬剤の血中濃度を有効なレベルに到達させることが可能になります 。この仕組みにより、イブグリースは治療開始から比較的早い段階で、かゆみや皮疹に対する有効性を迅速に発現させることが期待できるのです 。

治療開始前に知っておきたいイブグリースの副作用とリスク

どのような優れた医薬品にも、必ず副作用のリスクが存在します。イブグリースは全身の免疫機能を無差別に低下させるお薬ではないため、重篤な感染症などのリスクは従来の内服免疫抑制剤に比べて低いとされていますが、いくつかの特有の副作用が報告されています。事前にこれらのリスクを理解し、症状が現れた際に適切に対処することが重要です 。

アトピー性皮膚炎治療特有の副作用である「結膜炎」の症状と頻度

イブグリースの投与により、最も注意深く観察すべき副作用の一つが「結膜炎」です。臨床試験などのデータによると、5%以上の頻度で結膜炎が発生することが報告されています 。アトピー性皮膚炎の患者様はもともと眼科系の合併症を引き起こしやすい傾向がありますが、IL-13をブロックする治療を行うことで、目の粘膜の免疫バランスに変化が生じ、結膜炎が誘発されやすくなることが知られています。
具体的な症状としては、目やまぶたの赤み、腫れ、強いかゆみ、乾燥感、目やにの増加などがあらわれます 。これらの症状が現れた場合は、自己判断で放置せず、速やかに眼科を受診し、適切な点眼薬による治療を併行することが推奨されます。

注射部位反応と好酸球増加症のリスクと適切な対処法

結膜炎以外にも、以下のような副作用が報告されています。これらは比較的頻度も低く、軽度なものが多いですが、正しい知識を持っておくことが安心に繋がります。

 副作用の種類  発生頻度  主な症状と特徴
 注射部位反応  1%〜5%未満  注射を打った部位の皮膚が赤くなったり、腫れたり、痛みやかゆみ、硬結(しこり)を生じる症状です。多くは一時的で数日以内に自然に軽快します 。
 好酸球増加症  1%〜5%未満   血液検査において、アレルギー反応に関与する白血球の一種である「好酸球」が一時的に増加する現象です。多くの場合、目立った自覚症状はありません 。

イブグリースの添付文書やインタビューフォーム(VIII. 安全性に関する項目)には、これらの副作用情報が詳細に記載されています 。もし、上記に挙げた症状や、それ以外でも気になる体調の変化(息苦しさ、全身の強い発疹など)が現れた場合は、決して自己判断で注射を中止したり我慢したりせず、必ず処方医または薬剤師に相談してください 。日本イーライリリー株式会社の製品相談窓口(0120-360-605)なども整備されており、医療従事者と連携して安全性を確認できる体制が整っています 。

イブグリースを使用できない方・投与に注意が必要なケース

イブグリースは高い安全性と有効性を両立したお薬ですが、患者様の体質や現在の健康状態によっては、使用できない場合(禁忌)や、慎重に投与の可否を判断すべき場合があります。

治療の対象外となる方(禁忌)と基本的な適応条件

まず、大前提として、イブグリースの有効成分(レブリキズマブ)に対して、過去にアナフィラキシーなどの過敏症(強いアレルギー反応)を起こしたことがある方は、再度重篤なアレルギーを引き起こす危険性があるため、使用することができません 。
また、本剤の適応は「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」に限られます 。つまり、軽症のアトピー性皮膚炎の方や、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏などによる基本的な治療をまだしっかりと実施していない方に対しては、第一選択薬としていきなり処方されることはありません 。まずは外用薬による適切な治療を一定期間行うことが必須条件となります。

妊娠中・授乳中の方への投与基準と生ワクチン接種の注意事項

現在のライフステージや今後の予定によって、イブグリースの投与に特別な注意が必要となる方がいます。以下の条件に当てはまる方は、必ず事前に医師へ申告してください 。

 該当する方  注意が必要な理由と対応
 妊婦または妊娠している可能性がある方  胎児への安全性が完全に確立されていないため、治療上の有益性が潜在的な危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ投与が検討されます 。
 授乳中の方  薬剤が母乳中へ移行する可能性があるため、授乳の継続または中止、あるいは本剤の投与の可否について、医師と慎重に相談する必要があります 。
生ワクチンを接種する予定のある方 麻疹(はしか)、風疹、水痘(水ぼうそう)などの「生ワクチン」を接種する場合、免疫系に作用する本剤の使用中はワクチンの効果や安全性に予期せぬ影響が出る恐れがあります 。事前のスケジュール調整が必要です。

寄生虫感染リスクを考慮すべき理由とその背景

少し特殊な注意事項として、「寄生虫感染のある方」もイブグリースの投与に注意が必要とされています 。これは、イブグリースが標的とする「IL-13」というサイトカインが、体内に侵入した寄生虫を排除するための免疫反応にも重要な役割を果たしているためです。
イブグリースによってIL-13の働きをブロックしてしまうと、寄生虫に対する体の防御力が低下し、寄生虫感染が重症化するリスクがあります。そのため、寄生虫の流行地域へ渡航した直後の方や、寄生虫感染が疑われる症状がある方は、本剤の投与前に適切な検査を行い、必要に応じて駆虫薬による治療を完了させておく必要があります 。

イブグリースの正しい使い方(用法・用量)と日常生活での注意点

イブグリースは、成人だけでなく、「12歳以上かつ体重40kg以上」の小児の患者様にも使用できる皮下注射薬です 。12歳以上の小児は成人と同様の疾患特性を持ち、治療に対しても大人と同様の有効性を示すと想定されるため、小児であっても成人と同じ用法・用量が設定されています 。ここでは、具体的な治療スケジュールと正しい使い方を解説します。

導入期から維持期までの具体的な治療スケジュール(2週・4週おき)

イブグリースの治療は、効果を速やかに引き出すための「導入期」と、改善した良い状態を安定して保つための「維持期」という2つのフェーズに分かれています 。
| 治療のフェーズ | 投与時期 | 投与量と回数 | | :--- | :--- | :--- | | 導入期 | 初回(0週)および 2週後 | 1回につき500mg(250mgのシリンジまたはオートインジェクターを2本)を皮下投与します 。これにより、薬剤の血中濃度を一気に高めます。 | | 維持期(基本) | 4週目以降 | 1回につき250mg(1本)を2週間隔で皮下投与します 。 | | 維持期(間隔延長) | 患者様の状態に応じて | 皮膚の症状が十分に安定していると医師が判断した場合には、投与間隔を**4週間隔(4週に1回)**に延ばすことが可能です 。 |
このように、症状が落ち着けば通院や自己注射の頻度を「4週間に1回」にまで減らすことができる点は、仕事や学業で忙しい患者様にとって非常に大きなメリットとなります。

オートインジェクターを用いた自己注射の手順と注射部位の選び方

イブグリースには、医療従事者が使用しやすい「シリンジ(注射器タイプ)」と、患者様ご自身で操作しやすい「オートインジェクター(ペン型タイプ)」の2つの剤形が用意されています 。それぞれ、1シリンジ(または1オートインジェクター)の2mL中にレブリキズマブ250mgが含有されています 。
最初は医療機関において医師や看護師が注射を行いますが、トレーニングを受けて安全に実施できると判断された場合には、患者様ご自身で自宅にて注射を行う「自己注射」への移行が可能です。
【注射部位の選び方と注意点】

  • 推奨される部位: 腹部(お腹)、大腿部(太もも)、または上腕部(二の腕)の皮下(皮膚のすぐ下の脂肪層)に注射します 。上腕部に注射する場合は、ご家族などの介助者に打ってもらうことが推奨されます。
  • 避けるべき部位: 毎回同じ場所(同一箇所)への繰り返し注射は避け、毎回少しずつ位置をずらして注射してください 。
  • 皮膚の状態の確認: 皮膚が敏感になっている部位、傷がある部位、発赤(赤み)や硬結(しこり)がある部位、または強い炎症を伴う病変部位への直接の注射は避ける必要があります 。

自宅での適切な保管方法(冷蔵・常温保存の期間と光への配慮)

自己注射に移行した場合、処方された薬剤を自宅で正しく保管することが非常に重要です。イブグリースの主成分はタンパク質(モノクローナル抗体)であるため、温度変化や光に対して非常にデリケートです 。

 保管の条件  注意が必要な理由と対応
 基本の保管方法(冷蔵)  凍結を絶対に避け、5±3°C(冷蔵庫の中)で保管してください 。適切な冷蔵保存であれば、製造から36ヵ月間安定であることが確認されています 。
 室温で保存する場合  旅行などでやむを得ず室温で保存する場合は、30℃を超えない場所で遮光して保存し、7日以内に必ず使用してください 。一度室温に出した薬剤を再び冷蔵庫に戻すことは避けてください。
 光への配慮(遮光)  イブグリースは光に当たると、高分子量種が増加するなどの品質変化(劣化)が起こる可能性があります 。必ず外箱に入れたまま保管し、直射日光や強い室内光を避けてください。

温度管理に不安がある場合や、電子添文に規定された保管温度を一時的に超えてしまった場合は、日本イーライリリー株式会社が提供している医療関係者向けの「安定性確認ツール」等を通じて、薬剤が使用可能かどうかを医師・薬剤師に確認してもらうことができます 。

イブグリースの治療費用と医療費負担を大きく軽減する制度

イブグリースは高度なバイオテクノロジーを用いて製造される生物学的製剤であるため、従来の飲み薬や塗り薬と比較して薬剤費が高額になります。しかし、日本の公的医療保険制度や、各自治体が独自に設けている助成制度を賢く活用することで、実際の窓口での自己負担額を大きく軽減することが可能です。

導入期(1ヶ月目)と維持期(3ヶ月目以降)の薬剤費用の目安

健康保険(3割負担の場合)を適用した際の、イブグリースの薬剤費の目安は以下の通りです。※これらは薬剤費のみの目安であり、実際の窓口では診察料、処方せん料、各種検査費用、自己注射指導管理料などが別途加算されます。
【最初の1ヶ月目(導入期:初回と2週目)の費用】 導入期は1回につき500mg(2本)を投与するため、使用する薬剤の量が多くなり、費用が最も高くなります。

  • 1回(2本使用)あたりの薬剤費負担: 約30,469円
  • 1ヶ月目(初回と2週目の合計2回)の薬剤費負担: 約60,938円

【3ヶ月目以降(維持期・在宅自己注射の場合)の費用】 維持期は1回250mg(1本)の投与となります。

  • 2週おきの場合: 1ヶ月あたり2本使用するため、1ヶ月あたりの薬剤費負担は約30,469円となります 。また、自己注射の承認が下り、医師の判断で6本(12週間分:約3ヶ月分)をまとめて処方された場合の薬剤費は、約92,814円となります 。
  • 4週おきの場合: 症状が安定し、医師の判断で「4週間に1回」に投与間隔が延びた場合は、1ヶ月あたりの薬剤費負担はこの半額(約15,000円程度)となり、患者様の経済的な負担はさらに大幅に軽減されます 。

高額療養費制度の活用による実質的な自己負担額の軽減

1ヶ月間(1日から月末まで)の医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた一定の限度額を超えた場合、その超過分が健康保険から払い戻される「高額療養費制度」を利用することができます。
一般的な所得水準の方であれば、月額の自己負担上限額は8万円〜9万円程度に設定されることが多く、導入期の高額な支払いであっても、青天井で費用がかかるわけではありません。さらに、過去12ヶ月以内に高額療養費の支給を3回以上受けた場合は、4回目以降の限度額がさらに引き下がる「多数回該当」という仕組み(例えば月額44,400円など)もあり、長期的な治療継続を強力にサポートしてくれます。

名古屋市等の子ども医療費助成制度(18歳まで所得制限なしで無償化)

中学生や高校生といった思春期のアトピー性皮膚炎患者様にとって、非常に心強いのが各自治体が実施している「子ども(小児)医療費助成制度」の存在です。
例えば、愛知県名古屋市では、子どもの権利保障と子育て支援の拡充を目的として、これまで就学前や中学生までだった医療費助成の対象年齢を大幅に拡大しました 。現在では、18歳に到達した最初の3月31日(18歳年度末)までの児童・生徒が病院などで受診した医療費の自己負担額が公費で助成されます 。

【医療証の申請と受診時の注意】

この助成を受けるためには、お住まいの区の区役所(保険年金課福祉医療担当、または支所の区民福祉課福祉医療担当)の窓口、もしくは電子申請にて事前に手続きを行い、「(子)医療証」の交付を受ける必要があります 。
マイナ保険証を利用する場合でも、自治体独自の公費負担医療である「子ども医療証」の提示は別途窓口で必要になるケースが多いため、受診時には必ず持参するようにしてください。
青春期の多感な時期に重症のアトピー性皮膚炎による外見の悩みや睡眠不足を抱える中高生にとって、費用を気にせずに劇的な効果が期待できるイブグリースの治療を受けられることは、その後の人生を大きく変えるほどのメリットになりえます。

≪監修者プロフィール≫
監修医師うらた皮膚科 院長 浦田透
保有資格日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
経歴
平成23年 中京病院 研修医
平成25年 中京病院 皮膚科
平成26年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科
平成27年 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科
平成28年 名古屋大学医学部附属病院 医員
平成30年 名古屋大学医学部附属病院 病院助教
平成31年 名古屋大学医学部附属病院 助教
令和3年4月 うらた皮膚科 副院長
令和3年11月 うらた皮膚科 院長